夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】10

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

チューナーを取り出して六本の弦の音合わせを始める。


ギターの音色が美しく公園内に響く。
ピックを持つ指先がいつもより熱い。


『柴田さん、俺、俺、肝心なことを教えられたよ』
その言葉を聴いて二人は吃驚した。


思わず顔を見合わせた。
じっと見つめ合った。

『由里・・・』
『サマンサちゃん』


雄平はいきり立った。
『待て待ておまえら。イエローカード笛ぴっぴっや』
ハッと我に返るふたり。


『ごめん、つい』
『雄平くん、俺もつい。すまない』
『何がついだよ、まったく』

雄平はギターを弾き始めた。
やがて周囲には子供たちやサラリーマン、キャバ嬢や爺さん婆さんまでが、声援を送るほどのギャラリーで埋め尽くされた。


これまでと少し違いを感じるのはバーでの影響が大きな要因だろう。

雄平の奏でるギターの音色には魂が宿っていた。
これにはさすがに柴田も由里も驚きを隠せなかった。
『おぉ~、由里』
『あん!サマンサちゃん』


雄平はギターで柴田の頭をしばき、由里の尻を叩いて激昂した。
『お前ら。またしてもか~。レッドカード笛ピー試合終了じゃあ』

ふたりは土下座をして謝った。
観衆からドッと笑いがこぼれた。


柴田は言った。
『雄平くん。六人目の林に会わせてやろう』
『会っても無意味だよ』
『雄平くん、来週にこの前のバーで林の単独ライブがある』

由里の説得もあって渋々承知した雄平は、このことで更にふたりは出来てるのではないか?と勘繰った。


うやむやな気持ちを仕舞い込み、歌を再開させた。
いつしか子供たちもサラリーマンもキャバ嬢も居なくなっていた。

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