ウクライナ情勢で相場急変動。投げ売りも見られたが、資産回避先としての買いも発生。
前週からの動向
ウクライナ情勢が緊迫していることが嫌気され、安値圏でのレンジ相場となっていた暗号資産(仮想通貨)市場は、24日のロシアによるウクライナ侵攻開始の報道を受け急落。
ビットコイン(BTC)は一時35,000ドル割れまで10%超の下落となり、1/24の年初来安値に差し迫る勢いであった。
下向きトレンドが継続していたこともあり、安値を割った場合、長い下落局面に突入する可能性が高いと思われたが、ショートカバーや割安感での買いの勢いも強く、翌日には下落前水準に戻る"いってこい"の展開となった。
その後、週末までは1BTC=40,000ドルを挟んだ動きが続き、ウクライナ情勢を見極めようとする投資家心理が垣間見える方向感の定まらない膠着状態となっていたが、本日になって価格の急回復を見せている。
急上昇の背景には、今回のロシアのウクライナ侵攻に対し、西側諸国の経済制裁の最終手段としてSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシア一部銀行を排除することが合意されたことが挙げられる。
ロシアの銀行業務が正常に行われなくなるとの不安感や、ロシアルーブルの先安観によって、資産の逃避先として暗号資産への資金流入が急増しているとの見方がある。
また、ウクライナ側でも自国通貨をビットコインに変える動きが活発になっているようだ。
ビットコインは日本円ベースで一時500万円までの回復を見せ、直近安値圏を脱出したかのような動きにも見えるが、日足では依然下落トレンドのようにも見える。
100日移動平均の516万円あたりがいったんの高値になってしまうのではないだろうか。
緊迫した情勢は続いており、新たなネガティブ材料一つでいつ暴落を引き起こしてもおかしくない状況であることは確かだろう。
市況情報
他金融市場も上下激しい動きが続いている。
株式市場は急落、急騰を繰り返しているが、徐々に高値を切り下げる下落トレンドとなっており、拭えないリスクオフムードが漂っている。
資産の逃避先の代表格といえる金の価格は上昇しており、史上最高値も射程圏内といえるだろう。やはり「有事の金」の動きは健在のようだ。
市場の注目が集まるのは、ロシアルーブルの動向だ。
石油関連事業を主要な産業とする産油国ロシアは、本来原油高の局面ではルーブル価格も比例して上昇することが多かったが、現在に限っては経済制裁を背景に異例のロシアルーブルの投げ売りが発生しており、2月上旬には1ルーブル1.5円ほどだったレートが現在約1.1円と大幅な下落となっている。
ボラティリティが激しく、この相場をチャンスととらえる投資家もいるようだが、ご自身の資産を守るためにもポジション管理には十分にお気を付けいただきたい。
筆者:齊藤成芳
参照:Bitcoin日本語情報サイト
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