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初めてインタビューを受けたあの夏の日はきっと忘れられない思い出

「日本と世界をカジュアルにつなぐ場を作りたいんよね」

木のぬくもりを感じる古い梁と天井。

デザイン性の高い間接照明に照らされる、テーブルと椅子。 奥には、 畳とちゃぶ台。

お洒落なカフェのようでありながら、 田舎のおばあちゃんのお家のような懐かしさ。そんな場所で、 珈琲豆を挽く音が心地よく響く。

しばらくすると、蒸らされてふわりと膨らんだ珈琲豆と、 しんしんとゆっくり抽出された珈琲から、馥郁 (ふくいく)とした香りが立ちのぼってきた。

深い落ち着いたチョコレート色と、レンガのような明るい褐色。 並べられたガラスポットを見比べ、 豆の種類によってこうも珈琲の色は変わるのか、と驚く。

今回のインタビュアーは、キッチンに立つひかるさん。 彼女は平日は会社員として働きつつ、月に2回休日に昭和町の「あべのながや六」という場所でカフェを開いている。

なぜ、カフェなのか。 彼女の創りたい場所とは、どんな場所なんだろうか。

ひかるは、2018年9月から、ワーキングホリデーでオーストラリアに滞在。

そして冒頭の今に至る。そもそもオーストラリアにワーキングホリデーに行こうと思ったきっかけはなんだったんだろうか。

「大学の時に2週間オーストラリアのケアンズに語学留学に行ったんよ。 自然が多くて空気が綺麗で、 毎日が新鮮やった。お店も夕方には閉まるんよね。

学校がない休みの日に、友達に誘われたことがきっかけで人生初のダイビングをすることにしたんよ。

ウミガメが水面に上がってふっと息をする姿が可愛すぎて、思わず帰りのお土産物屋さんで海ガメポストカードを買って帰国してから大事に自分の机の前に飾ってた。

社会人になってからも数年そこに、ずっとウミガメの写真があって、あぁ、また行きたいなあって思いが知らんまに積もっていったんやろうな。

25歳の時にいろいろ考えたんやけど、人生のどこかで海外に長く住んでみたいというのがあって。

ワーホリ経験者の人にたくさん話を聞かせてもらって、色々知って、実現させるまでの、確信に変えるまでの確信に変えるまでの スッテップをたくさん踏んで行ったんよね。」

――わたしだったら、 今の仕事辞めて外国に住むのって不安やなって思っちゃいそう。

「こんだけ調べて、 行動してってするってことは、行きたい気持ちは本物やんか。人生何があるかわからんし、行こうって決めてん。でも仕事を辞めなあかんし、職場の人とかにもいつ言おうかって悩んだよね 。」

―—滞在中、印象的だったことはある?

「最初はブリスベンにいたんやけど、そこで友達になった中国人のマックスとイタリア人のリタがタスマニアに一緒にいかん?って誘ってくれて、行くことにしたんよ。

ブラックベリーのファームで3人で働くことになったんやけど、住める場所が見つからんくって、どうしようってなってる時に、「テントと寝袋とマット買ってキャンプサイトで住んだらええやん!」 って2人がノリノリでさ。私虫苦手やからいややってんけど、それしか方法はないし、ファームから車で15分くらいのところにあるキャンプサイトにすむことに。」

--仲良く3人で住み、順調に仕事を始められて良かったと思いきや、、、、。

「6時半に仕事はスタートするから、 私は5 時半に起きて6時には出れるように準備するけど、2人はなかなか起きてこやんくて。

7時とかに起きて、ゆっく〜りご飯食べて8時半とかにキャンプサイト出発するんよね。

これはまだ全然早い方で、 遅い時とか11 時過ぎまで寝て、12時に昼ごはん食べて、挙げ句の果てに今日はもう行かんとこって言い始めるときとかあって。

私は仕事に行きたいのに! 一緒に働くって 言ったやん! 私車持ってないから車出して欲しいのに!ってめっちゃ思ってて。

ある日私は痺れを切らして、何度起こしても起きない2人を残して、ファームまで歩いて行こうって決めたんよ。

Google マップで調べたら9キロって出て。 長居公園は一周約2.8キロやから、3周やと考えたら1時間くらいでファームに着くんちゃんかなって、 6時半に出発したんよね。

もしかしたら、2人がメッセージに気付いて車で追いかけてくれるかなって。 それかヒッチハイクしたらファームまで行けるかなって。

山道やし、 結局3時間くらいかかったんよ。

道にカンガルーは死んでるし、 車の中から見るだけじゃ知らんかったけど、 ハエとかすごいたかってるし、 異臭がすごいんよ。

1人で歩くの心細いし、お弁当とか、2リットルの水を背負ってるからめちゃくちゃ重いし、ヒッチハイクは成功しやんしで散々やった。

その時初めて、 自分の当たり前って、当たり前じゃないんやって知った。

時間通りに仕事に行って、みんなと同じように仕事をするって私はマストやと思ってたけど、2人からしたら出来高制なんやから、自分の好きな時にいって、好きなだけ働いたら良いやんって思ってたんやろうな。

一緒にいたのって3週間くらいやったんやけど、結局それって後から考えたらめっちゃ面白い経験したなって思う。

私はその時、年末でお金使いすぎて(現地で使うお金は現地で調達するって決めてて)お金がなかったから働かな! って思ってたけど、2人はタスマニアに先入りしてチェリ 一の工場で働いてたし、 今働かんでも良いなって思ってたんやろうな。 私が働きたいって言ってるし一緒に働いてあげようくらいで考えてたんやと思う。

もっと広い心で相手サイドに立って考えることも大事なんやなってその時身をもって感じた。

それに、もっと素直に自分の意見を伝えて、相手の意見に耳を傾けることも大事やなって思った。」

ーー結局、マックスはスーパーバイザーと揉めて辞めることになり、 そうするとマックスと仲の良いリタも必然的に辞めることになってしまう。

キャンプサイトに一人で住み続けるわけにはいかないから、 ひかるはその地を去ることになる。 そして、 知り合いの人の家の庭 のテントで寝泊まりすることに。

ーー大変な思いをしたら、 もう日本に帰りたいってならへんかったの?

「うーん、ならへんかったなぁ。 さすがにテントで寝るとき、 気温が0度とかになることもあって、寒すぎて死んじゃう、、、って思うこともあったけど。笑

大変なことも含めて面白かったんよね。

それに今帰ったら一年間ワーホリ頑張ったって言われへんなって思ったし。」

一一話を聞きながら、 どんな環境でも受け入れ、楽しいと思えるところが、 ひかるの強さであり生きていく力なんだろうなと感じた。

人は思うようにいかない環境に身を置いて、どうあろうか考え動くことで、強くたくましくなっていくのかもしれない。

「帰国する直前に、一緒にカフェで働いていたメンバーから大きめのくまのぬいぐるみもらったんよ。 物っていいよね、、、

その時のことが、 ありありと思い浮かぶ。 考えれば、いろんな場所で、その地を離れるたび、お別れ会を開いてもらったなあって。 」

――そう言って、少し目を伏せる姿を眺めながら、きっと彼女は、今数多くの知り合いやお世話になった人、 の顔が思い浮かんでいるんだろうな、と想像する。

一歩踏みださなければ、 出来なかったつながり。

実際に、ワーキングホリデーを経験して、たくさんのことを感じたひかる。

ーー帰国してみて考えたこととは。

「大変なこともいろいろあったけど、経験せなわからんかったこともたくさんあって、ほんまに行って良かったな、って。

行く前に、 信用できる人から、情報もらうことの大切さをしみじみと感じてん。

自分も悩んで助けてもらったし、 でももっとワーキングホリデーを経験した人や自分が行く予定の現地に住んでいる人に、話が聞ける場があったらよかったのになって。

そしたら、 悩まなくてすむことも増えるかもしれない。」

――なぜカフェなのか。 オーストラリアで出会ったカフェとは。

「わたし、 これまで珈琲ってあんまり飲んだことなかったんよ。 カフェインに弱い体質で。

ブリスベンの図書館に併設されたカフェでカフェインが除かれた、 ディカフ (デカフ ェ)の珈琲を飲んで、美味しい! わたしでも飲める珈琲があるんやって衝撃で!

日本ではまだあんまりないやん? もっとわたしみたいな人でも珈琲を楽しめる場所が増えたらなあって。

行ってみてさ、 オーストラリアのカフェの雰囲気ってすごくいいなって思ってん。

そこで、お誕生日会をやったり、母の日の集まりをしたり。

そこで知り合った人同士がフランクに話せる場であったり。

ただ、飲食をする場だけじゃない、温かい場所やなあって。」

――カフェでお誕生日会や母の日?

知り合った人同士話す? 日本とはまた違ったカフェ文化だなあ。

そうこうするうちに風に乗って、 ふうわりと甘い香りが漂ってきた。

今日の焼き菓子は、バナナマフィン。

フォークを差し込むと、より一層香りの濃度が上がる。

逸る気持ちをなだめつつ、口に運ぶ。

焼きたてのケーキってなんでこうも、ほっと心を溶かすのだろう。

ショーケースに整然と並んだお菓子たちも、 美しくて魅惑的だけど、 焼きたてのお菓子に叶うものなんて、ないなと改めて思う。

次の注文の品を準備しにキッチンに舞い戻 り、エプロンに彼女がデザインしたロゴがはためく。

[working holiday cafe]

世界と日本がつながる場所。

ひかるは、このカフェで、 気軽に英語で話せるようなイベントを行ったり、オンラインで、ワーキングホリデーで出会った友人や留学や移住で海外に行ってしまった友人と繋がる試みを行っている。

「みんなと繋がっていたい。 知りたい。 いろんな国にみんながいるから、 どんなことをして、 何を食べていて、 どんな服装をしているんだろうなって。」

そうやって、 自分の行ったことのない国にも、思いを馳せる、という。

カフェという、 和やかに人と人とが繋がれる場所。

遠くにいても繋がれるオンラインコミュニティ。

ーーひかるがこれから、力を入れて取り組んでいきたいことって?

「『日本と世界をカジュアルに繋ぐ場』を作りたいんよね。

だから、 オフラインのカフェだけでなく、 オンライン版ワーキングホリデーカフェを5 月から本格的に始動させる事にした!

コミュニティはSlackで作っていて、オンライン通話で繋ぐ日を月に2回、 日本時間の土曜日に作ろうとしてる!

スムーズなオンライン通話を提供する為に、運営上zoomの利用料が定期的にかかる見込みやからミーティング参加費をひとまず100円にして始めてみようかなって。

現状メンバーはインド、カナダ、アメリカ、スペイン、 アルゼンチン、 フランス、 インドネシア、 ウズベキスタン、ネパール、ニュージーランドそして日本に住んでるから、ちょっと日本語に触れたい外国人の人も、ちょっと英語に触れたい日本人の人も参加できる楽しい空間になれば良いなあ。

このオンラインワーホリカフェでゆるっと繋がる事がきっかけで仲良くなって、

ゆくゆくは現地で会う事ができたりしたら、めっちゃ楽しいな~って思ってる。」

だそうだ。

もし興味がある人はぜひぜひ、ひかるまで、、!

――海外という未知なる世界にあこがれ、 一歩踏み出したひかるとそんな彼女が、創 っていく場所。

ここから、何が始まるんだろう。楽しみでならない。

working holiday cafe

▼Instagram: https://instagram.com/workingholidaycafe...

https://twitter.com/WorkingHolida14

この記事をこちらのnoteに掲載させていただく上で
書き出しをどうしようかと散々悩みましたが、

インタビュー記事の空気感をやっぱり大事にしたかったので
冒頭からそのままインタビュー記事を掲載させていただきました。

インタビューをしてくれた碧魚さん。
本当にありがとうございました。

彼女が綴るエッセイは読んでいてクスッとなったり
情景が頭に浮かんできて和んだり
文字ひとつ一つが丁寧に書かれていて
文章を読むたびに
一つの物語を読んだような気持ちになります。

きっと彼女が日々の生活を大切に心に残しているからこそ
書くことができる文章なんだろうなぁ。


私のようなカフェインセンシティブな人でも飲めるコーヒーをお届けしたい☕️ワーホリ経験を皆さんに役立つ形で共有したい🌏そういう想いでこのnoteを始めました!まだまだ未熟ですが、毎日更新できるように頑張りたいと考えています。記事の資金はカフェ開業の費用に充てたいと考えています!