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異世界からきたmy brother
突然だが、今日は私の弟を紹介させてほしい。
弟は重度の自閉症で、脳年齢は永遠の5歳。
現代に降り立ったピーターパンだ。
そんな彼だが、私も母も悲観的に捉えてなどいない。
なぜなら、語弊を恐れずに言うと
めちゃくちゃ面白いからだ。
常人には考えられない発想力と独特のお笑いセンスをもっていて、
数えきれないほど笑わされてきた。
ラジオでバンプの曲が流れたら
「これはシーフードチキンの曲?(真剣)」と言ってみたり、
絵を描いては
「僕ってなんでこんなに絵が上手いんだろう…(真剣)」
と言ってみたり。
ちなみに私は彼以上に自己肯定感が高い人を見たことがない。
そんな彼はいまNPO法人Swingという団体に所属していて、
日々絵やポエムの作成に勤しんでいる。
勤しんでいるはうそだった。気が向いたら取り組んでいる。
ではSwingとはどんな団体なのか。簡単に説明しよう。
【目的】
既存の仕事観や芸術観にとらわれない自由な働きや表現活動を基軸とした事業を行い、「障害」「健常」「大人」「子ども」「男」「女」等あらゆる「枠」を超え、同じ時代、同じ社会に生きる人々が多種多様な価値観のもと、出会い、関わり、支え合うことのできる社会環境づくりに寄与することを目的とする。
【主な事業内容】
スウィングでは人の「働き」を「人や社会に働きかけること」と定義し、ときに「市民活動」、ときに「社会福祉活動」、ときに「ソーシャルアート」等と名を変えながら、さまざまな創造的実践を展開・発信しています。
つまり、
『障害の有無や年齢・性別などの垣根を越えて集まった人たちで、“働かずに働きかける”』団体である。
この “働かずに” というのは割と本当に文字通りで、
Swingに通っている人たちは何となく気分が乗らない時
「明日風邪をひくかもしれないので休みます」
と、何とも有難いことに前日から事前連絡をいれてくれる方もいるそうだ。
そしてもちろん我が弟も例に漏れず、しっかり仮病を使って休んだりすぐ帰ってきたりする。
これで先ほど “勤しんでいるはうそ” と言った理由がわかっていただけただろうか?
さて、そんな彼がこのSwingで何を創造したのか。
見ていただくとしよう。
まずひとつめは自由律のポエム。どうぞ。
タイトル『僕のお母さん』
![](https://assets.st-note.com/img/1644752685436-riohZsRhCT.jpg?width=1200)
素敵な詩だ。
まずは4行目『いつも口にツッコんでビョーンビョーンしている』というのは、これだ。
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一時期流行ったので知っている方も多いかもしれない。
こんなことをSwingで発表された母の心中、お察しする。
そして5行目
『ねているときも口をあけて寝ている』
こんなことをSwingで発表された母の心中、お察しする。
そして最後から2行目
『お金もくれる』
おそらくここが一番伝えたかったことなのだろう。
日々詩人としてSwingで名作を発表し続けている弟、
君は最高におもろいぞ。
続いてこちらは彼の代表作。名刺代わりと言ってもいいだろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1644752685343-GzydIXvWug.jpg)
『テ ロ リ ス ト 危 険 だ ね』
その通りだ!!!
いやもう本当にその通りだ。世の真理である。
そしてこの絶妙な字のニュアンス、さすがとしか言いようがない。
ちなみにこれはお弁当が入るサイズのミニバッグで
通称“テロリストバッグ”と呼ばれている。危ねぇ。
お値段税込み¥1200!!!
ちなみにまさかのお買い上げいただいた前職の上司は、
お子様のベビーカーに備品を入れてつるしているそうだ。危ねぇ。
ただ私は声を大にして言いたい。
テロリストTシャツが欲しい!!!
Swingさん作ってくれないだろうか…
テロリストTシャツを着て街を練り歩くのが私の夢である。
そしてこの巨匠、実は一昨年京都で個展を開かせていただいた。
個展タイトルは『アメリカの事務員』
代表作は先ほどご紹介した『テロリスト危険だね(原本)』と、『いないイギリス人の名簿』だった。
本当に痺れる。なんせ“いない”のだからね。
ちなみに次回の個展はなんとパリとのこと(ガチ)。
これはどうやら世界が彼に追いついたのかもしれない。
奇跡的にここまで読んでくださったあなたには
分かっていただけただろうか?
彼が異世界からきたとしか思えない奇才であるということが。
そして自閉症のイメージが少しは変わっただろうか?
それは少し贅沢だろうか。
昨今は軽度の障害というものが世の中で知れ渡ってきたので、
昔よりは障害者への差別意識は薄まってきたように思う。
しかしやはり消えることはない。
いまだに友人との会話でも平気で差別用語を耳にする。
だから私にとって結婚する人の最大の条件は、
“差別用語を使わない人”だった。
そしていま、奇跡的にそんな言葉を一つも使わず
弟のことを愛してくれる最高の旦那と暮らしている。
これは案外すごいことなんじゃないかと思っている。
私の大好きなミスターチルドレンの歌詞にこんなフレーズがある。
障害を持つ者はそうでない者より
不自由だってだれが決めんの!?
目じゃないとこ
耳じゃないどこかを使って見聞きをしなければ
見落としてしまう
何かに擬態したものばかり
障害者を差別することはよくないけれど、区別は必要だと思っている。
やっぱり私たちができることができなかったりする。
コミュニケーションがとれなかったりする。
けれどそれは彼らにとって不自由なのだろうか?
私にはわからない。
もちろん不自由に感じている人もいるだろう。
ただ、障害者=不自由・かわいそう
と決めつけるのはもうやめにして欲しい。
さらに障害者がいる家族=かわいそう
なんてもっとやめにしてほしい。
なぜなら私はめちゃくちゃ幸せものだし、
わたしの家族は最高に明るいのだ!
もちろん将来先に死ねないなぁとか色々思うことはあるけれど、
そんなことはどうにだってなる。
しかも弟は自分に障害があることに気づいていない。
その証拠に、同じ障害のある子と絡んだ後
「○○さん障害があると思うわ…」と言っていた。
「あんたもやで(にっこり)」とは言っていない。
こんな感じでこちらの心配などおかまいなしに
マイブラザーはこれからも名作を世に生み出していくだろうし、
毎日を生きていくことだろう。
幸あれ!
なんだか最後は真面目なトーンになってしまったが、
これから弟の名作・珍エピソードも書いていければと思っている。
よければまたお付き合いいただきたい。
さいごに
Swingの代表の木ノ戸さんが書いている本は非常に面白いので、
興味のある方は是非読んでみてほしい。
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