読書感想:ジェネラティブ・アート - Processing による実践ガイド
ジェネラティブ・アートをいかに作るかを解説した本「ジェネラティブ・アート - Processing による実践ガイド」。 私はこの本を読んで変わりました。 ジェネラティブ・アートの作り方、作るときの考え方をガラリと変えてくれた、私にとってのバイブルです。
Processing を初めて学ぶにも良い本
この本には、変数、条件分岐、ループ、関数などなどプログラミングの基礎解説もしっかり入っており、それぞれをノイズや三角関数をからめた Processing の作例を通して説明していきます。
実際に作例を楽しみながら一通り進めていくことで、プログラミングをマスターした!というレベルまでは難しくても、 Processing で作品を作ることが出来るところまで十分にいけるでしょう。
解説の中でも秀逸なのが「線を引く間違った方法」と「円を描く間違った方法」。ここを読めばランダムやノイズを上手く扱えるようになり、ここまでの知識で相当面白いものを作れるようになります。
「円を描く間違った方法」を読んで作ったのがこれ。
ただ、2012年刊行の本なので 2020年 3月現在では古くなってしまっている情報も見られます。
例えば「Web ブラウザでスケッチを動かすなら Processing.js を使うのが主流」とありますが、Processing.js は既に開発が止まっており、現在は p5.js を使うのが主流です。
著者の作品集サイトだった http://www.abandonedart.org/ も無くなってしまっています。
そのような欠点もありますが、そんな欠点をものともしない価値がこの本にはあるのです。
イントロダクションだけで買う価値あり!
先に述べたように、この本には Processing でのプログラムを書く上で必要となる事柄が十分に掲載されています。
しかし、著者がこの本で理解してもらいたいこととして『どうやったらプログラミングが自分自身に芸術的な感動を引き起こしてくれるのか』を挙げているように、この本はProcessing の構文の説明やプログラミング解説というよりも、どうやってジェネラティブ・アートを作っていけばいいかについて書かれている本だと思うのです。
この本は Processing のプログラムを書けるようになるとか、作品を作れるようになるとかを通り越して、作る作品の面白さについての自分自身の壁や、溝や、膜や、ジャングルや、闇や、なんかそんなものを乗り越えて、その向こう側へと引っ張っていってくれる本なのです! それこそがこの本の価値です!
私が最も影響を受けたのは「イントロダクション:有機的なものと機械的なもの」です。ここの『自然界の混沌と人間が好む秩序の間のバランス、このギリギリの境界にアートが生きている』という主旨の部分で私の作品作りの考え方が変わりました。
最初にこれを読んだときは『なるほどなぁ。でもどうやったら…?』と思っていましたが、「円を描く間違った方法」のところまで読み進めたらなんだかヒントが掴めた気がしました。
実はまだ全部読んでない
私は「円を描く間違った方法」までを読んだら、自分で何か作りたくてたまらなくなって読むのを中断して作品作りに没頭、それからもう2年以上が経ちます。「自然界の混沌と人間が好む秩序の間のバランス」を意識しながら何年もやってきて、最近作ったのがこれです。
う〜わ!キンもー!🙈
そんなわけで「円を描く間違った方法」の続きをまだ読めていません。
その先には
・ 群衆アルゴリズム
・ セル・オートマトン
・ フラクタル
など面白そうなネタがまだまだ沢山! そろそろ続きを読んでみようかなと思っています。
…しかし、続きのネタで今度は何年間作品作りすることになるんだろう?
田所先生の本も巴山先生の本も読みたいのですが、この本を読み終えないと手が出ません… 手を出すのは何年後のことだろうか…?
参考
出版社のサイトから作例のソースコードをダウンロードすることも可能です。
マット・ピアソンさんのサイト
マット・ピアソンさんの Twitter
※あんまりジェネラティブ・アート関連の投稿無い…
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