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「起業家が描いた世界が現実になっていく」 新卒でキャピタリストを選んだ理由と仕事の醍醐味。

DEEPCORE キャピタリストの奈良 勇輝に、インターン経験から入社に至ったきっかけ、そしてキャピタリストとしての現在と今後についてインタビューしました。

<プロフィール>
奈良 勇輝(Yuki Nara)
主にハードウェア、Fintech、GX領域のスタートアップを担当。永田町・霞ヶ関で1年弱ほどフルタイムで働いた後、2021年にディープコア入社。一橋大学法学部卒。2023年に注目するのは、生産現場と販売現場の間で、テクノロジーの活用による情報流や業務フロー変革を起点に業界構造を変えるスタートアップ。

インターンで痛感した自分の無力さ。そこから視点を引き上げてくれたメンターとの出会い

——まずはインターンでどのような経験をしたか教えてください。

約4カ月間のインターンでは、主に3つの業務を経験しました。

1つ目に投資先候補との面談への同席、そして2つ目にメンターとディスカッションをして投資委員会資料のドラフトを書くこと。この2つが大きなウェイトを占めていて、3つ目にさまざまな情報をリサーチしたり海外の記事をまとめたりするという業務が少しありました。

——インターンをする前と後でどのような変化がありましたか。

最初はただただ自分の無力さに気づかされるばかりで、何をどう努力すればよいのか全くわからない状態。そこから「何ができていないのか」「何を勉強すればいいのか」という課題がクリアに見えるようになったのは、成長というかまず変化できたポイントかなと思います。課題が見えれば、あとはそれに向かって努力するだけ。自分がやるべきことが明確になったんです。

——メンターとはどのようなコミュニケーションがありましたか。

「池の中でパンを待つ鯉になるな」と言われたのは今でもよく覚えています(笑)

インターンを始めた当初は、わからないことがあったときに「〇〇がわかりません」としか相談できませんでした。

そんなとき、「わからないのであれば、どうやったらわかるようになるのか、そのためのアクションの仮説を持ってきて。それを元に議論しよう」とメンターに言ってもらったんです。

そうして修正を重ねるうちに、自力でキャッチアップできる内容もスピードも改善していきました。

——インターンから参画してVCに新卒入社し、若さゆえによかったと思うことはありますか。

20代前半の起業家のコミュニティも多いので、そこに入れるのは利点ですね。DEEPCOREのように明確な特徴があるVCに所属しているということで、若いキャピタリストが集まった中でも多少は相手の印象に残ることができます。

正直、起業家の方にお時間をいただく際に、若いからこそよかったと思えることはありません。よくいわれていることですが、新卒VCの若手には個人に紐づく明確な武器がまだないからです。

一方で、検索しても出てこないようなテック系スタートアップの成功・失敗事例や小さなTipsを蓄積していくことは非常に重要なので、それを若いうちからできているのはよかったかなと思っています。

数年後に若くしてVCに入ってよかったと思えるように、今現在はとにかくスピード感を持って学び、数多くの経験から吸収した情報をどのように料理して各起業家へ伝えれば価値を感じていただけるか、ということを日々考え、引き出しのパターンを増やしているところです。考えるべきことは山ほどあります。

——インターンで学んだことで、今も大事にしていることはありますか。

「自分が答えるべき問いを、常に考える」ということです。

日頃から問いを持ち、答えを出すためのアクションをして、それが毎週どれだけ進捗したかを明確にすることを、キャピタリストとして成長していく上で大事にしています。それってまさに起業家がやっていることと同じだと思います。

とにかく早く打席に立ち、経験と専門性が得られる環境に身を置きたかった

——DEEPCOREに新卒入社したきっかけと選んだ理由について教えてください。

外資系投資銀行や戦略コンサルのインターンや選考も受けて他の会社も検討しましたが、最終的にDEEPCOREに決めた理由は3つあります。

1.優秀な上司がいて学べること
2.自分に色をつけられること
3.経験・実績を早く積める環境であること

——優秀な上司がいて学べるという点について、今までの上司からどのようなことを学びましたか。

まずは土台として、シードVCとしての起業家とのコミュニケーションの取り方を教えてくれた上司もいましたし、シードでもしっかりエグゼキューションする重要性を教えてくれた上司もいます。

きちんとデューデリジェンスをするとはどういうことかとか、契約書のレビューとは何たるかとか…。地に足がついた投資家とは何かを教えてもらえました。

「優秀」の定義ですが、主導権を握り続け、どれだけ工夫できるか突き詰めていることだと私は思っています。

持っている物差しや会話の仕方はそれぞれですが、バリュエーション交渉、契約書の交渉、社内での議論など、どのような場面でも何が最善なのかを常に考え、自分の意思を持ち、その実現のために十者十様の工夫をしています。そのパターンを学べるのは貴重です。

——2つ目の理由である色(専門性)をつけられるというのはどのようなことでしょうか。

その会社にいないと見ることのできないクローズドな事例を元に学習し、経験も数多く積むことで専門性が生まれると思っています。DEEPCOREは、投資対象をAI及びその周辺領域に絞り、且つシードフェーズで数多く投資をしているので、専門性を身につけられると思いました。当然、その土台となるハードスキルは必死で勉強しますが。

——経験・実績を早く積めそうだというのはインターンのときに感じましたか。

はい。他のファンドも検討する中で、新卒採用の枠で求められる業務というのが大体どういうものなのかわかったのですが、多くの場合、ソーシングにほとんどの工数を割くように感じましたし、決裁にかけられる数も少ないなと思いました。

ソーシングと投資先支援は初期から両輪で回さないと、キャピタリストとしての立ち上がりに時間がかかると思っていました。

DEEPCOREは、上にすぐ決裁者がいて新規案件の相談もすぐにできますし、メンターの担当していた支援先に継続して携われるということもあり、いいスタートダッシュが切れたと思います。

——打席に立つことが大事なのですね。

VCで打席に立つことの意味ってめちゃくちゃ大きいです。自分のトラックレコードを早く積むことが重要なんです。起業家の数も増えていますが、VCは、CVC (コーポレートベンチャーキャピタル)も含めて増えています。結構レッドオーシャンな中で、実績を残していかないと消えていくしかない業界です。

いかに経験を積めて、専門性が身につくか、実績を作るチャンスがあるか。それがすごく大事ですね。

これを理解した上で、ファンドとしてのリターンの最大化と人材育成が相互に良い作用をする仕組みを考えてくれているシードVCは、DEEPCOREしかないんじゃないかなって思います。

——入社してから2年間の仕事について教えてください。

ソーシング、クロージング、投資先の支援の3つをバランスよく経験してきました。ソーシングだけやってください、のような分業が全くないので、VCの仕事の全体像が理解できたと思います。

どうしてもやりたい案件があったとき、数ヶ月かけて社内で説明し、「じゃあやってみよう」と言ってもらえて投資に至ったこともありました。よい案件も苦しい投資先の支援もいろいろ見ることができて、この2年間はすごく濃くていい環境だったなと思います。

担当しているDegas社の視察でガーナへ

5年後、10年後に世の中を変えうる人たちに出会えるのがVCという仕事

——奈良さんにとって、キャピタリストの仕事の醍醐味は何でしょう。

起業家の可能性や作りたいサービスの価値を信じ、それを正当化する仕事だと思っているので、そのワクワクと緊張感のせめぎ合いが醍醐味だと思います。

今はまだ仮説やプロトタイプしかないというフェーズでは、客観的に事業価値はつけられないと考えられます。シードのVCはそのフェーズで起業家を信じてPre〇〇億円という株式価値をつけて投資をします。

当然、投資をする際にはLPに対してリターンの蓋然性を説明する必要があります。その蓋然性の説明はまさに起業家の将来実現する事業価値をあらゆる方法で説明し、取り組みを正当化する作業だと思っています。

ご一緒させていただく起業家の描く世界にワクワクし、応援しつつ、LPに対してはそれを応援することがリターンにつながるという説明責任を果たし、その実現に向けて投資後もご支援する。この構造の中で働けるのはとてもやりがいを感じます。

——投資先をサポートする上で気をつけていることはありますか。

起業家視点では資源をフルに活用して事業を作ることと、資源を集めるために外部と行うコミュニケーション(特にIR)は別のものですし、シードのフェーズでは特に事業を作ることに集中したいはずです。

出資検討や投資委員会資料を作成する過程で一定お時間をいただいてしまいますが、その過程で他投資家とのIRにも生きるような観点をお伝えしたり、事業を長期で見たときの議論を行い、調達後次のマイルストンまでのアクションをより磨き込んだりできるようにしたいと考えています。特にDEEPCOREの支援先はこの辺りの整理が非常に難しい会社が多いので、日々考えています。

——VCという仕事をしていてよかったと思うのはどんなことでしょうか。

起業家って、VCっていう立場がないと会えない人たちだと思うんです。5年後、10年後に世の中を変えうる人たちに会い、彼らが何を考えているのかリアルな温度感を持って聞き、自分にはない世界の見方の物差しを知ることができるのは他にはない経験です。

特に、AI及びその周辺領域のスタートアップの場合は、レガシー産業を市場とすることも多く、業界構造理解のために現場へ通っていたり、研究開発に没頭していたりして、SNS上に全く登場しないような人たちも多くいます。そういう人たちも含めて本当に素晴らしいスタートアップに出会うのは、VCの仕事でなければなかなか難しいことだと思います。

——最後に、これからどんなことをやっていきたいですか。

成功・失敗パターンの引き出しをさらに増やしたいです。事業にはこれをやったら確実にうまくいくみたいなものはありません。具体的な過去の事例やインサイトを蓄積し、それを参考にしつつ少しでも成功確率の上がる意思決定をできるようにサポートすることが重要なので、その引き出しをDEEPCOREでもっと増やしたいと思っています。

あとは、起業したばかりの人たちと早いタイミングで接点を持つことです。起業直後のフェーズからシリーズA以降までを見据えたディスカッションをして、初期から伴走したいです。

そしてさらにいえば、これまではスタートアップ側のフロントの経験が多かったので、LPと向き合う仕事の経験も積みたいなと思います。我々もLPからお金を集められないとスタートアップに投資をすることができません。なので、我々のファンドをどう差別化し、フィナンシャルリターンを前提としてLPのニーズをより理解し、どんな価値を提案できるかを考えていきたいと思います。

それらができるようになることは、LPとDEEPCOREへの貢献、そして起業家の方への支援にもつながるものだと考えています。

▼採用情報
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