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【気まぐれ日記】#13「CSRからCSVへ。車の話じゃないよ。ビジネストレンドの話をちょこっと」

今日は、ちょっとだけ小難しい、でも興味深い話を。
わかりやすくお伝えできるといいのだけど。

昨今、大学の特別授業がオンラインで配信されていて
無料で見ることができるから、
つくづく便利でいい時代になったな、と思う。

一昨日、同志社大学の良心学研究センターが配信している動画を見た。

タイトルは「Creating Shared Valueの実践」
要は、社会問題に対するビジネスの役割について、みたいなこと。


社会問題の解決というと、
その役割は、たいてい政府かNGOが担ってきた。
利益を追求するビジネスとは相いれない要素が大きいからだ。

それでも、資本主義が成熟してくるにしたがって、
「社会における企業の役割」みたいなことが言われるようになる。
儲かっているなら社会還元しろよ、という風潮だ。

欧米にはそもそもノブレス・オブリージュの考えがあったから、
寄付文化が根づいていた。

だから、企業の社会活動も
「Philanthropy(寄付・ボランティア活動)」が出発点になる。

それが、やがて昨今はやりのCSRに発展する。
CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略
つまり、企業の社会的責任を指す。
社会の持続的発展のために、
企業が責任をもって貢献する活動のこと。

たとえば、エネルギー企業が植林を行ったり、
製品の安全性をアピールしたり、
フェアトレードなども、そう。
証券会社が投資教育の出前授業をしたりするのも、
CSR活動の一環だ。

企業のイメージアップにもつながるので、
いわゆる大企業のHPにはCSRのページがある。

ただ、フィランソロピーにしてもCSRにしても、
企業から社会への、一方向での利益還元であるため、
儲かっているときはいいが、
景気が悪くなると、活動もしぼんでしまう。

そこで登場したのが、CSVという考えだ。
一見すると、RがVになっただけに見えるが、
そうではない。

CSVは、Creative Shared Valueの略
CもSも、意味するところがちがうのだ。
「共通価値の創造」ということになり、
CSRと略称はとても似ているが、
(似すぎているから混同してややこしくなるのだが)
中身はまったく異なる考え方でできている。

では、「共通価値」とは何だろう?
それは、社会にとっての価値と
企業にとっての経済的価値が、
ウィン・ウィンになるということ。

CSRにはいろんな活動が含まれるが、
「社会問題について」のみ見ると。
企業のビジネスで得た利益の一部を
環境保護などにまわしましょう、となる。

だが、CSVは、社会問題を解決することで、
「新たな価値」を創造し、
それを社会と企業で分け合いましょう
、という考え。


Creating:価値の再配分ではなく、価値創造で分配するパイを増やす。
Sared:そのパイを、企業の経済的価値と社会的価値によって共有。
Value:費用と効果でウィン・ウィン

だから、企業から一方的な持ち出しで
社会貢献する(これがCSR)のではなく、
今ある社会問題を企業が解決することで、
企業にも新しいマーケットが開拓できて利益を得る。
困っている社会も、「よかったね」になるし、
企業も、利益がのびて「よかったね」になる。

デンマークの製薬会社ノボノルディスクファーマの例が
紹介されていた。

<解決すべき社会問題>
中国で2型成人糖尿病患者が増え、医療費が増加。

この問題に対して、ノボノルディスクは
「2型糖尿病の予防」のプログラムを実践する。
生活習慣の改善や予防のためにどうすればいいか。
初期症状についてレクチャーし、早期受診をうながす。
医師向けの研修プログラムの実施。
ざっとこうしたことを実践した結果、
ノボノルディスクのインシュリンの中国市場におけるシェアが
なんと0%から63%にまで急拡大したそうだ。

中国政府にとっては医療費を抑えることができ、
中国の人々にとっては未然に病気を防ぐことができ、
また、糖尿病になっても手遅れにならず、
ノボノルディスクは市場を独占し、利益を躍進させることができた。

つまり、企業にとっても、社会にとっても
「よかったね」となる。

企業にとっても、かけた費用以上の効果が生まれるため
株主からの「NO」がつきつけられることもなく、
社会貢献ができる。

なんか、ちょっと目からうろこの考え方だ。

CSVの考えは、2011年にハーバード大学の
マイケル・ポーター教授が提唱した学説で、
まだ発表されて10年たらず。

これから、実践例が増えていくのが楽しみだ。

サポートをいただけたら、勇気と元気がわいて、 これほどウレシイことはありません♡