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発達障害に特効薬はなくても…自分らしく生きるには?

発達障害の特効薬……これさえ服用すれば発達障害は治るという薬は存在しないと言われています。ADHDに関しては特性の緩和が期待できる薬もありますが、それも絶対ではないでしょう。私は医師ではないので、薬物治療に関しては何も言えません。それでもASD当事者としては、薬物によって本人を変えるよりも、本人を変えないまま環境を調整した方が、はるかに生きやすくなるのではないか……と実感しています。

ASD当事者である私の服薬状況

実は今週末、約半年ぶりに精神科へ足を運びました。

私は2014年に発達障害の診断を受けたものの、約9年間は有難くもあまり通院することなく過ごせています。私自身は服薬していないから、定期通院の必要がないんです。

ADHD向けの薬であるコンサータやストラテラは飲んだことがないし、インチュニブは試したことがあるものの、副作用で血圧が下がるのが怖くて3日で止めました。そもそも私はASDの傾向の方が強いため、ADHD向けの薬はあまり意味がありません。

統合失調症向きと言われているエビリファイだけ、聴覚過敏に効くかもしれないという理由で、1〜2か月間だけ極々微量を服用したことがあります。でも、あまりにも効果が感じられないため、服用を続けることはありませんでした。

「発達障害があるのに、通院するのは年1〜2回あるかないか……」と打ち明けると、なぜかこちらが驚くほどびっくりされます。障害者雇用の面接だと、服薬のコントロールができていないと誤解されそうです。実際に面接で微妙な空気が流れたこともありますが、本当のことだから仕方がありません。

じゃあ、なぜ約半年ぶりに通院したのか?

どうしても眠れなかったからです。睡眠が安定しなくて、睡眠薬を頼みたいときだけ、私は主治医のところへ相談に行きます。(それでも、数年にあるかないかの頻度です)

仕事が大変なだけで、病気ではない?

約半年ぶりにお会いした主治医は、相変わらず飄々とした様子。主治医はこのnoteでも数回だけ登場したことがありますが、とにかく飄々としている人です。

(たとえば、こちらの記事で登場↓)

「睡眠薬を処方してほしくて来ました!」

と、私が単刀直入に言ったら、
「へー、何で?」と炭酸が抜けたような声で尋ねる主治医。

「あまり眠れなくて……睡眠時間は何とか6時間確保できているんですけど、途中で目が覚めちゃうんです」と私。

「いや、中途覚醒は珍しくないから、それだけでは病気と言えない」とズバリ。主治医は炭酸が抜けているようで、言うときはちゃんと言う人です。

「他に原因がありそうだね……何かあった?」と主治医が聞いたので、私はこの半年間の出来事を話しはじめました。昨年の秋に職場が移転したことから、今も暴風雨のような状況が続いています。

  • 1か月間で最高30時間以上の残業。

  • 人員不足による業務のしわ寄せが、自分にどっと押し寄せてきている。

  • 先月(2月)は月数が少なく祝日もあることから、通常業務がタイトスケジュールで、なおかつ突発的に業務量が増えた。

  • 今月(3月)は年度末のため、さらに忙しくなることが予想される。

  • 通勤時間が以前よりも長くなり、しかも電車がさらに騒がしくなった。

  • 職場環境がガラリと激変。

この状況を淡々と箇条書きしただけでも、胃がきゅっと縮みそう……そもそも私は、都心部へ電車通勤するのも、週5日間フルタイムで働くのも本当はしんどい人間です。

(職場の移転について、詳しくはこちら↓)

私の泣き言を聞いた主治医は、こんな風に答えました。

「あー、がんばっているんだねー。
でも、それは仕事が大変なだけであって、あなたが病気なわけじゃないよ。
睡眠薬なんて飲んでもおかしくなるだけだからさ。出さない方がいいね」

……たしかに。私を治療するよりも、業務量を減らすなどの環境を調整した方が、今の自分にはよさそうです。この半年間で環境が激変したこともあって、環境がいかに心身に影響を及ぼすかひしひしと感じています。

以上で診察は終了。主治医は笑顔で手を振りました。

服薬で自分を変えるより、自分を変えない環境を

発達障害に特効薬があれば、服用するか否か。

もし当事者ならば、誰もが一度は心に問いかけたことがある命題ではないかと思います。

私は多分、服薬しない方を選ぶけれど……このどうしようもない生きづらさが解消されるのなら、ちょっとだけ試してみたい気もしなくはないです。

それでも約9年間、発達障害があるのを知っている自分を体験してきて、つくづく実感していることがあります。

前回も書いたけれど、発達障害って自分の中というより、社会との関係性の中にあると思うんですね。だから、自分を無理やり変えるような服薬よりも、自分を変えないで生きやすくなる環境があるなら、だんぜんそちらを選びたいです。(もちろん、服薬治療している方を否定するつもりは120%ありません。自分らしさをサポートするための服薬は必要です)

「あー、がんばっているんだねー」
主治医のその言葉を聞くために、私は今週末に通院したように思います。

今の自分を変えようとするよりも、今の自分をそのまま受け入れてくれる人がいる方が、私は幸せです。


(前回の記事は、こちら↓)


【お知らせ】
今、わりと、大変な状況が続いています。自分としては、心身を休めることを優先したいです。
noteには素晴らしい投稿で賑わっていますが、しばらくは見て回ることが少なくなると思います。次回以降の執筆も、軽めの記事を考え中です。
以上、よろしくお願いいたしますね。


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