『天と地とクラウディア』第6話
「大丈夫なの?」
しばらく硬直していると、ふと握る力が弱まった。僕は肩の力を抜いて息を吐く。
「ちょっと、記憶がね」
代わりに答えたのはジェンナだった。僕が下手に喋ってややこしくなるより、確かにそうしてくれる方がありがたい。
「記憶?」
「うん……頭だったからね、多分、一時的なものだとは思うんだけど、記憶がなくなっている状態で」
「そう、なんだ」
ジェンナはどこまで本当のことを話して、どこまで誤魔化すつもりなんだろう。そのまま話すとまた厄介なことになりそうだが、それも彼女に一任するしかなさそうだ。そう思って振り向くと、おもむろに左手を取られた。
僕は目を丸くして、美しい金髪を携えた少女と真正面に向き合った。同じぐらいの背丈だから、どうしても真っ直ぐ見つめ合う形になってしまう。
彼女の目は青かった。まるで空を彷彿させるような青だった。金色の髪と白のワンピースに、最も相応しい色のように思えた。
「え、あの、えっと」
我ながら情けなく思えるほど狼狽えていると、少女は姫に仕える騎士のようにさっと片膝をついた。手相を見るように僕の手の甲をじっと見つめていたかと思うと、跪いたまま上目遣いで僕の目を見てきた。
それから、ふわりと微笑んだ。先ほどの眩しい笑顔ではなく、恭しく口元を緩ませる。
「私は」
あまりに自然な振る舞いに見惚れていると、彼女はまた先ほどとは違った穏やかな声音で言った。
「クラウディア第一王女、レミニス。あなたは覚えていないかもしれませんが、私の大切な友人の一人です。どうか以後、お見知り置きを」
その空気感に僕は圧倒されていた。空みたいな瞳が見上げてくる。僕は、と自己紹介をしそうになって、開きかけた口を慌てて閉じた。僕は彼女を知らないが、彼女は僕を知っている。
すらりと姿勢良く立ち上がった少女は、自ら王女と口にした通り、途端に高貴な女性に見えた。さすが王女といったところだ。国を統べる者など目にしたことがなかったが、一目見て納得できるほど、ワンピースという軽装でも、両手を添えて佇むその姿だけでも、育ちの良さと彼女の美しさが感じられた。さすが、王女といったところだ……。
王女?
「あははは、変な顔。大丈夫?」
往来を行く人々は特段驚く様子もないし、みんな当たり前みたいな顔どころか、興味すらないようでこちらを見向きもせず歩いている。ジェンナはジェンナでさっき普通に話していたし、これが王女という崇高な立場の人間に対する言動とは俄かに信じ難い。聞き間違えたのだろうか。
「大丈夫?」
レミニスは僕の顔を覗き込むようにして再度尋ねた。
先ほどの麗しい雰囲気はどこへ行ったのか、無邪気な仕草がどうしても僕の王女という言葉のイメージと合致しない。
「大丈夫……です」
恐る恐るといった感じに答えると、レミニスはもう一度声をあげて笑った。よく笑う女の子だと思った。太陽みたいだと、思った。
「全然大丈夫じゃなさそうだね!」
僕が大丈夫でないことの何がそんなに愉快なのか、機嫌が良さそうに終始にこにこしている。白のワンピースが日の光に反射して、本当に輝いているかのようだ。
レミニスは突然、何かを思い出したかのように手首に付けていた輪っか状のヘアゴムを外して、長い金髪を器用にくくり始めた。
その様子を見たジェンナは、腕を組んでため息をつく。
「ねえレミニス。あなたまた抜け出してきたの?」
「抜け出してないよ。休憩時間になったから、ちょっと外の空気を吸おうと思って」
「今日は何の会議だっけ?」
「ユーリの襲撃されていた場所付近の調査報告と、今後の対応について」
「休憩時間はいつまで?」
「ついさっきまで」
「抜け出してきたの?」
「違うよ。強いて言うなら、逃げ出したんだよ」
頭の後ろでうまく髪をまとめたレミニスは、そこまで言うと地面を軽く蹴って浮かび上がった。
「そんな格好で飛び回っていいの?」
「下に短パン履いているから、大丈夫!」
ジェンナに向かってぱっとワンピースの裾を捲り上げるレミニスに、僕はいけないものを見てしまったような気になって思わず目を逸らしてしまった。特にやましいものなどないと思い直して再び向き直ると、彼女はとっくに僕とジェンナのはるか頭上へ浮かび上がっていた。
「また話そうね!」
おそらく僕に言ったのだろう、見上げた空の青の中で白のワンピースをはためかせ、レミニスは城壁を飛び越えていった。これでは何のために門とか道があって、皆そこを通っているのかわからないが、王女様の特権なのだろうか。
僕はレミニスの飛び去った後の空を、しばらく見上げ続けた。
「休憩時間終わっても帰ってこない人がいたら、どう思う?」
ジェンナが訊いてくる。僕は空を見上げたまま答える。
「逃げ出したんだなぁ、って」
言われてみれば抜け出すとは少し違うかもしれないが、おそらくそういう話ではない。
僕が視線を戻さないでいると、少し離れたところから大きな声が聞こえてきた。
「ああ、ユーリ殿、ジェンナ殿! ちょうど良いところに! あの、王女をお見かけしませんでしたか?」
声の主を見ると、若い男だった。焦っているのだろう、息を切らし早口で尋ねてくる。
「飛んでったよ」
「ああ、会議の後は勉強会があるって朝ちゃんと伝えたのに……!」
「ワンピース一枚だったね」
「そうなんです、会議が終わって正装から着替える際に逃げられたんです」
「いつも大変ね」
「まったくですよ……あれ、そういえばユーリ殿。お身体の方はもうよろしいのでしょうか」
僕より年齢は上だろうに、丁寧な言葉遣いをされて少し背中がむずかゆくなる。
男は僕を向いたのに、ジェンナが大丈夫大丈夫、しばらく療養期間をもらうだけと答えると、それは良かった、と安堵の表情を浮かべた。
「毎度毎度恐縮ですが、王女を見かけましたら基本的に逃げ出していると思って足止めしていただけますか」
「止まれと言って止まるような子ならいいんだけどね」
「ごもっともですが……とにかく探してきます。ありがとうございました。では」
男は律儀に一礼して、門の方へ駆け出して行った。慌ただしいが、従順そうな男性だった。レミニスのことも男性のこともろくに知らないが、きっと彼は苦労しているのだろうなぁ、と他人事のように思ってジェンナを見ると、彼女もまた僕を不満そうに見ていた。
「最悪」
「えっ」
何か悪いことでもしただろうか。思い返してもジェンナ以外にはレミニスに大丈夫です、と一言情けない声で言っただけで、あとは見事にだんまりを貫いていた。
「この状態でレミニスと会うなんて」
「ああ、なんだそんなこと」
「せめてレミニスだけには説明をする前に、ちゃんと打ち合わせをしたかったのに」
「打ち合わせ?」
「記憶喪失の設定とか、飛ぶこともできない地上人であることをどう誤魔化すかとか、あなたと共有しておかないといけなかった」
つまり口裏を合わせたかったわけだ。確かに、ボロが出ないためには、僕が記憶のなくなったユーリのフリを上手くできるよう話し合う必要があった。しかし、その前に鉢合わせして姑息な誤魔化しを口にしてしまったのだ。
ジェンナは眉間に力を入れた顔でうーん、と小難しそうな声で唸った。
「私さっきなんて言ってた?」
「最悪、って」
「そこじゃなくて。レミニスにあなたの状態をどう説明したかってところ」
「ああ……えっと、一時的なものだろうけど、記憶がなくなっている状態、だったかな」
はぁ、と心の底から吐き出したように嘆息する。これではまるで僕が余計なことを言っているような錯覚さえ覚えてしまう。
「いよいよ周囲に本当のこと言いづらくなったじゃない」
君が自らもたらした結果だろう、と心の中で呟くと、ジェンナはふらふらと歩き出した。
足の進む方向からして、どうやら門外に出ようとしているそうだ。僕はその背中に問いかける。
「あの子、レミニスだっけ。自己紹介してくれたけど。王女って、王女のこと?」
「何言ってるの? 地上ではここと言葉が違うの?」
振り向かず答えてきた鋭い言葉が胸に突き刺さるも、僕は歩調を早めて隣に並ぶ。
「僕の言いたいこと、わかるだろ」
門を出ると、商店街みたいな店が左右に連なった広い道に出た。人通りも多く、通りは僕の町の祭りみたいな賑わいを見せていた。
ジェンナは僕の顔を一瞬見て、不機嫌そうに顔をしかめる。
「同じ顔してても、あなたのこと、好きになれそうにない」
「ユーリって人のことは、好きだったのか?」
歩調が早まった。同じ顔で何も知らない人というのは、そんなにも気に食わないものなのだろうか。
「余計なこと言っていたら、ごめん」
「わかって言ってるくせに」
「今度はどこ行くの?」
返事はこない。
「なんでさっきの広い場所で飛んでいた人たちにユーリを捜索させないんだ?」
いくら早足になっても、ジェンナの身体は小さいから、僕は特に苦もなくついていける。
「僕はどうしたら元の町に帰れる?」
商店街のような道の端を歩き、不意に左に曲がって狭い路地へと入った。人の行き交う音が遠のいて、少し空気が湿っぽくなる。
「レミニスの言ってた王女って? なんであんな普通に話せるんだ?」
どこへ向かっているのだろう。人ともすれ違わず、二、三人が並んで歩ける程度の幅の道を進む。僕はジェンナの三歩後ろをキープして、なおも尋ねる。
「どうして誰も王女の存在に驚かない? 君はなんで普通に会話している? レミニスと、僕、じゃなくて、ユーリは、一体どんな関係だったの?」
ぴたり、と地面に張り付いたかのように突然足を止めた。あまりの急激な停止に反応が遅れて、僕と彼女の距離が一歩縮まる。
ジェンナは凄まじい勢いで振り向いた。その目はどこか寂しそうにも、怒っているようにも見えた。不思議な表情だと思った。僕の思い通りの顔だった。
「レミニスは!」
狭い路地に甲高い声が儚く反響する。左右の建物は寂れた家のようで、窓は閉めきっている。人通りも全くないから、ここで少々声を荒げても誰にも迷惑はかけそうになかった。
しかし、予想に反してジェンナは叫んだりすることはなかった。下唇を噛むような顔で僕を睨み、思いの外冷静さを保っていた。
「レミニスは、私たちの」
思い立ったように首を横に振る。
「私とユーリの、大切な友達」
それはレミニスも言っていた。大切な友人の一人、と。
「私とユーリに飛ぶことを教えてくれた人。この城に住めるぐらいの能力まで引き上げてくれた人。私とユーリの、幼い頃からずっと、ずーっと側にいてくれた、大事な人」
「そうなのか」
「この城に住む人は外の世界の探索ができるほどの空を飛べる力を持つ人か、王族の血縁者だけ。レミニスは物心ついた頃からよく抜け出して私たちに会いにきてくれていたの。雲の端の方で生まれ育っていた、私たちのところまで」
話しながら落ち着いてきたのか、ジェンナは一つ辟易したような息を吐き、わかった? と半ば命令みたいに言い放った。
僕はこくりと頷き、ありがとうと言った。
「教えてくれてありがとう」
その言葉を聞いて、ジェンナの表情がさらに険しくなった。眉根の皺がすごい。
「やっぱり、あなたのことは好きになれないわ」
「君がなかなか話してくれないから」
何か言い返そうとして、口を噤んだようなそぶりを見せた。それでもなお挑むような眼を向けてくるので、僕も少しその挑発に乗るように訊く。
「じゃあ、早速訊くけど、今からどこへ行くの?」
しかしジェンナは、まるでそれが待ち望んだ問いかけだったみたいに、ほんの僅かに口角を上げ、勝ち誇ったように言った。
「あなたを、突き落としに行くの」
地上へ帰れるのかな、という淡い嬉しさと、反してあまりに不穏な物言いに、僕はどういう顔をすればいいのかよくわからなかった。
*
「さっきちょっと会っただけでわかったかもしれないけど、レミニスは昔っからあんな感じ」
早足なのは変わりなかったけれど、歩きながら少しずつ話をしてくれた。
「英才教育だかなんだか知らないけど、レミニスは私たちと出会った時からものすごく飛ぶのが上手かった。いつも城を抜け出してはこの雲中を飛び回っていたみたい」
今もあんまり変わってないけどね、と呆れるように呟く。レミニスを語る言葉の一つ一つから、彼女の愛情みたいなものが感じられた。大切な人、というのが言外にもよく伝わってくる。
「私とユーリは雲の壁の近くに住んでて、別に普通に暮らす一般人だった。でも、五才ぐらいの時だったかな、突然私とユーリの目の前に、空から女の子が降り立ったの。降り立ったと思ったらすぐに飛び立って、それをユーリが追おうとして途中で家の屋根にぶつかって、お母さんにすごい怒られてた」
降り立つとか飛ぶとか、想像するのがなかなかに難しかったが、僕は黙って聞き続けた。
「それを見てレミニスは楽しそうに笑っててね、それから毎日どこからか来てくれるようになったの。その頃はまだその子が王族の女の子だとは知らなかったから、私たちも一緒になって遊んでた」
狭い路地を抜けると、視界が広がった。先ほどよりも人通りは少ないが、同じぐらい広い道に出た。
道の反対側には、つい最近目にした学校みたいな平屋の建物が見える。隣に土の広場が広がっていた。建物の中に人はいなさそうだったが、広場では子どもたちが飛び回っていた。なんの遊びかわからないが、飛んでいる子と、飛んでいない子がいて追いかけっこをしているような感じだった。
ジェンナは広場を一瞥すると、反対側へと方向転換する。
「城に住む人は、飛ぶ能力の高い人だけなの。速さとか、高さとか、正確さとか。あとは学校の成績も加味される。平凡だった私たちに飛び方を教えてくれて、今みたいなあんなに崇高な場所で生活できるまでに成長できたのは」
歩きながら、僕の方を向く。色の濃い瞳に吸い込まれそうになる。
「レミニスのおかげ」
いつの間にか、雲の壁が随分と近くにそびえ立っていた。城の中から見たこの街の奥行きはもっと広いように感じたが、これは横の方の雲の壁だろうか。とにかく、街の端っこに近付いているという実感だけは一歩進むごとに強くなっていった。
ジェンナはもうすぐ着くよ、と言って前方を指差した。この辺りは民家みたいな建物が多く立ち並んでいて、彼女が何を示しているのかよくわからない。
聞いてもどうせ常識でしょ、みたいな感じで雑な返事しか返ってこないだろう。僕は嘆息するのを堪えて、おとなしく彼女と並んで歩き続ける。
まあどこへ連れて行かれるにせよ、ここが本当に雲の上なら、突き落とされると地上に帰れるのでありがたい。せめて死なない程度に陸の近い海であってほしいという願望はあるが、実際そんな都合のいいポイントが大海原に存在しないであろうことは、想像に難くなかった。
「とは言っても、もう子どもじゃないんだから、少しは落ち着いてほしいんだけどね」
乾いた笑みを浮かべるその横顔の、どこか儚げな感じがなんだか魅力的に思えた。唯一上機嫌そうな口元に向かって、僕はぽつりと呟くように言う。
「王女なんて位の人間には見えなかったよ」
「かもしれないね。街のみんなもそれを知っているから、特に驚くこともない。地上はどうか知らないけど、その様子じゃ王、というか、国を総べている一族は神みたいな存在なの?」
「いや、謁見するのも許可がいるって聞くし、僕に至ってはまだ見たこともない」
再びこちらを向いてあまりにも露骨に目を丸くするものだから、城のある街には行ったことあるけど、と言い訳がましく付け加えたが、彼女の表情は変わらず何も効果はなかった。
「自分の住む場所を統治している人も見たことないの?」
「僕の町を治めているのは領主さんだよ。何なら毎日顔見かけるぐらい」
「領主? それって……なんていうか、あの、領主のこと?」
僕は思わず吹き出しそうになったが、なんとか耐えて無理矢理厳格な表情を作ろうとする。多分、半笑いぐらいになっていたと思う。
「ここでは地上と言葉が違うのかな?」
それを聞いて、ぷい、と前に向き直ったジェンナは、吐き捨てるように言い放った。
「私の言いたいこと、わかるでしょ」
じっと横顔を見つめて、しばらく間を置いてみた。じわじわと繰り返し変化する表情が面白いなと思った。
「笑っていいんだよ」
「面白くない」
「半笑いになってるけど」
「なってない」
王女とはつまりこの街の領主的な存在なのかもしれない。雲の上の世界が地上ほど広くはないから、きっと治める人が一人で済むのだ。王、と名の付く人たちと住人との距離が近いように感じるのは、そんな背景があるからなのかもしれない。
ただ、違いがあるその一方で、案外似ているところもあるんだな、と思った。言葉とか、統治しているとか、文化が丸っきり違う世界というわけでないようだ。おそらく、ジェンナも同じように感じているのではないだろうか。
と、実際にこの世界が雲の上にあることをこの目で確認したわけでもないのに、ジェンナの言葉を信じ始めている自分に気付く。
多分、空を飛ぶとか雲みたいな見た目の壁とか、そういった非現実的な光景を次々と当たり前のように目にし続けているからだろう。あまりに信じられないものが立て続けに起こると、いつの間にかそれを信じている状態に陥ってしまう。
「せっかく飛べるのに、普段から飛んで移動しないんだな」
何気なく零れた疑問に、ジェンナはえっ、と驚いたような小さな声をあげる。うーん、と返答を思案しているようなので、僕は前を向いたまま返答を待つ。
「走った方が早いのに、あなたは走って移動しないんだね」
えっ、とジェンナと同じような声をあげてしまった。そうして悟った。僕の人が飛ぶという認識と、実際に飛んでいる人の感覚の差異を。
僕の視界の端で、ジェンナがふわりと浮かび上がる。驚いてそちらを向くと、ジェンナは僕に手を差し出していた。
「レミニスがいつも言っていた」
その手を握ればいいのか、微妙な位置まで上げた右腕が躊躇していると、ジェンナの方から僕の手に触れてきた。思いの外強い力で握られる。
「地上の人も空を飛ぶことができるって」
私にはよくわからないけど、と呟いて僕の腕を引いた。ほんの少し空に近付いたジェンナの背後で、青空が広がっている。
空中を歩くようにして僕を引きながら進むジェンナの後を、親に連れられた幼い子どもみたいにたどたどしい足取りで追う。
「地上の人は飛べないって、私たちは地上の人を知っているけれど、地上の人は飛べないから私たちの存在も知らないって、そんな了見が常識みたいに感じている人が多い中で、そんなことないって。人間はみんな同じなんだって、ずっと言ってた。子どもの頃からずっと」
そうしてこちらに向き直り、音もなく降り立つその姿は、どこか神々しくも見えた。
第7話
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