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意識高い系に低い系が入社したはなし⑤

ミーティング前の無駄な時間

元弊社には、毎月キックオフと呼ばれるミーティングが存在していた。
おそらく同じ呼び方をする会社も多いのではないだろうか。

いちいちカタカナで言うのが心底気に食わなかったが、
慣れというのは恐ろしい。

そしてそのキックオフの直前、
約30人の社員が1人30秒ずつ“今月あったいいことを話す”という謎極まりない時間があった。

これは『チェックイン』と呼ばれていた。

どういうこと?
ホテル以外でチェックインってなに?
疑問を上げればキリがないが、
頭が痛くなりそうなのでもう受け入れることにした。

このチェックインで
通算30秒×30人=900秒=15分が無駄になっていた。
1人30秒は計られているわけではないので、
1分以上話す輩も存在する。
恐ろしいことだ。

彼女ができただの、
彼氏と旅行に行っただの、
ダイエットに成功しただの、
誰が興味あんねんそれ飲み会でええやろ情報を一人一人披露していく。
もちろん私も披露していた。

黒歴史だ。

そしてこれは一体誰から話し出すのかという日本人特有のザワザワタイムからはじまる。
上司が適当に指名してくれたらいいのだが、自主性を育てる会社なので挙手を待たなければならなかった。

そして無事1人ずつトークが終われば拍手をし、
場が和やかになったところでいよいよキックオフが始まるというわけだ。

小学校か?


私は本当に無駄極まりない時間だと思っていたが、
上からするとこれは必要な時間だったのだろうか?
何を育てる時間だったのだろうか?

今もまだなお分からないままである。

魔のロープレ大会

ロープレ大会とは、
商談のロールプレイングの技術を競う大会のことである。

約3ヶ月に1度開催され、
全国の営業マンが優勝を目指し競い合っていた。

この大会の前日は定時で帰る代表の私も23:00頃まで帰ることができなかったので、
心の底から嫌いなイベントだった。

にもかかわらず、
私はロープレが得意だった。

いつも準決勝くらいまで勝ち上がってしまうので、社内ではいつも優勝候補のように扱われていた。

そしてついにその日は訪れてしまった。

その大会ではなぜか決勝まで残ってしまい、
決勝の会場でわたし以外はお馴染みの猛者たちの中息を潜めて座っていた。

そしていざ決勝。
なぜか笑いまでとってしまい嫌な予感はしていたのだが、見事的中。優勝した。

わたしのロープレ動画が全国にばら撒かれ、
わたしの型を参考に全国の営業マンが練習するという本当にわけのわからないことが起きてしまった。


いままでの話を読んでいただいた方には分かるだろうが、
こんな仕事への意識が低い奴が優勝など絶対にしてはいけない。
わたしは優勝したからといってやる気が出るような社員ではない。

母に優勝を報告すると、
腹を抱えて爆笑していた。

その次の大会では、
「前回優勝したから注目されてるけど
プレッシャーどう!?大丈夫!?」
と聞かれ、
「全く感じてないので大丈夫です(やる気がないから)」と答えるも、
「さすがだなぁ!!」
と関心されてしまい頭を抱えた。

もちろん優勝はしなかった。





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