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小林秀雄を読む日々

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『小林秀雄全作品』全32巻を、あきれるほど丁寧に読んでいきます。まず「『私の人生観』にたゆたう」を完結。新連載を準備中です。
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#仏教

月を見て心がざわめくのは何故か?

「観」から思い浮かぶ考え方として、しばらく仏教思想について語ってきた小林秀雄だが、ここで…

既視の海
1年前
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己に、とらわれるな。

小林秀雄の「空」に対する考察はまだまだ続く。近代科学で用いる因果関係と、仏教思想の因果律…

既視の海
1年前
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小林秀雄から釈迦、そして再びウィトゲンシュタインへ

人はなぜ死ぬのか。 そもそも死とは何か。他人の死を目撃した人はいるけれど、自分の死を目撃…

既視の海
1年前
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自分にとらわれず、本質を観る

小林秀雄は『私の人生観』において「諸行無常」についての考えをひと通り語ったのち、あらため…

既視の海
1年前
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おごれる人も久しからず、おごらざる人も久しからず

話を『私の人生観』における「諸行無常」に戻そう。 小林秀雄は、「諸行無常」という言葉は誤…

既視の海
1年前
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「諸行無常」に哀調なんてない

1942(昭和17)年の『西行』で小林秀雄は、50以上もの歌を引いて批評した。それに対して『私の…

既視の海
1年前
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小林秀雄と「禅」はなじみ深い

『私の人生観』という講演会の課題を与えられた小林秀雄は、そこに含まれる「観」という言葉から連想するものやことを連ねて話を進めていく。はじめは「人生観」という言葉の由来や成り立ちを近代の西洋思想の翻訳語を考え、次に語感からわが国における仏教思想を思い浮かべる。まずは7年間の能楽鑑賞で、その美に触れた『当麻』の中将姫とも結びつく、浄土教の重要な経典である『観無量寿経』について語る。 次に小林秀雄は、お釈迦様が菩提樹の下でさとりをひらいたとされる哲学的な観法である「禅観」の「観」

まず「観る」なら極楽浄土?

『人生観』という言葉は西洋哲学からの訳語であり、「観」には日本人独特の語感があるとみて、…

既視の海
1年前
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