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トウモロコシのひげのお茶

毎週火曜日に配達をしてくれる有機栽培の八百屋から、
ある日長いメッセージがきた。

一週間連絡がなかった後だったのだので、今週は注文できるかと思いながら開けてみると、シリアスな内容。

要約すれば、コロナ禍で彼らの提携者が手を引いたということであった。

彼らのチーム二十四人は職を失ったという。

提携者は無くなったけれど、野菜の栽培と販売をしている彼らは、規模を小さくして注文販売を続けるので、少なくとも二~三人には野菜を届けられるだろうとのことだった。

『コロナ禍がここまで来たか・・・』
と思いつつ、
「続けて客でいたいです。それにはどうすれば良いですか?」
と返信した。

こんな状況で少し値段は高くなるかもしれないが、近場で良心的に有機野菜を育てて販売している人々は、他にいない。
『少しくらい高くてもまあ良いか』と、珍しく風呂敷を広げたわけである。

すると数日後、次の火曜日には野菜が配達できるとのメッセージと、野菜等の商品リストが送られてきた。
オクラときゅうりと玉ねぎを半キロずつ注文して、火曜日を待った。
余分に何かあれば、その場で購入しようと考えていた。

火曜日のエクストラの一つは、トウモロコシだった。
野菜リストに載っていたけれど、注文しなかったものだ。
注文した野菜自体は、普通の八百屋で買うより少し高いぐらい。
酷く値上がりもしていなかったので、何か余分に買おうと思った。

で、追加でトウモロコシを三本と玉ねぎを買った。

誰かを応援するために余分に買うということを、以前はあまりしなかったが、最近になって少しずつできるようになってきた。
これも一つの成長だと思っている。

無農薬トウモロコシは三本で、三十ルピーだった。
まわりの皮が僅かに乾燥して、ベージュ色になっている。

以前同級生が、トウモロコシを生で食べ過ぎて胃を悪くし、病院に行ったということを聞いていたので、『生でも食べられるのか?』と思い試してみた。
収穫から時間が経ったトウモロコシは、乾いて硬くなりかけており、一粒口に入れてみると生のでんぷん質の味がした。

生で食べるのはあきらめた。

(後に、トウモロコシは圧力鍋で蒸され、こそげられ、玉ねぎと米とともにポリッジになる運命が待っている。)

しかし、トウモロコシのひげはまだ乾いていない。

以前、トウモロコシ茶といって、トウモロコシのひげを煎じて飲むお茶があると聞いた。
せっかく無農薬のトウモロコシである。
ひげで茶を作ることにした。

トウモロコシの皮を剥いて、ひげを取って、水で煮出すだけである。
一リットル半ほどの水に三本分のひげを入れて、数分間沸騰させてそのまま冷ました。
夜作って、翌日の朝に冷めた茶を飲んだ。

トウモロコシの薄い味がするだけのお茶だった。
身体のどこかに効くのだろうか。

その後、ひげは絞られて乾かされ、サムネの写真に再利用されるわけだが、
もつれながらボロボロと落ちて、なかなか上手にセットできなかった。

味も存在も、
非常に地味なトウモロコシのお茶の話である。

追記:トウモロコシのひげは「南蛮毛」という名の生薬で、利尿作用があるそうです。
カリウム、ビタミンB1、ビタミンE、鉄分が豊富。
痩せてて地味なのに、実は仕事ができるタイプ!

追記の追記:トウモロコシのひげを、筆者は見くびっていた。
地味でもちゃんと栄養があって、役に立つ。

そういう存在は、貴重だ。


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