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IT事業者が介護事業を行います。

こんにちは。
久しぶりの投稿になります。
さて今回の記事は弊社の進展と振り返りです。

これまでの3年間、アプリ事業やWEB系の制作に保守関連、各種デザインを中心に少し映像系の事業に手を出してみたりなど、IT業界において広いジャンルで活動してきました。

会社と呼ぶにはまだまだ規模の小さな事業所ですが、しっかりと「IT企業」と名乗れる自信のある活動を行ってきました。
そんな我々が今回、畑違いの介護事業を行う事になりました。

ちょっとご興味ありませんか…?



これまでの足取り

今回の記事、じつに1年と8カ月ぶりの投稿になります。
最後の投稿が2021年の11月に書いた経営の話ですね。
それからの私の足取りは・・・

弊社設立1期目は、アプリ事業とWEB制作でかなり慌ただしくしていた。
そこから少し落ち着いて、やりたかったデザイン事業に段々とシフトチェンジしていった。
私はデザインという概念が好きで、それを広義に捉えていて、WEB広告や印刷系などの「実態のあるデザイン」に留まらず、思考する事や表現する事などの「実態のないデザイン」をずっと追いかけている。
(実態がないとはいえそれには「デザイン思考」という名前がついていて、ちゃんと言語化できるものだから独自の理論ではなく分かり合える人とはガッツリ分かりあえてとても楽しく、それぞれにそれぞれの正解が用意された素敵なもの)

私は学生の頃から「会社をやりたい」という思いが強くて、そのきっかけとかは分からない(忘れた?)けど経営学が好きで、それがデザインと出会った時にデザイン経営という概念を知って頭に雷が落ちた。「これだ」とビビッと来てからはさらに「会社をやりたい」の解像度が上がってきた。
たんに「会社をやりたい」と言っても代表者の業務と言うのは幅広くて、噛み砕くと、人との関係値を高める力だったり、人に動いてもらう力だったり、理想的なルールの作り方だったり、コミュニティの作り方や運営方法だったり、全体的な目標の立て方だったり、問題の対処法だったり…。実に多くの能力が必要な事に気づかされたし、知識や能力の不足感は私をより一層経営の道に沼らせた。

そういった方向でのデザインに対する思い入れが高じて、2期目からは経営面のサポートに力を入れていった。
コンセプト作りを主に、経営×デザイン(IT)という分野で様々な事に関して相談を頂いた。多様な業種の多様な悩みの中で、結局根本的に(末端的にも)必要となってくる部分はどの業種でも通じるところがあって、そういった事を楽しく思いながら本当に多くの方と関わらせていただいたと思う。このあたりから、業種に囚われずにもっと広く経営というものに触れたいと思い始めた。(畑違いの仕事をいきなり始める事はできないし、この時点ではまだ介護事業という選択は輪郭すら出てきていない。)

変化と言えばもうひとつある。
これまではずっと、グローバルな仕事に面白味を感じていた。インターネットを用いて全国の方を対象に仕事を請け負う方が窓口は広がるし、仕事の規模感も大きくなる。既定の時間に囚われない仕事のスピード感も好きだった。大きなビジネスをするためには、それだけ大きな窓口を用意する必要があると考えていたため、私がITビジネスに辿り着くのは自然な流れだった。
その一方で、地元の相談者と話をする中でローカルなビジネスの面白さに気づいた。インターネット上では希薄な、顔を合わせた人と人との繋がりであったり、信憑性のある口コミの力と言うものを感じた。(ネット上の顔の見えない1000件のレビューよりも、知り合い一人のリアルな意見の方が耳を傾けやすい様子)

ローカルなビジネスといえば大切なのは人と人との繋がり。しかし私はこれまで「人脈」と言う言葉があまり好きではなかったし、その意味をあまり分かっていなかった。良い繋がりがあれば良い仕事が入ってきてーーというザックリとした認識。それが地元の仕事に関わっていくうちに、ごりっごりの人脈社会の存在に気づいた。そして、地元だから成り立つお店の在り方を目にした。その辺りの面白さについては前に書いた記事をお読みいただけたら少しは伝わるだろうか。

こういった経緯でここしばらくは、これまでにお仕事させていただいた取引先様の保守関連の仕事を中心にネット上では息をひそめながらも、現実世界で多くの経験を積み、多くの「可能性」を目にして来た。



新事業-介護の実態

ここで初めて介護の話が登場する。

この話はごりっごりの伝手で、地元で仕事をしていたからこそ入って来た話だ。スタッフには介護歴20年を超えるベテランを含む4名(さらに保留1名)が集まってくれた。業界需要は増加する一方で人手不足が懸念されているこの業界で、このメンバーが居れば上手くいくだろうという確信を持って経営を請け負った。この話が持ち上がったタイミングも良かったのだろう。

介護業界は収益の内7~9割を国からの報酬で活動するため、事業所が利用者様に提供できる内容というのはある程度ルールで決まっている。そしてその中には利益が出やすいサービスとそうでないサービスがある。そういった背景から、企業が利益を追求するあまり利用者様にとって最適なサービスが提供されていなかったり偏りが生じるといった現状もあったりなかったり。それだけではなく、高齢化する介護士問題(老々介護)や、狭い業界内での対人トラブルや、研修期間の短さなど実に多くの問題を抱えている。

このように業界内にトラブルや課題は多く存在しているものの、収益化事業としては十分に運営可能で需要も確実。これは実に取り組み甲斐のある事業だと思った。

私はこの事業を行うことが、若者がこの社会の先行に対して持っている不安感を払拭するためのひとつの手がかりになるのではないかと思っている。

IT企業としてのこれまでの立ち振る舞いとは全く違った世界になるであろうが、ここでのコンセプトもまた「没頭」を採用した。

「ひとりひとりのやりがいを追求する」ことで個の能力を最大化しつつ、組織としても団結し成長することでより良い未来を描きたい。
そして結果として利用者様がこれまで以上に笑顔で生活していくことを願う。

そう思いながら付けたサービス名、
ケアサービスすずらん。
再び幸せが訪れる(幸せの再来)という花言葉を持つ名前だ。

新たなサービスであるためロゴも考案した。
「柔軟にお客様の声に耳を傾ける」姿をすずらんに重ね合わせ、従業員の一人一人のひたむきな姿をイメージしたデザイン。

初案としてこちらを考案した。
柔らかくて優しさを感じる、介護業界らしい雰囲気のロゴだ。
かなり満足したが、自分にとって大切な何かが足りないと感じた。

老々化していく中で可能性を模索するという積極性や、これから新しい力で業界を牽引したいと願う推進力が欲しいと思った。
これまで培ったITとデザインという技術を用いて、私たちらしい新たな切り口を持った企業になるために。

これだ!と思った。


そうして前向きに準備を整えている。
しかし望み通りにはいかない部分が多くある事も想像できる。
現状では認識が甘い部分も多くあるとは思うが、この業界のベテラン達が意欲的に動いてくれる背後で私にできることを考え、牽引&サポートしていきたい。

こうして私は、ローカルでの戦いを始める。



業界の行く末

あらゆる業界は大手4社に集約されるという話を聞いたことがあるだろうか。

ゲーム業界における任天堂とDeNAの資本提携、コンビニ業界でのファミリーマートとサークルKサンクスとの経営統合の交渉も記憶に新しい。
大手に集約されているイメージとして、保険業界や家電メーカーや携帯事業などが思い浮かぶ。さらに最近では銀行の統合・合併も耳にする。様々な理由はあるものの、結果を見て分かるようにそちらの方が全体として都合が良いのだ。

私がこれまで籍を置いていたIT業界というのはまだまだ拡大期であるため個人の参入が多く、個人だからこそ実現する価格や価値提供などが多くある。
介護業界はどうだろうか。年々変化する既定によって参入ハードルが高くなっているものの、小さな事業所が多く存在している。小さな事業所が存在している意味とは何だろうか。提供できるサービスに大きな違いがない状態で、何をもって差別化しているのか。

ここでは書ききらないが、介護業界は特殊な形態をしているように感じる。実態として、全体が競合ではなく協業のような形をとっている。ルールとして独占化されないための仕組みがあるのが大きいが、利用者数に対して供給が追い付いていない状態ならば、奪い合いではなく助け合い市場となるのは納得できるだろう。

しかしこのバランスが崩れたらどうなるだろうか。介護という職業が「3Kで簿給」というイメージを脱して人気職になったなら。業界全体がそうならなくとも、一部地域で信頼と実績を積み重ねた圧倒的な大手事業者が現れたなら。・・・

現在は、それぞれの思いを持って独立した小さな事業所が乱立しては廃業している。そんな歪な形で成長し続けているこの業界。
私は近々、この歪な業界体勢が終わりを迎えるのではないかと想像する。

それぞれが思い思いのお店を立ち並べて暖かさと便利さに包まれていた商店街というものを一瞬にして屠り去ったイオンモールのように、巨大な大手によってその個々の特色が一瞬で消えてしまう未来。

話が広がり過ぎたしこれは妄想かもしれない。


ただ、今現在の介護業界の、簿給で従業員を雇用し経営層が利益独占している現状と言うのは長く続かないように思う。(介護業界に限った話ではないが。)

人間とは、自分が始めた事業がある程度儲かってしまったら、何をもってそれ以上の成長を求めるのだろうか。
拡大すればするほど管理は行き届きにくくなりリスクは増える。そして新たな課題にも直面する。
そうなるなら、ある程度の結果で胡坐をかいて人よりも良い人生だと思い停滞を望む気持ちも分かる。
それ以上先は、なにか社会的な意義がないと進めないのだろう。

介護事業に限らず、そうやって停滞している人を多く見て来た。
ではその先に進むための社会的意義とは何なのか。
その答えを探して、従業員に、利用者に、社会に対して向き合う企業が現れたなら、この業界が少し変わるような気がする。

そんな企業になれたら。
なんて妄想が行き過ぎたので現実に帰って仕事をする。



友人たちの活躍

最後に少し別件だが、最近友人が事業を始めるという報告を相次いで受けた。

熱量は十分すぎる程あるのに自分のやりたい事が見つからずに燻っていた友達や、何年も前から意気込みだけはあったが「結局この人もやらずに終わるのかな」と勝手に思っていた友人が準備期間を経て意を決したり。

知り合いが意欲的に新しい事に挑戦している姿は本当に勇気をもらえる。しかもめちゃくちゃ面白い分野での挑戦であったりこれまでの経験をフルに活用したような活動であったりして、話を聞くだけでも本当に面白い。

弊社が新しい事を始めるタイミングと、友人たちが新しい挑戦を始める事が重なり、今まさに私の心は燃え上がっている。

これからもどんどん挑戦していきたいと思っているし、万が一その意欲が失われてももう動き出した歯車は止まらないわけで、やる気一杯の私です。
面白いなと思った方は是非お話しましょう。

これまで通り。とはいかないかもしれないが、デザインとITの相談も、触りだけでも相談いただけたら良い言葉添えができるかと思っております。

サポートは不要です。お気持ちのみ受け取ります、ありがとうございます。