北畠拓也

市民参加型まちづくりのお手伝い/調査研究・アドボカシープランニング/環境系の民間助成基…

北畠拓也

市民参加型まちづくりのお手伝い/調査研究・アドボカシープランニング/環境系の民間助成基金で伴走支援など。ほか、ホームレス問題、公共空間論、物理と哲学、お絵かきなど。博士課程中退。大田区に事務所があります。SNSは個人の見解です。https://www.sharin.work/

マガジン

  • トリックスターを追いかけて

    論考やウェブサイトからはこぼれ落ちた、けれどTwitterに呟くには長いくらいのエピソード。都市デザイン、公共空間、民主主義、市民参加、ポストコロナの都市像などをテーマにした軽めのエッセイ、日々の出来事など。不定期更新。

  • Invisible Tokyo

    Invisible Tokyo -「ホームレス」から考える、これからの都市のこと-  福祉の問題と捉えられがちなホームレス問題。自分には関係ないと思っている人も多いのではないだろうか。しかし、ホームレス問題を通して私たちの住む都市を見つめることで、これまでには見えなかった都市の姿が見えてくる。これからの「都市」のあり方や「住まう」ことを考える際の重要な補助線になるはずだ。このマガジンでは、主にホームレス×都市に関する論考をストックしていく。なるべく平易な文章で綴り、福祉やホームレスの話題に馴染みのない人にも読んでいただけるような記事をUPしたい。ぜひ、購読をお願いします(無料です)。

  • 公正な社会の創造を目指す市民のための研究所-IMAFT

    Institute of Monitoring and Advocacy for Fairness Tokyo-公正かつレジリエンス(しなやかで強い)な社会を民主的に創造することを目指し、情報発信します。ゆくゆくは組織化します。

最近の記事

#09 映画「オッペンハイマー」を観た:個人を描くことと、結果としての“アメリカ的価値観”の強化

満を持して日本での公開が始まった、クリストファー・ノーラン監督による最新作『オッペンハイマー』を初日に観た。 今の時点での感想を一言で表すならば、さすがノーランによる圧倒的完成度だが、“アメリカの人のための映画”だな、ということになろうか。以下はあくまで個人の勝手な感想である。 まずネタバレ…というか核心に触れない範囲で話してみると……。 「原爆の父」と呼ばれるロバート・オッペンハイマーはロスアラモス研究所初代所長を務めたマンハッタン計画の主要人物であり、映画では彼の栄光

    • 東京都ホームレス自立支援計画へのパブコメ(3/1締切)

      東京都は「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第5次)(案)」に関する意見募集を行なっています(2024年3月1日締め切り)。いわゆるパブコメです。 まだギリギリ締切に間に合うのでせひみなさん提出しましょう。私が提出した意見を掲載するので、参考になれば幸いです。なお、無料低額診療と外国人への支援に関する意見は稲葉剛さんのご意見を参考にさせていただきました。 ▼意見の提出はこちらから(東京都のウェブサイト) 「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第5次)(

      • 居住支援のあり方に関するパブコメ(1/24締め切り)

        国交省は「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する中間とりまとめ(案)」に関する意見募集を行なっています(2024年1月24日18:00締め切り)。いわゆるパブコメです。 「中間とりまとめ(案)」の全体的な内容としては、単身高齢者の増加や、コロナ禍で顕在化した不安定居住の問題を念頭に、賃貸市場の環境整備を軸にしつつ入居後の支援や地域とのつながり、空き家活用などの方向性が示されています。 個人的に継続的に関心のあるテーマなので、意見を提出しました。このnote

        • 2023~2024年末年始@東京 利用できる支援情報まとめ

          ※年末年始期間は終了しました。 ーーー 年末年始(12月29日〜1月3日)は多くの公的な機関が休みになります。住まいがない、食事に困っている、生活がたちゆかなくなった方などが年末年始期間中に東京で利用できる、公的な支援や民間団体による食事提供・相談会などの情報をまとめます。 物価も上がり厳しい世の中ですが、なんとか寒い冬を乗り切りましょう。福祉を利用することや、支援団体の手を借りることは決して恥ずかしいことではありません。どうか一人で悩まず、一緒に生き延びましょう。

        #09 映画「オッペンハイマー」を観た:個人を描くことと、結果としての“アメリカ的価値観”の強化

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          4本

        記事

          読書ノート『正義と差異の政治』I.M.ヤング

          先日、I.M.ヤングの『正義と差異の政治(Justice and the Politics of Difference)』をどうにかこうにか読み終えた。 原著は1990年に発表されたものだから現代における古典という位置づけで、よく引用・参照されている(らしい)。こういう政治哲学の原典(と言っても翻訳版だが)をしっかり読んだのは、ぼく自身は初めてで、前提知識も十分ではなかったので読み進めるのにだいぶ苦労した。(中断を挟んで1年以上かかった読書会で一緒に読んでくれた方々のおかげ

          読書ノート『正義と差異の政治』I.M.ヤング

          #09 命の価値を測ってしまう、”思考の檻”から抜け出そう

          定期的に浅はかな/扇動的な有名人から、人間の価値を生産性で測り、命の値踏みをするような発言が発せられることがあります。 これを聞いて、”本質的には否定できない”と思ってしまう人――思考の檻に囚われてしまう人も残念ながらいると思います。これは命の選別や優生思想などにつながる危険をはらむ考えなので、こうした発言が注目されるたびに私は意見を述べることにしています(似たような投稿は過去に何度もしています。参考までに末尾にリンクを転記しておきますので、本記事はごくシンプルにtwitt

          #09 命の価値を測ってしまう、”思考の檻”から抜け出そう

          渋谷区立美竹公園の再開発をめぐる資料アーカイブ+暫定メモ

          2022年10月25日、渋谷区が区立美竹公園を封鎖した件について、情報公開制度等を用いて入手した関連資料をアーカイブし、メモを記す。ただしメモについては、現在入手できている資料に基づく断片的なものであるため、暫定的かつ個人的な見解にとどまることをご理解いただきたい。 参考までに、都市公園の開発及び路上生活に関するコンフリクトに対する筆者のスタンスを冒頭に示しておく。 0. 筆者のスタンス公園の再整備・再開発については、近年PFIなどの手法により民間の力を利用して都市公園の活

          渋谷区立美竹公園の再開発をめぐる資料アーカイブ+暫定メモ

          #08 映画「PLAN75」評:現実と地続きな、命を値踏みする社会を鋭く描く

          先日、映画「PLAN 75」を観た。 75歳から生死の選択権が与えられる制度<PLAN75>が施行された日本を舞台とするフィクションだ。もちろんこのような制度がそのまま実現することはないだろう。しかし、まったくゼロとは言えない、そういうリアリティを感じさせる映画だった。あらすじは以下。 日本社会は30年間経済成長がないまま格差が広がり、ますます不寛容で自己責任を強いるようになった。そして「命の価値が経済的な尺度で測れる」と容易に思わせてしまう空気が蔓延している。そういう恐

          #08 映画「PLAN75」評:現実と地続きな、命を値踏みする社会を鋭く描く

          2022~2023年末年始@東京 利用できる支援情報まとめ

          このページは2022〜2023年の年末年始期間の支援情報をまとめたものです。1/4からの通常期間はこちらをご覧ください。 年末年始(12月29日〜1月3日)は多くの公的な機関がお休みになります。そんな中、住まいがない方、食事に困っている方、生活がたちゆかなくなった方などが東京で利用できる、公的な支援や、民間団体による食事提供や相談会の情報をまとめます。 コロナ禍が長引き、厳しい世の中ですが、利用できる民間支援や福祉サービスを利用して、なんとか寒い冬を乗り切りましょう。福祉

          2022~2023年末年始@東京 利用できる支援情報まとめ

          2021~2022年末年始@東京 利用できる支援情報まとめ

          ※この記事は、2021〜22年の年末年始期間の情報です。 2022〜23年の年末年始情報はこちらをご覧ください。 通常の期間に住まいを失った方が利用できる支援に関しては以下: →コロナ禍で住まいを失う人が相談できる窓口紹介(東京)随時更新中 ーーー 年末年始(12月29日〜1月3日)には、多くの公的な機関がお休みになります。そんな中、住まいがない方、食事に困っている方、生活がたちゆかなくなった方などが東京で利用できる、公的な支援や、民間団体による食事提供や相談会の情報を

          2021~2022年末年始@東京 利用できる支援情報まとめ

          住まいのない方が発熱またはコロナ感染した場合の対応について、東京都に要望を提出し意見交換を行ないました

          今夏到来したコロナウイルス感染症のいわゆる「第5波」により、東京では入院や療養施設への入所ができない方が多数生じました。そんな中、困窮者支援の現場では、療養できる自宅がない方が発熱や感染に至るケースが見られました。住まいや所持金、保険証などがない方が発熱した場合、検査へのアクセスにおける課題や、検査結果を待つ期間及び病院・療養ホテルに入るまでの期間に滞在する場所の確保について課題があります。感染状況に落ち着きが見られる今でも、入院や療養場所の確保まで数日のタイムラグが生じる場

          住まいのない方が発熱またはコロナ感染した場合の対応について、東京都に要望を提出し意見交換を行ないました

          愚かな自己責任社会よ、さようなら。僕は明日の包摂を考えることにする。

          私はこのところ、主に東京の住居喪失者支援の具体的な情報発信につとめてきたのだが(詳細は「コロナ禍で住まいを失う人が相談できる窓口紹介(東京)随時更新中」)、一度やや抽象的かつ基本的な考えをまとめておく必要があると思いこの記事を書いてみた。 そしてこの記事をちょうど書き終えたところで、浅薄なインフルエンサーが極めて愚かな発信をしているということを目にした。それ自体を拡散することが本意ではないので引用は控えるが(というか炎上商法に乗るのが嫌なので見ていない)、危険な思想へ対抗す

          愚かな自己責任社会よ、さようなら。僕は明日の包摂を考えることにする。

          7月7日緊急要望の解説#1.生活保護申請者の居所確保<何を・なぜ要望したか?>

          去る7月7日、筆者は困窮者の支援を行なう10団体とともに、東京都へ「五輪・パラ五輪期間にかかる住居喪失者支援の緊急要望書」を提出した。五輪・パラ五輪の影で、困窮者支援の現場は非常に深刻な事態となっており、急遽申し入れを行なうことになった。 それにはややこしい背景があるので、要望の内容について解説しておこうと思いこの記事を書いている…というところで、ご存知の通り緊急事態宣言の発出や五輪の無観客化が決定した。さらに先行きが見通しにくくなっているが、一度はまとめておこうと思う。この

          7月7日緊急要望の解説#1.生活保護申請者の居所確保<何を・なぜ要望したか?>

          #07 17歳の高校生が結核病棟に入院した話。

          よくソーシャルアントレプレナー的な人のこれまでの歩みを見ると、このことがキッカケになって社会的な使命を感じるに至ったという象徴的なエピソードがあったりする。もちろん、そういった人もいるだろうし、素晴らしい活動をされていてすごいなと率直に思う。正直言って自分はあまり一貫性のない人間なので、うらやましく思う。 一方で(自分はひねくれた人間なので)、みんながみんなそうでもないよな、とも思う。もちろん、対外的に自分について語るために、自分自身もそういったエピソードの「型」みたいなも

          #07 17歳の高校生が結核病棟に入院した話。

          東京で住まいを失った人への支援:今後何が必要か。そして何が問題か。

          東京都では年末年始に住まいがないネットカフェ生活者等への緊急宿泊事業(ビジネスホテル提供)を実施していた。当初1月19日までの事業だったが、緊急事態宣言を受けて、2月7日までその期間を延長している。 支援情報についてはこちらを参照ください。→コロナ禍で住まいを失う人が相談できる窓口紹介(東京)随時更新中 この間東京都は1000室のビジネスホテルを確保しており、住居喪失者は概ね2週間程度ビジネスホテルに滞在することができる(期限が切れたら再び申請可能)。こうした緊急宿泊事業

          東京で住まいを失った人への支援:今後何が必要か。そして何が問題か。

          2020の記事まとめ

          2020年はコロナ禍による社会の転換点となる年だったと思いますが、個人的にも独立して本格的に活動し始めたという意味で特筆すべき年でした。3月からコロナ禍における住居喪失者への支援を求めるアドボカシーを展開してきましたが、それに合わせて積極的に発信するようにしました。noteもはじめて、公的支援や民間支援団体の情報をまとめたり、他にもたくさん文章を書きました。今から見れば稚拙だったり荒さが目立ちますがご愛敬ということで、今年書いた主な読み物としての記事をまとめておきます。年末年

          2020の記事まとめ