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★最近、表紙買いしたマンガ『まちの本屋の御書山さん』が深い!
マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、2023年11月に思わず表紙買いしてしまったマンガである『まちの本屋の御書山さん』(©いずみせら/KADOKAWA)を紹介させていただきます。
11月に購入してから僕の本棚にしばらく眠っていて1月に読みましたがオススメです!
まちの本屋の御書山さん 概要・感想
『まちの本屋の御書山さん』は、ざっくりとした概要でいうと「人生で勉強しかしてこなかった男子大学生の不破くんが家庭教師のアルバイトをクビになり、アルバイト先の生徒のマンガを弁償するために向かった書店で、マンガとは無縁の生活を送っていたため挙動不審な行動をとっていたところをミステリアスな雰囲気を持つ書店コミックフロア長の御書山さんからマンガの面白さを説かれ、なぜかアルバイトの誘いを受け、書店員として働くきながらマンガを通じて人の気持ちや社会的な関わり方を学んでいく物語」です。
個人的にこの作品を読んだ感想としてテーマをつけるなら「人の気持ちを感じ取れない男子学生がマンガや書店の業務を通じて、相手の気持ちを汲み取ることや書店の在り方を少しずつ理解しながら成長していく」でしょうか?
家庭教師先で「マンガなんて読んで受験勉強する気があるのか?」と言ってしまう不破くんが、生徒の大切にしていたマンガに飲み物をこぼしてしまったことで、マンガを弁償することになり、東京23区の端にあるまちの小さな本屋さんを訪れますが、マンガは親の教育方針もあって今までの人生で無縁な存在であることから、コミック売り場で万引き犯のような挙動不審の行動を取ってしまいます。
そこに現れたコミックフロア長の御書山さんが不破くんに声をかけ、「自分以外の別の誰かになれる。マンガを読んでる間は天才スポーツマンや魔法少女になれる。それはそれって他人の思考や立場を疑似体験できることであり、キャラの気持ちになって他者の気持ちを理解しようとすることができるのではないか?」と、マンガの魅力と不破くんが悩んでいることをマンガで解決させるアドバイスを伝えます。
御書山さんの言葉の意味がわからずモヤモヤしながらも、自宅に帰って弁償するマンガを少し読んでみると、家庭教師先の生徒がなぜそのマンガを読んでいたかという気持ちを理解することができ、マンガの魅力を知って本屋のアルバイトを始めますが、不破くんの真面目過ぎる性格&不器用さと相手の気持ちに寄り添うことができないことが相まって、スタッフ同士の関係性がギクシャクすることに…。
個人的にこの作品で僕に刺さったところは、「マンガをくだらないものと言いきった不破くんが少しずつマンガを好きになっていくところ」と「書店員経験のある作者が描くリアルな書店事情がわかるところ」だと思います。
在庫確認や返品、ブックカバーかけ、POPづくりなど本屋さんならではの対応と接客の中で感じる人の気持ちはとてもリアルで、スタッフの柏木さんが言い放った『緊急事態ならともかく奥から呼びつけるとか…、店員は召使いじゃないっての!!』という言葉は、接客業経験者には必ず共感できる言葉ではないかと思うほどです。
「ワンピース」ならぬ「ジャンピース」の105冊全巻にブックカバーをかけながらも通常のレジや書籍案内の対応に追われる中での人を思いやる行動やお気に入りのマンガができた際に経験のないPOPづくりで小さい用紙いっぱいに文字をびっしり並べたものをつくり、相手視点(購入者視点)に立ってPOPをつくることを御書山さんからアドバイスされて、いつの間にか1日3回もPOPを変えて柏木さんをビビらすエピソードは不破くんの極端な真面目キャラが活きていて、読んでいて楽しくなってきます。
また新人アルバイトの不破くんを指導する御書山さんや柏木さんが、書店の仕事内容を丁寧に伝える描写が書店の仕事を知るきっかけとなり、読んでいてとても興味が湧きますし、「いつも自分が通っている書店でもこんな日常が繰り広げられているんだなぁ…。」と感じて、親近感が湧くのではないでしょうか。
お客さんだけでなく、出版関係者や同業の方との交流を通じて本屋さんの仕事に魅了されていく不破くんを見ていると、「面倒くさい性格けど、それでも違う相手を尊重すること」や「最初は嫌な感じだけど、しっかりと理由がわかれば理解し合えること」が、登場人物ごとに通じる表現として描かれているので感情移入もしやすいですし、人の気持ちを理解ことについて考えさせられます。
第1話を読んだときには不破くんがマンガを「くだらない」と言い捨てた場面で、僕的に「もうこの主人公は好きになれないかもなぁ」という固定観念というか印象を持ってしまいましたが、1巻を読み終えたときには、めっちゃいいヤツで次の仕事内容やどんな姿勢で取り組むのか気になると思わせてくれ、「人の気持ち」を軸に少しずつ人として成長していく姿が楽しみです。
「マンガ嫌い」から「マンガ好き」に変わっていく背景や純粋に書店のお仕事内容や大変さ、やりがいを垣間見ることがでますし、1巻では描かれなかった恋愛要素も加わってくるのではないかと感じさせられる、読み応え抜群&次巻がとても気になる作品ですので、ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと思います!
まちの本屋の御書山さん 名言一覧
私が話しかける前、「こんなの読んで何になるんだ」と言っていたので…。マンガが好きそうじゃないから、自分用ではないだろうなって…。
御書山 しおり
自分以外の別の誰かになれるから、ですかね。私たちは普段、自分自身でいることしかできないけど、漫画を読んでる間は「天才スポーツマン」にも、「魔法少女」にも、「名探偵」にもなれる。
御書山 しおり
それって他人の思考や立場を疑似体験できるってことでしょ?すごくおもしろくないですか?キャラの気持ちになって、怒ったり泣いたりしてね〜。
御書山 しおり
他人の気持ちを「理解しようとする」ことはできるんじゃないでしょうか?嫌だと思ってたけど、知ってみたら「悪いものじゃない」って思えることもありますしね。
御書山 しおり
あ〜…、もしかしてマンガに興味わいちゃった?
御書山 しおり
君はその性格と仲良くしつつ、適度に周りと折り合えるように頑張ってよ。スタッフも君の性格を理解できるよう頑張るからさ。
御書山 しおり
よかったね。少しはわかってくれたんじゃない?きみのクソマジメな性格が役に立ったってことだよ!
御書山 しおり
意外と気が利くじゃん。
ケガした同僚を真っ先に気遣ってあげてたじゃん。
御書山 しおり
ポップってね、お客さんへの「目くばせ」なんだよ。そう、感想を書くのもいいんだけど、自己満足になっちゃダメ。本の魅力がきちんとお客さんに伝わるように書かないと。
御書山 しおり
「時代だから」って言葉でくくるのは簡単だけど、こう閉店が続くも世間から「要らない」って言われてるみたいで、やっぱり悲しいよね……。
御書山 しおり
マンガが好きなのか?なるほど、こんなくだらないものを読んでいるから、成績が伸びないんだな。
不破
「相手の気持ちになって」って…、そんなことできるわけないだろ…。しょせんは他人なんだから。
不破
マンガが100万部ねぇ…。
こんなの読んで何になるってんだ。
不破
お言葉ですが、僕は「他人の気持ちになる」なんて不可能だと思っています。
不破
知らなかった。そのマンガ、中学受験が題材になってるんだな。思うように成績が伸びない主人公の苦悩や葛藤が描かれていて、それが少し君と重なった。
不破
その本は君にとって必要なものだったんだな。よく知ろうともせず無神経な言動をとってすまなかった。
不破
僕はこれまでマンガを「読者の欲望を刺激してドーパミンをドバドバ出すだけのやましいもの」だと思ってたんです。
不破
大丈夫ですか?
とりあえず「裏」に行って来てください。
そこにある本は僕がやっておきますので!
不破
いやあれは…、「商品に血が付いたら汚いな」と思ったので…。売ってしまったらクレームですよ。
不破
ポップって…、お客さんの購買意欲を刺激するあの煽情的な厚紙のことですよね?
不破
このマンガがおもしろかったからですよ。
その気持ちをなにかに昇華したい。
それだけです。
不破
書店の経営は厳しいものと思います。しかし、いま本屋を必要としている人はたくさんいる。それもまた事実だと思います。
不破
私が新人の頃はもっとテキパキとやってましたけどね。あんなチマチマ仕事されたら、他のスタッフの業務にも迷惑がかかりますよ。
柏木 海衣
本の場所、教えてくれてありがとう。
あと…、嫌な態度とってごめん…。
柏木 海衣
緊急事態ならともかく奥から呼びつけるとか…、店員は召使いじゃないっての!!
柏木 海衣
私たちをこんなに苦労させたお客さんの顔を拝むのが楽しみでね…。
柏木 海衣
いかがだったでしょうか?
学校や会社、その他の組織に所属していて、「落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるとき、そして、少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるとき」に、モチベーションを上げてくれたり、グサッと心に刺さったり、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。
それでは今回はここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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