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哲学思考ゼミ(@ソトのガクエン)がスタートしました。

みなさま、こんにちは。ソトのガクエンの小林です。

9月より、ソトのガクエンが開講している「哲学的思考養成ゼミ」は、「哲学思考ゼミ」に名称を改め、テキストも変更して再スタートいたしました。
入門書から古典にいたる哲学・思想に関するテキストを、みんなで一緒に読みながら、色々な観点から議論し、理解を深めるというこれまでのスタンスを変えることなく、しかしこれまで以上に、参加者のみなさんの思考を刺激し、哲学的に世界を見る仕方を学ぶゼミにしたいと考えています。

と言いつつも、実際のゼミでは、哲学的思考を叩き込むべくスパルタ教育を施し……というのとは程遠く、いつもみんな和気あいあいと色々な話をしつつ、笑い合いながら気軽な感じで進んでいきます。ですが、いかんせん外側からはゼミの雰囲気が分からないため、なんだか不気味な「哲学集団」のような、独特の哲学教育が施されているのでは?みんな汗と涙を滲ませながら、厳しく絞られているのでは?という憶測を呼んでいるのではないかと危惧しています。とまれ、一度、哲学思考ゼミの様子をみなさんに体感してもらいたいという思いから、今回、9月の初回ゼミの様子を、限定YouTubeでオンタイムで配信いたしました(事前にPeatixからは40名ほどお申込みいただきました。ありがとうございました)。

まず、土曜日のゼミは、ウィリアム・ジェイムズ『純粋経験の哲学』(岩波文庫)を読んでいきます。初回(9/2)は、小林がジェイムズ哲学について、哲学史上の位置づけ、プラグマティズムについて、またプラグマティズムを越えるジェイムズの思弁的なコスモロジーについてお話ししました。心理学や生理学という科学的研究から、宗教や精神世界を含む独自の形而上学的コスモロジーへ至るというジェイムズ哲学の変遷は、いわば非合理的、非科学的な両極が併存するところに特徴があります。また、ジェイムズは、その根本的経験論によって、非合理的な経験もまた、合理的な経験と同様の経験であり、実在的であると考えます。こうしたジェイムズの哲学は、非合理的な神秘主義的体系や宗教的啓示のようなものを、科学や合理主義の観点から、非科学的なものや非合理的なもの、あるは精神病理的なものとして処理するのではなく、あくまでも、非合理的な経験そのものの実相や独自の論理を掬い出そうと試みるものと理解することができます。
科学主義や実証主義が、知的領域のみならず、私たちの日常的な価値観にまで浸透すると同時に、その反動のように、宗教的な狂信や、スピリチュアリズムの台頭が目立つこの現代社会を生きる私たちこそ、こうしたジェイムズの哲学から学ぶべきものが多くあるのではないでしょうか。
次回からは、『純粋経験の哲学』第1章「「意識」は存在するのか」を皆さんと実際に読んでいきたいと思います。

さて、火曜日のゼミでは、『公共哲学入門』(NHKブックス)を読んでいきます。こちらのゼミは、テキスト本文を一文ずつ読み進めるジェイムズゼミとは違い、担当者が作ってきたレジュメをもとに内容を理解する形で進めていきます。今回(9/5)は、小林が本書の「はじめに」と「第一章 公共哲学は何を問うのか」をまとめてきました。
「公共的」の意味を、①記述的、②規範的、③一般へのアクセスへ開かれていること、④公共的価値という観点から説明したもの、公的と私的の区別が確固たるものではないこと、公共圏をめぐる近年の3つの言説など、公共哲学を知らない者にとって、とても勉強になる内容でした。ゼミでは、内容理解に加え、参加された方々が公共「哲学」であることの意味について(公共哲学の手法は実証的、科学的手法であるにもかかわらず、なぜあえて「哲学」と形容されるのか)、現代の日本社会における公共圏の問題(SNSにおけるムラ社会の復活など)について色々議論が盛り上がりました。さらに、配信を見て頂いた方々が、同時にチャット欄に質問やそれに対する応答などを書き込まれて、そちらでも独自のゼミが開催されていたのが、とても興味深かったです。

ジェイムズ『純粋経験の哲学』ゼミと『公共哲学入門ゼミ』の当日資料(レジュメ)はこちらからダウンロードできるようにしておりますので、ぜひご覧ください。


次回、土曜ゼミは9月16日、火曜ゼミは9月12日に実施いたします。
現在、哲学思考ゼミでは、ジェイムズ『純粋経験の哲学』、『公共哲学入門』以外にも、哲学・思想系論文を読む会(隔週木曜)、シネマ読書会(隔週木曜)などを開講しています。
さらに、有志の方が集まる自主勉強会や、大学院入試についての情報交換、専用Discordでの交流をしていただくことができます。

現在、哲学思考ゼミは参加者を募集中です。哲学の本をみんなと一緒に読みたい、大学のゼミの雰囲気で勉強してみたい、哲学についてみんなと議論や情報交換してみたい方等々、興味・ご関心お持ちの方は、下記よりお申込みいただけます。ぜひご参加ご検討いただけますと幸いです。

・HPよりお申込み(PayPal)☞https://www.dehors-org.com/seminar
・Peatixよりお申込み☞https://dehors-org.peatix.com/
・noteよりお申込み☞https://note.com/dehors_org/membership/join

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哲学を学ぶことは時に孤独です。ソトのガクエンの哲学思考ゼミは、哲学が好きな同志が集まり、一緒に助け合いながら哲学を学ぶことができる場です。ゼミ生一同、皆様のご参加を心よりお待ちしております。


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