『オールド・クロック・カフェ』6杯め「はじまりの時計」(6)
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* * * Bitter Memory * * *
うっすらと目をあけると頬は濡れてひりついていた。桂子は音のするほうに顔を向ける。一番の古時計はまだ十二時三十分を指していた。あの日でとまったままの時間。
「二人とも、ほら」
不意にハンカチが差しだされた。ふくよかな手をたどると母の隣に父が座っていた。
「お父さん」
「あなた」
「なんで?」
母と桂子の声が重なった。
「さすが親子。きれいにハモっ