群馬県のデジタル人材育成 Part1
広島県の地域・地方デジタル人材育成に続き、群馬県のデジタル人材育成事例について紹介をしていきたいと思います。キーワードはデジタル人材育成のための「デジタル人材育成の場の創出」「グローバルとの連携」の2つになります。
まずは群馬県の概要について今一度確認をしていきましょう。
数多の楽園がある群馬県
群馬県は、上毛三山などの山々や、 尾瀬、利根川などの清流といった豊かな自然、 草津や伊香保をはじめ、 たくさんの温泉地を有し、また歴史的遺産も多数有する魅力的な「楽園」を多数有する地域です。
自然の楽園 群馬県は美しい自然環境で知られており、四季折々の風景が楽しめます。日本のほぼ中央に位置し、春には桜が咲き誇り、夏には川や湖で涼むことができ、秋には紅葉を楽しみ、冬にはスキーやスノーボードを楽しむことができ、春夏秋冬を通じて国内外の観光客にとって「自然の楽園」となっています。
温泉の楽園 群馬県は、文字通り温泉の名所でもあります。草津温泉、伊香保温泉、四万温泉など、多くの温泉地があり、日常の喧騒から離れ、気分転換をするのに最適な地です。新幹線や高速道路が整備されておりアクセスが良く、週末束の間のひとときを楽しめる地域でもあります。温泉地の周辺には観光名所や美味しい食事を楽しむことができ、ゆったりとした時間を過ごすことができる「温泉の楽園」です。
歴史と文化の楽園 群馬県には歴史的な名所もたくさんあります。前橋市にある前橋城や、世界遺産として指定されている富岡製糸場など、古代からの歴史と文化が息づいています。また、伝統的な祭りやイベントも多く、地元の文化に触れる絶好の機会です。
群馬県は、自然の美しさ、温泉、歴史、文化、食事、アクセスの面で魅力的な場所です。その群馬県では「日本最先端クラスのデジタル県」を目指しており、デジタル人材の育成にも独自色を出しながら様々な施策を進めています。
前述した通り、デジタル人材の育成のキーワードは「デジタル人材育成の場の創出」と「グローバル連携」。群馬県のデジタル人材育成の事例について紹介をしたいと思います。
群馬県のデジタル人材施策の方向性
群馬県は自動車メーカーのSUBARUや日野自動車の工場、独立系の自動車部品や文具メーカーのプラスの工場など製造業としての集積を強みとしており、「スマートファクトリー創出支援」「ものづくりのデジタル化支援」「開発研究支援・新技術支援」などの産業振興を県の施策でも謳っています。またスタートアップ支援やオープンイノベーション推進も提唱しており、これは製造業の多い広島県とも類似すると思います。特徴的なのは、「ニューノーマル、アート・デザイン指向のビジネスモデル構築」を提唱しています。これは後述するデジタルクリエイティブ人材に繋がるものであり、他県にはない異色の取り組みと言えると思います。
群馬県では2040年をターゲットとする「新・群馬県総合計画(ビジョン)」を掲げています。2040年という非常に長いタイムラインの通り、未来に向けた大きな投資を次世代のために遂行していく志・意志を非常に感じる計画です。その中で現在190万人いる県の人口は160万人まで減少すると試算されており、「開疎化」(開放×疎)というキーワードを使って、この人口減少を新たなチャンスと捉えた新施策を打とうとしています。今後20年で、「群馬の土壌と融合したデジタル化」と「100年続く自立した群馬」を達成することを目指しています。その総合計画の中で3つの柱として定義されているのが「クリエイティブの発信源」「リトリートの聖地」「レジリエンスの拠点」。それぞれの柱について「新・群馬県総合計画(ビジョン)」では下記の通り述べられています。
クリエイティブの発信源という部分が、群馬県のデジタル人材育成の大きな方針の拠り所であり、独自性であると思います。更に、デジタル人材育成のコンテキストでは、県として「産業振興基本計画原案」の中で、「デジタル人材育成、リカレント教育推進」というテーマで取り組みの方向性を下記の通り定義しています。
○産学官が一丸となり、県内産業のイノベーションを起こす人材を、幅広い世代で育成することにより、地域を活性化させる。
○群馬の環境を生かした教育で、感性を磨きながら、デジタルツールに 「魂」 を込める力を持った人材を育成する。
「感性を磨きながら」「デジタルツールに『魂』を込める」といった言葉に先ほどのアートやクリエイティブに群馬県のデジタル人材育成への思いを感じることができます。
その為の取り組みとしては下記の4つを定義しています。
社会人向けにも、中高生を含めた若年層に向けても、県主導で民間や学術・教育機関と連携しながらデジタル人材の育成をしようとしていることがわかります。2020年に実施した群馬県の職業能力開発アンケート調査において、「人材の不足」は「ノウハウの不足に続く」課題感の2番目に高い優先課題となっており、県としても積極的に取り組んでいくべき分野でしょう。
社会人向けにも、中高生を含めた若年層に向けても、県主導で民間や学術・教育機関と連携しながらデジタル人材の育成をしようとしていることがわかります。2020年に実施した群馬県の職業能力開発アンケート調査において、「人材の不足」は「ノウハウの不足に続く」課題感の2番目に高い優先課題となっており、県としても積極的に取り組んでいくべき分野でしょう。
下記はデジタル人材育成の施策を整理する上で、デジタル人材育成学会として提示しているフレームワーク(鳥瞰図)になります。群馬県のデジタル人材育成の事例では、一部社会人を対象にした施策も紹介をしますが、今回はデジタルクリエイティブ人材の育成の脈絡で、群馬県内の学生(若年層)の育成事例を多少に、特に、行政主導で国内外のコミュニティと連携をしながら学生(若年層)の育成事例について考察をしていきたいと思います。
デジタルクリエイティブ職とは、デジタル技術を使ってグラフィック映像などを発信したり、実写映像をVFX加工したり、VR/ARなどのインタラクティブコンテンツを制作したりなど最先端技術を活かし、人を魅了するという仕事と言われます。主な就職先は音楽業界、ファッション業界、ゲーム会社、アニメーションスタジオ、デジタルコンテンツ開発会社、美術・アート関連企業、イベント制作会社などと列挙するとみなさんもイメージが湧くでしょうか。
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