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旅のうた(歌日本紀行)

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#八王子

(第10回)  象徴としてのフリーウエイ

(第10回) 象徴としてのフリーウエイ

 ユーミン(松任谷由実)の歌を扱うのはこの稿において二回目なので迷った。だが最近、ある本のことを思い出し、やはり触れておきたいと思うようになった。1985年に発行された、笠井潔のエッセイ集『象徴としてのフリーウエイ』(新時代社刊)である。笠井氏は反ポストモダン的思想家・評論家で、学生時代、彼の著作にかぶれていたわたしは、オンタイムでそれを読んだ。

 ユーミンの作品、『ひこうき雲』『ベルベット・イ

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(第5回)相模線で聴く「天気雨」(荒井由実)

(第5回)相模線で聴く「天気雨」(荒井由実)

 ひとはなんでも知っているような錯覚に陥っているけど、案外いろんなことを知らない。ニッポンのことや各地域の「細やかな状況」など、それは知っているようで、ぜんぜんわかってなかったりする。私にとって、その知らないことのひとつが相模線だった。

 JR相模線は、神奈川県相模原市の橋本駅から茅ヶ崎市の茅ヶ崎駅まで、南北に走る約33キロの路線である。朝夕は横浜線に乗り入れ、八王子とも直通で結ばれる。もとは相

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