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3つの思考タイプ別・ASDの適職と仕事へのアプローチ方法

自閉症スペクトラム(ASD)の人にとって、どのような仕事を選ぶかは、まさに死活問題。得意・不得意の差が激しい当事者にとって、苦手なことばかりを強いられる職種は、長く続けることが難しいからです。

ここでは、『アスペルガー症候群・高機能自閉症のハローワーク』(テンプル・グランディン、ケイト・ダフィー:共著)を参考にしながら、ASD当事者が適職を選ぶポイントを紹介します。

テンプルさんは、脳を3つのタイプに分類して、それぞれのタイプが得意なことを生かしやすい職種をリストアップしています。自分がどのタイプに当てはまるのかを把握することは、求職中の人はもちろん、すでに就職されている人でも役に立つはずです。

脳の3つのタイプ(視覚型/音楽・数学型/言語・翻訳者型)


ASDの人の脳は、短期記憶が苦手。その一方で、長期記憶が優れている傾向があります。

短期記憶が苦手だと、複数の作業をいっぺんに行うことが難しくなってきます。その代わり、長期記憶が優れているため、多くの知識を長い間覚えているのは得意中の得意です。そのため、専門家や研究者や技術者などに向いていると言われています。スペシャリスト向き、ということですね。

テンプルさんは、ASD特有の専門化した脳の働きを、大きく3つのタイプに分類しています。

(a)視覚型の脳…絵や映像で考えるのが得意。

(b)音楽・数学型の脳…音のリズムや数のパターンで考えるのが得意。

(c)言語・翻訳者型の脳…言葉やリストで考えるのが得意。

あなたは頭のなかで情報を処理するとき、この3つのタイプのうち、どのように考えるのが得意ですか?それぞれのタイプの才能を生かせそうな仕事として、以下のような職種があります。

(a)視覚型の人に合いそうな仕事

建築・工学製図技術者/写真家/動物の訓練士/グラフィック・アーティスト/貴金属・宝石細工工やその他の工芸/ウェブデザイナー/動物医療技術師/自動車整備士/機械の保守管理技術者/コンピューターのトラブル処理担当者/演劇の照明監督/産業オートメーションのプログラマー/屋外空間をデザインする人/生物学教師

(b)音楽・数学型の人に合いそうな仕事

コンピューター・プログラマー/エンジニア/物理学者/音楽家/作曲家/統計家/数学教師/化学者/エレクトニクス技術者/音楽教師/科学研究者

(c)言語・翻訳者型の人に合いそうな仕事

ジャーナリスト/翻訳者/司書/証券アナリスト/コピー・エディター/会計士/予算アナリスト/簿記・記録管理担当者/特別支援教育の教師/図書の索引作成者/言語聴覚士/在庫管理のスペシャリスト

自分の思考タイプを把握した方がいい理由


さて、テンプルさんが仰る適職例を見て思うのですが……初めて就職する人ならともかく、年齢を重ねた人が転職するには、あまりにもハードルが高い職種が多いですよね。

適職に就くにあたっては、「現実的になることと、お金の取り扱い方も身に付けることも必要」と、テンプルさんも仰っています。(私もその通りだと思います!)上記の職種をめざすには、地に足をつけて検討した方がいいでしょう。

とはいえ、どの年代の人であっても、自分の思考タイプを知っておいた方が、就職する上での道しるべになるはずです。この思考タイプが分かっていると、実際にその仕事に就いたときに役立ちます。

たとえば、事務職に就いたとして、資料作成をするとき。視覚型の人だったら、パワーポイントで図や絵をいっぱい使った資料を作る方が楽だろうし、言語型の人だったら、ワードで文章を打ち込んでいった方が楽かもしれません。

それから、資格取得のための勉強するとき。視覚型の人はYouTubeのような動画を活用した方がいいし、音楽・数学型の人はオーディオブックを活用した方がいいでしょう。

自分にとって得意なアプローチ方法を試しやすい職場の方が、仕事を続けやすいです。

就職はゴールじゃありません。スタートです。

まとめ


自閉症スペクトラム(ASD)特有の脳の働きを、3つのタイプに分類して紹介しました。

(a)視覚型の脳…絵や映像で考えるのが得意。

(b)音楽・数学型の脳…音のリズムや数のパターンで考えるのが得意。

(c)言語・翻訳者型の脳…言葉やリストで考えるのが得意。

自分がどの思考タイプに当てはまるかを知ることは、求職活動においても、実際に仕事をするにおいても、指針となるはずです。

自分らしさが生かせる仕事ができると、いいですね。


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