『オールド・クロック・カフェ』4杯め「キソウテンガイを探して」(13)
第1話から読む。
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* * * Confession * * *
「お待たせしました」
カウンターのいつもの席で新聞を広げている泰郎の前に、桂子はコーヒーとチョコレートを3粒のせた白磁の豆皿を置く。淹れたてのコーヒーの湯気がひそりと残っていた2月の冷気を抱いてゆらゆらと昇る。熟れた果実にも似た芳醇な薫りがふわっと漂った。新聞を畳みながら泰郎が、おやっとチョコレートの皿から桂子に視線を移す。
「バレンタインでしょ」
「今日はバレンタ