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★【続巻マンガ紹介】『チェイサーゲーム 8・9巻』が熱い!

マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、前回1~7巻までの名言を紹介したマンガである『チェイサーゲーム』(©原作:松山 洋・漫画:松島 幸太郎/KADOKAWA)の最新刊:8・9巻を紹介させていただきます。

※前回の記事では完結したと書いていましたが、2年ぶりに新章として連載が始まっていたようで、2024年2月現在ではTVドラマ『チェイサーゲームW』が1月8日にスタートし、毎週月曜の深夜02:35-03:05に放送されています!

チェイサーゲーム 8・9巻 感想

今回は最終巻と思われた7巻(2022年1月発売)から約2年ぶりとなる新刊で、主人公の龍也がサイバーコネクトツーを抜けた後の物語はどんな展開を迎えるかと思ったら、ゲーム業界が抱える問題はもちろん、新人教育や管理職の葛藤が描かれました。

サイバーコネクトツーは松本社長が事故で命を落としたことになっていてサイバーコネクトスリーとして再出発し、龍也が退職後、その時の新人は6年の月日の中で成長し、池脇さんと黒田くんはシニア昇格で実力が認められたこととその部署を任される育成に関わっていくことになりますが、まさかというか想像がつく態度で黒田くんは拒否します。

たしかに「すごいゲームソフトが作りたくてクリエイターになった」ということ、そして「人の管理がしたくてゲームクリエイターになったんじゃない」という想いは、「自分」が良いものをつくりたいとプライドと責任を持っていたらそう思ってしまうだろうなと感じる部分もあり、でも会社という組織で育成・マネジメントをしていくことの必要性は社会人の人には心に刺さるところがあるのではないでしょうか。

そんな黒田くんをシニアに上がるように上層部から説得を頼まれた池脇さんが黒田くんに振り回され、暴力沙汰で謹慎処分を起こす後輩の渡邊さんに振り回され、そして上司である穴井さんに振り回され、とても不憫なことに…。

その間には、前回も描かれていた「自主規制」のようなゲーム業界が抱える問題の1つが取り上げられ、松本社長に変わって社長をしている西川さんが、ロシアのウクライナ侵攻など世界情勢によるゲーム業界への影響についててんてこ舞いになっている姿があります。

しかも規制がかかる前に不安要素を洗い出す謎の会議に部下たちを集めるも、その冷め切った雰囲気で1人さらに上からの指示で仕方なくやっていると悲痛な思いを心に込めている姿は、「責任のある立場になるとたしかにそうなんだよ!」と胸が苦しくなる一方で、意味不明な場に呼ばれて解決策も浮かばない無駄なことに参加させられている池脇さんの気持もわかるので、仕事って難しい…と思っちゃいます。

そして西川さんにはほんとに些細なトラブルから大事のトラブルが次々舞い込み、決断を求められることの大変さが伝わってきますが、ここで登場した松山社長の『そりゃ毎日何かしらの問題は起きるよ。しかし、だからそのために我々がいるんだよ。『役員』というのは会社の司令塔であり同時に責任者なんだから、毎日起きる難題を秒で判断して解決するのが我々役員の仕事なのさ。』という言葉が、上に立つ人の神髄を見せてくれたように思います。

そんな西川さんや地方を飛び回っている宮崎さん、本田さんの経営層・管理職の頑張りが見える一方で、新人の渡邊さんの一件で穴井さんが退職することに。ここでシニアになって黒田くんのお世話もしながら自分のやりたいことができず遠回りにも頑張ってきた池脇さんがブチギレる展開に…。

個人的に8巻は池脇さんの回と名言の宝庫だと思いますし、池脇さんが「仕事をすること・夢を追いかけることに性別や役職が関係ない!」と強く語ることや『人として人間として見て評価してくださいよ!アタシたちの上司として!部下に真っすぐな『夢』を見させてくださいよ。』と言い放った言葉は、本当にその通りだなと心の声を代弁してくれているようでスッキリさせてくれます。

9巻になると今度はサイバーコネクトツーから独立して、学生時代の仲間である勇希たちとゲーム開発会社ゾディアックを立ち上げた龍也たちの厳しい現実の様子が描かれています。

独立後は自分たちで新しいゲームを作ろうと思っているも依頼をこなすだけで精一杯の状況でも「自分たちはいつか勝ちにいかないといけない」、「いつまで受託の仕事をやっているんだ?」と新たなやり方を模索します。

結果として出てきたやり方はメンバー全員が社員ではなく「役員」という立場から残業や休日出勤という概念の範疇を潜り抜けて納期ギリギリの高単価の仕事をこなす専門家集団&その隙間時間と利益で自分たちの考えるゲームを作るというもの…。

龍也の『いつまで経っても下請け会社だ!『自分たちの作品』を作らないと!始めるなら『今』だ!』という言葉の通り、ベンチャー企業なんかもそうですが、自分たちが本当に自分事として動き続けないと存続できない圧倒的な成長が求められる状況を、「自分たちのやりたいこと」という圧倒的な熱量が支えているからこそ、周囲に影響を与えていくパワーを持っているのだとグッときました。

チェイサーゲーム 8・9巻 名言一覧

そうやって開発スタッフ全員のデータを上書きしていくつもり?一本のゲームソフトの中には数万ものデータがあるのよ。それを全部上書きしてクオリティを上げるなんてことは不可能でしょ。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P66/KADOKAWA
池脇 蓮実

それ目の前のデータだけを修正してるってことじゃない。ハッキリ言って.…、中途半端でカッコわる。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P66/KADOKAWA
池脇 蓮実

『誇りと金』の為ーー。
シニアになる理由よ。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P67/KADOKAWA
池脇 蓮実

私の人生ってこうやって振り返るとホントにハッキリ言って地獄だなぁ。何ひとつ上手くいかないや。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P150/KADOKAWA
池脇 蓮実

私の夢は今でも『自分で考えた世界をゲームで表現すること』です。今は3Dアニメーターをやっています、シニアとして。それでもいつか実績を重ねて、周りから認められてディレクターになって、もしそうなったらその時は自分でその世界を全部デザインしたり、その舞台で生きるキャラクター達をデザインして生み出していきたいんです。その夢、叶いますか?

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P181/KADOKAWA
池脇 蓮実

だったら男も女も関係無いですよね。仕事をしながら夢を追いかけるのに、国籍も性別も年齢も学歴も、何にも関係なんか無いってコトですよね!

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P188/KADOKAWA
池脇 蓮実

その『男』とか『女』とか言うのやめませんか!?いいかげんに。関係無いって言ってるでしょ?性別で仕事してるわけじゃないんだから。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P189/KADOKAWA
池脇 蓮実

『面白くて売れるゲームソフトを作るのが仕事』。いつもそう言ってたでしょ!何も関係無いじゃん!性別は。人として人間として見て評価してくださいよ!アタシたちの上司として!部下に真っすぐな『夢』を見させてくださいよ。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P189/KADOKAWA
池脇 蓮実

『前』にも同じようなこと言ったよな?俺は人の管理がしたくてゲームクリエイターになったんじゃないんだよ。俺はすごいゲームソフトが作りたくてクリエイターになったんだ。『それ以外』はやりたくない。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P31/KADOKAWA
黒田 将

オマエさ、こんなデータ上げててよく恥ずかしくないな。シニア?笑わせんなよ。オマエこそやることちゃんとやれよ。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P35/KADOKAWA
黒田 将

思い出せよ、お前は6年前ここに何しに来たんだ?いいゲーム作りたくてきたんじゃかねーのかよ。こんな半端な仕事しかできねーやつ、シニアになって何するんだよ?

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P36/KADOKAWA
黒田 将

なんで能力ある人間が『管理』なんで仕事をやらなきゃいけないんスか。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P47/KADOKAWA
黒田 将

能力のある人間が入社して力を発揮すればするほど、周りから頼られるのは理解できます。そりゃそうやって能力が評価されて昇進するのもわかりますよ。だって凄いクリエイターなんですから。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P47/KADOKAWA
黒田 将

もう素直に生きるのはやめます。みんなを傷つけちまう。どーすりゃいーのかわかんないのはオレのほうッス。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P170/KADOKAWA
渡邊 凛

会社っていうのは所詮『人の集まり』なの。この人と一緒にか仕事がしたい。ーーっていう気持ちは必ずしも悪いことではないわ。.…逆にそれが原因となって会社を去る人だっていると思う。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P58/KADOKAWA
桐澤 美園

会社の代表としてお前に言っておくよ。一生懸命、それこそ死ぬ気で作品を作っているお前らに俺が返せるものは二つしかない。この仕事がやれて良かったーー。そう思える仕事としての『誇り』。もう一つはーー、『金』だ。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P73/KADOKAWA
松山 洋

『別に金のためだけに働いているわけじゃあないーー』。そんなことを若いうちは思うかもしれん。だがな、せめて金ぐらいは欲しがってくれ。クリエイターが良い仕事をした対価として誇れるものの一つなんだから。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P74/KADOKAWA
松山 洋

そりゃ毎日何かしらの問題は起きるよ。しかし、だからそのために我々がいるんだよ。『役員』というのは会社の司令塔であり同時に責任者なんだから、毎日起きる難題を秒で判断して解決するのが我々役員の仕事なのさ。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P120/KADOKAWA
松山 洋

ここでやれることがない?ほう?アナタはいつこの会社の一番になったんですか?

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P46/KADOKAWA
西川 裕貴

さあて今日もまたーー、難題を解決するとしましょうか。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P122/KADOKAWA
西川 裕貴

そもそもゲーム開発という仕事は特殊技能なんですよ。『誰もが出来る仕事』じゃあない。それはある意味では『生き残りをかけた闘い』でもあるわけですよ。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P71/KADOKAWA
西川 裕貴

企業にとって『定期的に血の巡りが良くなる』ってことは決して悪いことではありません。いいですか?悪いことじゃあ無いんですよ?

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P71/KADOKAWA
西川 裕貴

叶いますよ、望めばいつか必ず。もちろん決して楽な道のりではありませんが、そもそもゲームソフト開発というのは集団作業です。1人の突出した人間の技術や能力にばかり目が行きがちですが、最も大切なことは『チームにおける信頼と統率』です。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P183/KADOKAWA
西川 裕貴

こうやってパートナー企業を1社ずつ訪問しては直接顔を合わせながら話すことが凄く大切なんです。現在のゲーム開発は(規模が大きすぎて)我々だけでは完結しません。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P127/KADOKAWA
宮崎 太一郎

自分自身の力で一刻も早く開発チームを掌握して、『自分のチームを作る』ってことをひとつひとつのデータの集まりがゲームソフトという集合体であれば、それを束ねたものが『誇り』となります。

出典元:チェイサーゲーム 8巻 P76/KADOKAWA
魚川 貴央

それでーー、いつ勝つんですか?タテマエはいーんで、それでいつ『勝つ』んですか?もう3年ですよ?コツコツ仕事をしていれば?勝てますか?それで。受託の仕事をやっていて?そんな少ない利益で?

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P16/KADOKAWA
新堂 龍也

オレたちはいつ始められるんですか?結局のところゲーム会社って言ったって、受託仕事だけやってるうちはいつまで経っても下請け会社ですよ。『自分たちの作品』を作らないと。始めるなら『今』ですよ。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P17/KADOKAWA
新堂 龍也

大丈夫ですよ。
オレはオレを訴えないんで。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P19/KADOKAWA
新堂 龍也

単価の高い『特急料金』で不可能ミッションを請け負う専門会社になるーー。24時間体制で仕事を受託するという異能集団『ゾディアック』で、片っ端から回して利益率を上げていくってことか。

出典元:チェイサーゲーム 9巻 P32/KADOKAWA
鷹城 勇希

いかがだったでしょうか?

完結かと思われてまさかの2年越しに新たなストーリーが描かれ、次巻はトランスジェンダーの渡邊凛をはじめとするメンバーを支える池脇さんの成長や龍也や勇希のゾディアックが新しいゲーム作りに挑んでいくく姿が描かれそうな予感がしてます。ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと作品だと思います!

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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