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サステナビリティ成長戦略~講演内容、まとめました「流通大会2024」<3日目>

こんにちは。「流通大会2024」3日目は、流通業のサステビリティにフォーカスして開催しました。研究員による講演内容のポイントとあわせて、聴講者からいただいた声をご紹介します。

まとめ:公益財団法人流通経済研究所 主任研究員 池田 満寿次


講演の概要

1.サステナビリティを基軸とした成長戦略の展望

公益財団法人流通経済研究所 上席研究員 流通・店頭・環境部門副部門長 石川 友博

 流通経済研究所が実施したサステナビリティ意識に関する消費者調査においても、Z世代を中心にサステナビリティ意識は高まっています。
 その一方、買い物等での行動改善には十分つながっていない、という課題も浮かび上がります。「その商品がサステナビリティにつながるかどうかがわかりづらい等、生活者と企業間のコミュニケーションにギャップがある」(流通経済研究所・石川)と指摘したうえで、サステナビリティの取り組みをめぐっては、「コストから投資への発想の転換が重要になる」(同)と提起しました。

石川による講演の様子byスタッフ

 本回では食品小売業を対象に実施した「サステナビリティへの取り組み状況」※に関する先進企業の事例などを紹介させて頂きました。
また流通経済研究所が考える、サステナビリティ経営のための経営機構のあり方などを提唱しました。
※食品小売業を対象に実施した調査の詳報は「流通情報」で紹介しています

○聴講者の方から寄せられた主な感想
「サステナビリティの情報や指標がわかりやすく資料にまとまっていて参考になります。流通業界の現状がわかり今後のアクションの参考とさせていただきます」
「サステナビリティに関する豊富なデータを提示いただき、それが示すポイントや課題についても触れられており、理解が進みました」

2.ウエルシアグループがめざす持続的成長と社会課題解決の実現

ウエルシアホールディングス株式会社 サステナビリティ推進担当部長 兼
介護事業部長
渡邉 幸子 氏

 ウエルシアホールディングスでは、企業理念として「お客様の豊かな社会生活と健康な暮らしを提供します」を掲げており、2030年のありたい姿として、『地域ナンバー1の健康ステーション』を標ぼうしています。サステナビリティは経営そのもの、という考え方のもと、特定部署に担い手が偏ることなく、営業や商品など各部門を挙げて取り組む風土が根付いています。
 タバコ販売の取り止めや、買い物困難者対策に向けての移動販売車「うえたん号」の稼働、女性活躍推進など、多岐に渡る取り組みをご紹介頂きました。

○聴講者の方から寄せられた主な感想
「ウエルシアホールディングス様のサステナビリティに向けた『熱い思い』を感じました。社会的健康の大事さも痛感いたしました」
「経営において『健康』を大切にしている中で、とくに地域とのつながりを大切にし、社会的健康を重要視していることが伝わってきました」

3.ロッテが目指す両輪の経営とサステナビリティ取り組み

株式会社ロッテ サステナビリティ推進部 企画課 課長
飯田 智晴 氏

 「社会に良いことをしながら、経済性も担保する」(ロッテ・飯田氏)。   
 ロッテでは経済的価値と社会的価値の両方を創出する、両輪の経営を重視しています。たとえばガム「キシリトール」を通じて、自治体や歯科医師会と連携して虫歯予防や認知症予防など健康寿命延伸の啓蒙を続けているのも、その一例です(消費者庁からも表彰)。
 また非上場企業ですが、上場企業が要請されるTCFD(気候関連財務情報開示)をリスクマネジメントの一環から、対外開示するなど、サステナブル経営に力を入れています。気候変動対応から原材料の持続可能な調達、製品容器の脱プラやリサイクルなど、サステナビリティの取り組みをご紹介頂きました。

○聴講者の方から寄せられた主な感想
「取り組み内容が豊富で大変驚きました。トップダウンとボトムアップのバランスが良いと感じました。自社でも本日聞いた内容をシェアしたいと思います」
「サステナ経営を成長戦略として位置付ける内容の濃いプレゼンでした。企業として真剣に課題を捉え、アクションに結び付け、全社をあげて取り組んでいることが素晴らしい」

3.イオンのサステナビリティ戦略及び今後の展望

イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長
鈴木隆博 氏

 全国の店舗網を通じて多くの消費者と接点を有するイオンでは、サステナブル社会の実現に向けた各種取り組みで業界をリードしています。
 近年では環境配慮の一環として、オーガニック商品を拡大すること注力しており、市場を広げていくための商品開発や推進活動を展開しています。
 食品廃棄の削減に向けては食品リサイクルのループ構築に取り組んだり、持続可能な商品調達に向けてサプライヤーとの連携を強化するなど、サプライチェーン全体で変革を推進しています。イオングループでの足元における具体的な取り組みや、成果・課題意識について共有いただきました。

○聴講者の方から寄せられた主な感想
「生活者の行動変容を促すのではなく、生活者が”使ってみたい”や”参加してみたい”と思える活動に置き換えて自然と行動変容ができるように取り組まれているのが素晴らしいと思いました。」
「グループ各社と連携して様々な取り組みをしているイオン様のスケールの大きさに感銘しました。業界リーダーである、イオン様が先頭に立って取り組んでいくことが本当に大切だと感じました」

<注>
各講演の「概要」は、筆者がリアルタイムで聴講した内容をもとに記述しています。聞き違いなどを含んでいる可能性がある点にご留意ください。

「流通大会2024」1日目、2日目の講演まとめはこちら

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