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神社とお寺の違い③ 起源・崇拝対象・お参りの仕方について

 これまで「神社とお寺の違い」と題しまして入口や守衛役などについての違いを記載してきました。
今回は第三弾ということでもっと基本的な起源や崇拝対象、そしてお参りの仕方について説明したいと思います。

合わせて読みたい!
神社とお寺の違い① 入口について
神社とお寺の違い② 守衛役(狛犬と仁王像)について

起源

【神社】
 元々、神社の起源となったものは、神聖な場所に「磐座(いわくら)」といった大きな自然な大きな石を設け、祭りのたびにその磐座に霊を迎える形態です。その磐座がご神体であります。次第にその磐座の周りに「祭壇を常設した小屋」ができ、その後「社殿」の発生へと至り、さらに「ご神体を奉る本殿」が誕生して現在に近い形となっていきます。神殿が築かれるのはおおよそ7世紀頃からと推測されています。仏教寺院からの影響も考えられています。

【お寺】
 お寺の歴史は仏教が538年に主に中国より伝来したことに始まります。日本における最初の本格的寺院は、6~7世紀に蘇我馬子によって創建された法興寺(現:飛鳥寺)という説が有力です。今年で編纂(へんさん)1300年を迎える「日本書紀」にも記述があり、五重塔と3つの金堂を持つ大規模なものであったとされています。

崇拝対象

 神社とお寺で一番異なるのは「何を拝むか」ということかと思います。
神社は上記の起源のところにも書いたように、古来は大きな石=岩や山、森など自然物に神が集まるとされ、そういったものをご神体とする神社が作られました。時代が進むと鏡や剣や勾玉といった人工物がその役を担っていきます。いずれにしてもそれらは神様そのものではなく、あくまで神々が御霊(みたま)を宿らせる存在となります。しかもそれらを直接見たり拝むことは基本的にNGです。神社では例大祭の際に御扉開けることがありますが直接見ることはできません。
お寺はは仏陀の遺骨「仏舎利」を祀った塔などを拝んでいましたが、次第に偶像としての仏像を拝むのが多数派となりました。

【神社】
 八百万の神々を祀る神社では、三種の神器からもわかるように人工物である鏡や剣、勾玉などを神霊の宿るご神体として崇(あが)めるのが一般的です。また、古来の神社は大きな石や岩、山、森どをご神体とする自然崇拝的な性格を持ち、それをいまに受け継ぐ神社もあります。三輪山という山をご神体とする奈良県の大神神社が有名です。なお、鏡は三種の神器の一つでもあるように、「万物を映す」という神秘的な性質からご神体としては多くの神社にて存在します。
人がお参りする建物は主に「拝殿」と呼びます。

【お寺】
 日本のお寺の多数において、主な崇拝対象となっているのが仏像です。当初は開祖である釈迦像のみが存在しましたが、仏教が発展していく過程で阿弥陀如来や菩薩様、不動明王などが生み出されて多様な仏像が成立しています。
人がお参りする建物は主に「本堂」と呼びます。

お参りの仕方

 神社とお寺のお参りの仕方で一番違うことは音を立てて「手を打つかどうか」です。取り合えずこのことを押さえておけば間違いないと思います。
お手水はどちらにもありますし賽銭箱も寺社ともにあります(お寺はない場合もあります)。
何よりも大切なことは神様や仏様を敬って純粋な気持ちで参拝することだと思います。

【神社】
※参考として過去のブログ:神社の参拝について4.本殿でのお参りの作法もチェックしてください。

1.鈴を鳴らす。
2.お賽銭を納める。
3.軽く一礼。(15度くらいのお辞儀)
4.次に二拝。(拝=90度のお辞儀ですが「深いお辞儀」と考える)
5.次に二拍手。音を立てて二回拍手する。手を合わせたあと右手を少し引き、掌が少しずれた状態で拍手する。
6.二拍手のあとに引いた右手を戻し掌をを合わせた状態にして念をこめる(=祈願する)。
7.両手を戻し一拝。
8.最後に軽く一礼。

【お寺】
・お手水のあと、あれば香閣(こうかく)で線香の煙を浴びる。
・蝋燭や線香をお供えできる場合はお供えする。火をもらうことは他の人の「業」をもらうという意味があるので自身で準備すること。
1.軽く一礼する。
2.賽銭箱があれば賽銭を納める。
3.鰐口(わにぐち)があれば静かに打ち鳴らす。(鈴を潰して平たくしたようなもの)
4.両手を合わせる(=合掌)。
5.軽く頭を下げる。ここで手を打たないように気を付ける。
※合掌の際、両手は胸の前で合わせること。これは仏様と自身が一体となるという意味を持つ。なお、宗派によっては指を互いに組むところもある。
6.両手を戻し軽く一礼

最後に

 以上が神社とお寺の違いの第三弾、起源・崇拝対象・お参りの仕方の違いであります。これら三点については微妙に異なる認識もあるかと思いますし、お参りの仕方についても神社によって、またはお寺でも宗派によって異なる事が多々あります。ここで記載されていることは一般的な、基本的な内容であるという認識でお願いします。
 いずれにしましても神様や仏様を心の底から敬い、純粋な気持ちで接する、お参りするということが大事かと思います。

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