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環境配慮型商品の価値をサプライチェーン全体で伝える「えらぼう。未来につながる今を」フェア 参加レポート

 こんにちは。今回は、5月30日(木)から6月2日(日)の4日間にわたり、全国のイオングループの店舗で開催されている「えらぼう。未来につながる今を」フェアについて取材するため、イオンスタイル幕張新都心店の特別展示会場に足を運びました。フェアの詳細を詳しくお伝えします。
 このフェアは、メーカー、卸、小売など28社が参加する、環境配慮型商品や環境をテーマとした商品・サービスの価値をサプライチェーン全体で伝えることを目的とした試みです。
 天気はあいにくの雨でしたが、お買い物に訪れたお客様が足を止めてブースに立ち寄り、興味深そうに説明を聞いている様子が見られました。

公益財団法人流通経済研究所
上席研究員 石川 友博
研究員 寺田 奈津美


「えらぼう。未来につながる今を」フェアのコンセプトと開催経緯

 今回の「えらぼう。未来につながる今を」フェアの概要について、イオン株式会社コーポレート・コミュニケーション部広報グループの末吉真さんにお話を伺いました。

イオン株式会社コーポレート・コミュニケーション部広報グループの末吉真さん

――今回のフェアのコンセプトや開催の経緯を教えてください。
 
末吉さん:イオンの、「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」という理念のもと、同じ思いを持つお取引先様と一緒に、環境配慮型商品や環境をテーマとした商品、サービスの価値をサプライチェーン全体でお伝えすることを目的とした試みとして、「えらぼう。未来につながる今を」フェアを開催することになりました。
 このフェアには28社が参加し、約2,400種類の環境配慮型商品や環境をテーマとした商品を取り扱っています。全国の12店舗でイベント形式の展示を行い、イオングループ全店で「えらぼう。」フェアの案内表示を行っています。
 
――今回の参加企業にはどのような呼びかけをされたのでしょうか?
 
末吉さん:イオンは、地域ごとにお取引先様とコミュニケーションを図る「イオン会」を年間に数回開催しています。この場で、各社様がさまざまな環境への取り組みを行っているものの、その情報がなかなかお客様に伝わらないという課題が共有されました。

 そこで、各社がタッグを組んで何か一緒にできないかという話になり、イオン会の参加企業を中心に、各社が行っている環境にやさしい取り組みを一つのブースに集め、いくつかの象徴的な商品をフックにして、お客様やメディアの方々にお伝えする機会を作ろうということで、今回の「えらぼう。」フェアを開催することになりました。

「えらぼう。」フェアで扱う環境配慮型商品や環境をテーマとした商品とは?

――どのような商品を置いていますか?
 
末吉さん:一番象徴的な商品は、「有機原料で作った焼きおにぎり」です。ひかり味噌、フンドーキン醬油、イオンアグリ創造が有機材料を提供し、ニチレイフーズが焼きおにぎりを製造したという、通常では実現が難しい4社の協力によって生まれた商品です。

ひかり味噌󠄀、フンドーキン醬油、イオンアグリ創造が有機原料をそれぞれ持ち寄り、ニチレイフーズが開発・製造した、「有機材料で作った焼きおにぎり」。イベント会場では試食することができました。

末吉さん:ブースをご覧いただくとわかるのですが、例えばビールコーナーでは、サッポロ、アサヒ、キリンという競合メーカーが並んでおり、これは他ではなかなか見られない光景です。それぞれが行ってきた環境にやさしい取り組みを伝えようという共通の志を持ち、世の中に良いことをどんどん伝えていこうという思いから、このような売り場が実現できたのは非常に珍しいことだと思います。

サッポロ、アサヒ、キリンの商品が一緒に並んだビール売り場

――準備を進められるうえで大変だったことはありますか?
 
末吉さん:全国でイベントブースを設置する際、賛同企業の拠点が地域ごとに異なるため、開催場所の選定やブースに出す商品の調整には苦労しました。今回のイベントは特定の企業が主幹となっているわけではなく、それぞれ有志の企業が自主的に集まって行っているため、皆で協力して取り組んでいるという雰囲気です。
 
――実際にイベントを開催されてみて、ご感想はいかがですか?
 
末吉さん:29日からイベントを行っていますが、予想以上に多くのお客様に立ち寄っていただいている印象です。特に小中学生やお子さま連れのお客様が多く訪れてくださっています。我々の世代にとって、環境というテーマは若干特別なものに感じられますが、今の小中学生は授業でも環境について学んでおり、我々よりも環境を身近に感じているので、こういったブースにも気軽に立ち寄っていただけているのではないかと思います。

「未来」を見据えて多くの企業が協力して行う「えらぼう。」フェア

――このフェアの情報発信をするうえで工夫したことはありますか?
 
末吉さん:フェアの名前になっている「えらぼう。未来につながる今を」というメッセージです。「未来」という少し高い視点で、お互いの企業の利益ではなく、もっと先にある未来を見据えて活動していこうという思いを込めて、参加企業みんなで作りました。
 
――特設ブースとして商品を一か所に集めていることによる効果は感じられていますか?
 
末吉さん:やはり、こんなに多くの企業が一緒に取り組んでいることは、1社や2社で単独で行うよりも実感しやすいと思います。イオン会のメーカーさんも、1社で環境への取り組みを行っていてもなかなか伝わらないところを、一緒に取り組むことでお客様にも伝わりやすくなるのではないかと思います。
 また、一昔前はオーガニック商品などは少し割高だったのですが、認知度が上がり、大量生産が可能になったことで、今では普通の商品と変わらないくらいの価格で販売できるようになっています。
 
――多くのお客様に知ってもらい、購買が増えれば、それだけ価格も安くなっていくということなのですね。

特設売り場の様子

お客様に伝えるカギはわかりやすい表示と説明の機会を設けること

――お客様に環境に配慮した商品を選んでいただくために必要なことは何でしょうか?
 
末吉さん:商品や取り組み自体をわかりやすく表示することが重要だと思います。我々の商品も、オーガニックやアレルギー対応商品であることをパッケージに明示することで、お客様に「何か違うな」と感じてもらえるようにしています。これからは、こういった表示がますます必要になってくるでしょう。また、その商品がどんな考え方で作られているかを伝えることも大切です。
 
 今回のフェアについてもニュースリリースなどで発信していますが、取り組み自体について改めて説明する機会も必要だと思います。我々のトップバリュという商品については年に1回、環境への取り組みを説明する機会を設けています。このように特別な機会を設けて、改めて環境への取り組みを説明することは非常に重要だと感じています。

ひかり味噌のおみそ汁は、有機そだちであることを分かりやすく表示し、パッケージもプラスチックではなく紙を使っているエコな商品。

環境への取り組みはお客様と企業が一緒に取り組むことが大事

――消費者の方々に主体的に行っていただきたい環境への取り組みを促進するために、小売としてどのようなことができるでしょうか?
 
末吉さん:環境への取り組みは、環境配慮型商品を選ぶことだけではなく、さまざまな方法があります。イオンは1990年ごろから植樹などの環境活動を行っており、常に「一緒にやっていこう」という視点で取り組んできました。
 例えば、お店の周りの植樹を我々だけで行うのではなく、お客様と一緒に植えることや、例えば、マイバッグを持参しましょうという運動をいち早く提案し、それに賛同したお客様が積極的に取り組んでいくということです。取り組みを一方的に行うのではなく、「お客様と一緒に」という姿勢を心掛けてきたことで、お客様もそうした活動に参加することで実感できることがたくさんあると思います。

――イオンさんをはじめ、多くの企業が、お客様も参加できる環境の取り組みを行っていますよね。家族や友達と一緒にでもいいですし、まずはそのような機会に気軽に参加してみるのも良いかもしれませんね。

会場では日頃の野菜摂取量を判定する体験や、オーガニックお茶シリーズの飲み比べ体験など、さまざまな参加型のイベントがあり、楽しみながら環境配慮商品について知ることができました。

まとめ

 今回は、環境配慮型商品や環境をテーマとした商品・サービスの価値をサプライチェーン全体で伝える「えらぼう。未来につながる今を」フェアについてご紹介しました。
 
 実際に参加してみて、これほど多くの環境配慮型商品があることに驚き、普段は見逃していることに気づきました。
 また、環境配慮型商品には、容器包装のプラスチックを削減したり、詰め替え容器やリサイクルできる容器を使用したり、有機農法で作られた環境にやさしい商品や、通常は捨てられてしまう未利用食材を活用した商品など、さまざまな種類があることがわかりました。特に印象に残ったのは、電子レンジで調理できるレトルトカレーで、湯せんで温める商品よりも温室効果ガス排出量や光熱費が少ない上に、調理も簡単で早くできるという利点があります。

「マ・マー ザ・パスタ 贅沢野菜」シリーズはトレイの紙化とトップシールをなくしてプラスチック使用量を削減。さらに、袋を開けずにレンジで調理できる優れもの。
マ・マー 早ゆでスパゲティFineFast」シリーズは湯で時間が短いことからガスコンロ使用時のCO2排出量が少なく、包装も紙素材を採用したエコパッケージで環境負荷の低減に貢献。いつものスパゲティを早ゆでに変えることで、おいしく早いだけではなく、環境にも配慮できる。

 このように、環境にやさしく、消費者にもメリットがある商品が開発されているのは良いことだと感じました。今後は、味、価格、簡便性といった価値に「環境にやさしい」という価値が付加された商品がさらに一般化していくと良いと思いました。
 
 また、フェアや特設売り場を設けることで、消費者はこのイベントに参加すると、環境配慮型商品にはどのようなものがあるのか、また、その商品がなぜ環境にやさしいのかを知ることができます。事業者としては、環境配慮型商品であることをお客様にわかりやすく表示し、さらにさまざまな企業がまとまって発信する場を設けることで、より多くのお客様に知ってもらい、環境にやさしいお買い物をしていただくことにつながると感じました。

「えらぼう。未来につながる今を」フェアは、全国のイオングループ店舗で6月2日まで開催されていますので、店頭に行かれた際は「えらぼう。」の表示を探してみてください。

↑この表示が目印

「えらぼう。未来につながる今を」フェアの詳細はこちら👇

💡流通経済研究所「サステナビリティ経営~ケーススタディ集~」

https://note.com/dei_ryuken/m/m22c1e66a5599

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