Weのがっこう開校へ向けて: なぜ気候危機時代、"わたしたち"のウェルビーイングを探求するのか
こんにちは。Deep Care Labの川地です。今回、気候危機時代にわたしたちのウェルビーイングを探究するオンラインのラーニング・プログラム「Weのがっこう」を2021年10月8日(金)〜12月10日(金)・全10回で開校します!さらにさらに、9月21(火) にはドミニク・チェンさんをお呼びして、プレイベント&説明会も行います。
Deep Care Labでは「あらゆるいのちをケアする想像力をはぐくむ」をミッションに活動していますが、はじめて作るプログラムは、その思想を織り込んだもの。ぜひ共感してくれる仲間たちと一緒に実験したいと思ってます!!!
今回は、そのお知らせも兼ねて、なんでこんなことやるの?という開校への想いをお話します。
なぜ、気候危機とウェルビーイングなの?
コロナウイルスは、わたしたちの暮らしや社会のあり方に限界を提示しました。大量消費と生産、もっと速く・もっと便利に・もっと多くを追求する経済社会。少なくない数の人が、これまでの資本主義社会への危機感をおぼえ、仕事や生き方を考え直すきっかけにもなったと思います。
そんな中、ウェルビーイングという言葉も広がりました。ウェルビーイングは「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」や心身と社会的な健康を意味する「幸福」的な概念として一般的には認識されており、実際に瞑想やヨガとともに「自分と向き合い、心地よさを知る」ように使われている場面もあり、違和感を感じます。わたしに向き合い、心地良さを見出そうも、必要だけどそれで終わっていいのか。
今回のパンデミックは、開発による森林・環境破壊から、住む場所を失った野生動物と人の距離が近接したことが背景にあり、また温暖化により永久凍土が溶けることで新しいウイルス発生の可能性も叫ばれます。つまり「気候危機」と切っても切り離せないもの。気候移民という言葉もありますが、野生動物はまさに住処を失われてさまよう気候移民であり、その結果、世界中の人々が死に至るパンデミックにつながっている。この状況が落ち着いたとしても、未来にかけてまた起きます。異常気象しかり、食糧危機しかり、未来の子どもたちがどう生きるかにも当然つながる。
各々の豊かなライフスタイルが、社会をかたちづくり、パンデミックを招き、今に至ることを考えれば、これからの時代に「ウェルなあり方」を見直すことは気候変動を前提に考えなければいけないのではないでしょうか。
"わたしたち"って誰なの?: わたしたちの射程をひろげ、想像力とケアに満ちた未来へ
Weのがっこうでは"We"と掲げているように、"わたしたち"をキーワードに置きます。プレイベントのゲストであるドミニク・チェンさんが述べられるとおり、ウェルビーイングは"わたし"に閉じていません。
一人でいる限り、個人のウェルビーイングに良いも悪いもない。しかし、その個人が複数集まったとき、何を優先すべきか、ウェルビーイングに関する競争が生じる。ある人のウェルビーイングを満たすことは、別の人のウェルビーイングを損なうことにもなりうるのである。
ーわたしたちのウェルビーイングをつくりあうために: はじめに より
たとえば恋人が病気や怪我をしたら、自分も辛くなる。"わたし"は"わたし"だけで生きておらず、常にまわりと相互的に関係している。その視点でウェルビーイングを考え直すことが必要です。つまり、"わたしたち"を考えることで"わたし"に向き合う。コロナ以前から、どこか「今ここにいる自分さえよければ」という空気感や、目の前の欲望だけを見つめる危うさを感じていました。それは自分自身にも、感じていた危うさです。それを自分自身、乗り越えたいのです。
わたしさえ、からわたしたちへ。でも、その"わたしたち"って、身近な恋人や家族だけの話なんだっけ?これが、今回のプログラムのコアにあります。
豊かな休日のブランチの一皿。その食文化は先人が築き上げ、野菜が育つには人の手のみならず、土中の微生物やミミズが働き、また1cmの土ができるには100年もの時間を要する。一方でその一皿が、フードロスや近い未来に起こる食糧危機へと繋がっている
たった一皿を成り立たせるために、過去の人々からフォークにナプキンといった人工物、自然環境や生きもの、未来の子どもたちまで多くと関係します。それは、先に見たように、他の生きものや未来の子どもたちが豊かに生きられるかに関わります。「わたしだけのウェルな暮らし」はこうした無数の存在との相互関係にあります。
わたしのウェルビーイングは、常に「わたしたちの関係」の中にある。そして、これまでは狭い範囲の"わたしたち"しか見てこなかった。その射程をひろげることで、わたしを取り巻く関係へもっと想像力とケアのこころ、関心をもち、生きていく。わたしたちを踏まえ、わたしを引き受けていく。そんな未来に向けての一歩をともに実験したいと思っています。
ここで言うウェルビーイング: よきあり方
Weのがっこうでは、ウェルビーイングを「よきあり方」と捉えます。未来のために今を犠牲にしたり、我慢ばかりするのは違う。とはいえ、起こっていることに目をそむけ、ただ心地よさに安住するでもない。
簡単なことではありません。矛盾や葛藤も大いにあるでしょう。コロナウイルスのように、野生動物と近づいたから起こる難しさだってあります。"わたしたち"とは仲良しこよしで済ませられない、だからこそ難しい。だから、その難しさも自覚して、どんな態度で生きるのか。そうした「あり方」の見つめ直しを指しています。
とはいえ、Weのがっこうでは共通の答えを出すことがゴールではなく、考える態度と視座をはぐくみ、実験を通して一緒に探求する。それを大事にしたい。そして、今後ももやもやしたら真っ先に相談できるし、「こんなコトを起したい」と思ったら仲間になってくれる。そんなご縁へ紡がれるなら嬉しいなと思います。
こんなプログラムです
全10回。隔週で4つのメインモジュールから成り立ちます。「自然・生きもの」「人工物・モノ」「過去・祖先」「未来・こどもたち」の4つ、それにオリエンテーションと、最後にリフレクションとコトへつなげるセッションがあり全10回です。
「わたしたち」を考えるときに、自然・いきものや未来世代はわかるけど、なんでモノなの?と聞かれます。
ぼくたちが生きるこの時代、地球には生きものよりも人が手掛けた人工物であふれる時代です。そんな地球を作り変えてきた人工物。見渡せば、いまこの文章を書いてる机にも、パソコン・コップ・イヤホン・お菓子・スマホ・ペン・本...と大量のモノに囲まれます。「エシカルファッション」などもトレンドですが、人工物がなくなるわけではありません。では、どういう向き合い方をするのか、それが重要ではないかと思うのです。
また、なんで過去や祖先、死者なの?とも聞かれます。
今は遠い未来を見通せない、目の前の忙しさで追われる時代。そんな中、単に未来を語る難しさもある。また、その未来が、未来の子どもたちに押しつけになってもいけない。過去に積み上げた先人の想いやそこから形を変えながら受け継がれているもの、このまなざしを持つことが、自分を過去と未来のあわいにいる存在だという捉え直しへつながり、未来に目が向いていく契機になるのでは。そんなところからあり方を見つめ直したいと思います。
ふれる内容のイメージ例
16名のともに探求と実験を行い、学び合える人
今回Deep Care Labで行うはじめてのプログラムです。しかも全編オンライン。このプログラム自体が実験的であり、それを楽しんでくれる、むしろ一緒につくりあげていけるような最初の16名を募集したいと思っています。ぼくだって自分のことしか考えてないし、プラスチックをゼロにして生活してるわけではない。あーどうしような、って思ってます日々。だから一緒にもやもや考えましょうよ。
参加者として、こんな方がいれば、ぜひお待ちしています。共感いただけていたら、どなたでもご参加できます。就活を控えていたり、社会人になる前に自分と時代を見つめたい学生さんも歓迎です。
◎現状の社会や仕事に閉塞感を感じ、広い視野で自分に向き合いたい
◎知的好奇心が強く多様なテーマを知りたい、探求したい
◎仕事に追われているが、見逃されがちな大切なことに向き合いたい社
◎人や社会のあり方から自分なりの思想を編み上げ、コトへつなげたい
応募の要項について
アーカイブ配信もあるので、この日は予定が〜〜!!という方もフォローアップします。
◆Weのがっこう
日程:2021年10月08日(金)から12月08日(金)
場所:zoom
募集人数:16名
参加費:税別35,000円 (3名限定の学生チケットは10,000円)
※0期特別価格で実施
※参加費には各回のアーカイブ配信も含まれます
お問い合わせ: info@deepcarelab.org
👇詳しい情報・ご参加はこちらから👇
プレイベント
また今回の開催前、2つのプレイベント&説明会を行います。もっとプログラムやノリを知りたい、という方、ぜひご参加ください。
◆<あいだ>からわたしたちを考える: 人と自然、人とモノ、過去と未来
ゲスト: 小林泰紘 (一般社団法人 EcologicalMemes 共同代表/株式会社BIOTOPE 共創パートナー)
日程: 9/17(金) 19:00-20:30
場所: zoom (アーカイブ配信あり)
参加費: 無料
参加はこちら👉 https://deepcarelab-weschool-pre2.peatix.com/
9/21には「日本的ウェルビーイング」研究でも著名なドミニク・チェンさんをゲストスピーカーとしてお呼びします。最近では「[コモンズとしての日本近代文学](https://amzn.to/3gCNHHW)」を上梓され、ここにもたくさんのヒントが眠っている気がする。とても尊敬している方にお話していただけるのはドキドキです。
◆気候危機時代に考える、わたしたちのウェルビーイングとは
ゲスト: ドミニク・チェン (情報学研究者)
日程: 9/21(火) 20:30-22:00
場所: zoom (アーカイブ配信あり)
参加費: 無料
参加はこちら👉 https://deepcarelab-weschool-pre1.peatix.com/
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