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ハギワラシンジ
2019年2月8日 21:45
線のような坂道を列車は下っていた。この時期において天候は移ろいやすく、先程まであれほど外は広かったのにも関わらず、すっかり灰色に沈んでいる。ミラー氏は冷たく吹き付ける風を何とかしようとして、窓を閉めた。すると冷たい風は無くなった。 列車の内装はあまり良いものではない。かつて人々を照らしていたであろう、天井に張り付いている照明は、鈍い光を放っており、ミラー氏の座っているソファは皮が磨り減って傷つ
2019年2月7日 17:39
このままでは私は死んでしまう。何しろとげが刺さっているのだから。 向こうの部屋では、あいつが今か今かと、目を緑色に光らせて、私が死ぬのを待っている。 そう思う度、死んでたまるかと悔しさでいっぱいになる。 足音が聞こえた。微かにだが、はっきり聞こえた。トンネルに反響して、私を叩く。奴はその音にビビり、さらに奥の方まで引っ込んで行ってしまった。もっと音は近くなる。やがて、その音は近くで止まり、
2019年2月7日 07:58
サン・セバスティアンはとりとめもなく涙を流す。目の前には彼の愛馬が横たわっていた。愛馬が寿命を迎えたのだ。彼は泣く。でも愛馬の死それ自体に泣いているわけではない。これでは旅を続けることができない、と感じて泣いているのだった。 彼はこの旅をずっと楽しみにしていた。なぜならそれはとても名誉なことだったからだ。名誉は人の心を蝕んでいく。彼はそのことを知らなかったのだ。まだ子供だったから。 泣く泣く