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第3回:企画担当者必見!プロジェクトマネジメントの要点とは?~企画担当者のためのプロジェクトマネジメント研修について~

私たちDNPコミュニケーションデザインはDNPの企画制作部門として、クライアントの販売促進ツールの制作等を手掛けることが多いのですが、中には、クライアントのCX向上プロジェクト等に参画し、数年がかりでクライアントのパートナーとしてプロジェクトマネジメントを行うケースも多々あります。
そのため、システム案件のプロジェクトマネジメントの研修メニューをアレンジし、企画担当者向けのプロジェクトマネジメント研修を1日がかりで実施しています。今回は、これからプロジェクトマネジメント案件を対応していくメンバーを対象にした、その研修内容を紹介したいと思います。


そもそもプロジェクトってなに?


まず初めに、プロジェクトとは何なのかの質問から始まりました。
規模の大小?開発がからむ?などなど各グループでディスカッションの声が聞こえてきました。講師からプロジェクトかどうかを仕分けするワークシートが出され、受講メンバーは悩みながらも仕分けしていきます。
中には“夏休みの宿題を8/31までに終わらせる”や“織田信長は足利義昭とともに京都に上洛する”などもあり、考えされられてしまいました。

今回の研修は4名程度のチームにわかれて実施しており、講義を聴くだけではなくワークやディスカッションも行いながら、インプットとアウトプットを繰り返し進行していきます。


プロジェクトとは何なのか、答えをお伝えすると、プロジェクトとは「通常の業務とは異なり、独自の目標を達成するために、期限を限定して行う一連の作業のこと」ということでした。

つまり、上記の夏休みの宿題も、信長の上洛も立派なプロジェクトということになります。そして、そのプロジェクトの管理には、①スコープ・品質、②時間、③資源(ヒト、モノ、カネ)の3つの要素のバランスを取りながら管理していく必要があります。
なぜなら、プロジェクトには必ず、その範囲(スコープ)があり、時間の制約があり、コストの制約があるからです。

プロジェクトの3要素

次にプロジェクトの目標設定について学びます。
まずは設問について個々に考えます。例えば「新システムは、これまでのどのシステムより高性能でなければならない」というプロジェクト目標の問題点は何でしょうか?

設問ということもありますが、このプロジェクトの内容は漠然と理解できますが、具体的にイメージがわかないかと思います。
問題点はやはりそこにあります。

目標は明確化(具体化)する必要があるのです。これは非常に重要です。できあがったシステム、サービス、納品物は何のために作られたかを開始時点で決めておく必要があるのです。そして、その目標をクライアントと共有しておくことが、スムーズなプロジェクト進行のためには必要です。

このプロジェクト目標の設定にはSMARTの原則というものがあります。

・Specific:具体的にする
・Measurable:測定可能に数値化する
・Action:行動を示す言葉を使う(○○を××する)
・Realistic:現実的で達成可能、かつ高い目標を設定する
・Time:期限をはっきりさせる

プロジェクト目標は、「なぜプロジェクトを実施するのか」を具体的に書いたものです。またプロジェクトの目標に目標ではなく手段が記載されていないかも注意する必要があります。
上記を意識して目標設定することで、スマートにプロジェクト目標にたどりつきたいものですね。


進捗管理について考えてみよう


進捗管理の目的は“約束された納期”に成果物を、“約束された品質”で納品することです。
その目的を達成するために、途中の進捗を確認し、問題や遅延が発生していれば、早めに対策を講じるきっかけをつかむことが求められます。

進捗確認時には、メンバーの報告にも注意が必要です。「ほぼほぼ予定通り」は、実は予定通りに進んでいないことを示しています。なぜなら「ほぼほぼ以外」の部分に遅延が発生していることを示しているからです。その内容を具体化し、どのようにリカバリーをしていくのか確認をする必要があります。

また遅延の度合いは必ず数値化、定量化をする必要があります。「2日程度遅れている」という報告は定量化されているようですが、実は定量化されていません。なぜなら2日後にリカバリーができるのか?そうでないのか?2日遅れているのは何人なのか?がわからないからです。
遅延は自然には解消しません。遅延が確認できたなら、放置せずにリカバリー対策と対策期限を確認し、監視していくことが重要となります。


リスクマネジメントについて


プロジェクトマネジメントにはリスク、課題の両方のマネジメントが必要ですが、より重要なのは問題を未然に防ぐリスクマネジメントの方です。
ドキドキハラハラの映画のような展開は見ている分には楽しいですが、プロジェクト進行としてはいただけません。何か問題が起こってから対処するのではなく、問題の発生を未然に防げてこそ優秀なプロジェクトマネージャーなのです。

リスクマネジメントをする際には、そのリスクを識別、分析してから対策立案をしていくことになります。リスクを識別する際には、プロジェクト3要素である「スコープ・品質」「時間」「資源(ヒト・モノ・カネ)」に着目すると見つけやすくなります。

続いて識別されたリスクを分析します。プロジェクトは「時間」と「資源(ヒト・モノ・カネ)」の制約がある中で進行させる必要があるので、全てのリスクに対策を講じるのではなく、重要度の高いリスクに対して優先的に対策を講じていく必要があります。具体的には影響の大小と発生確率の高低を鑑みて四象限で分類をしていきます。予防対策と発生時対策はその対策の内容によって下記の4つに分類されます。

リスク例「新しい技術を使用してシステム開発を行うことで、未知の不具合でスケジュールが遅延する可能性がある場合」

回避:そのような新技術は採用しない。
転嫁:その技術を利用する作業を外部に委託する。
軽減:メンバーを研修に行かせ知識を習得させるなどして、スケジュール遅延の可能性を減らす。
受容:スケジュール遅延を受け入れる策で、プロジェクト全体のスケジュールにバッファを設けるなどして対応する。

上記のように対応策を検討したら、リスクマネジメント表にまとめておきます。表は台帳として常に更新され、リスクマネジメントに活用されます。リスクの対応策を取ることで新たに発生するリスクを「二次リスク」といいます。二次リスクも残存しているリスクとあわせて優先度を考えながら管理していくことが求められます。


WBSって大事なんです


WBSって知っていますか?と聞くと結構多くの方が、「あー見てます!テレビ東京のワールドビジネスサテライトですよね?」とお答えになりますが、プロジェクトマネジメントの時のWBSはそれではありません。

WBSとは(Work Breakdown Structure)の略で、作業分解図と訳され、プロジェクト完了までのすべての作業を洗い出し、階層的な系統図で表したものです。WBSを作成することでプロジェクトに何が含まれ、何が含まれないのかを明確にすることができます。つまりWBSで定義されていない作業は、プロジェクト活動に含まれていないことを意味します。したがって、WBSで定義された作業、その作業によって作成された成果物は「スコープ」に該当します。

またWBSで定義された作業をスケジュール化することで「時間」管理が可能になります。さらにWBSで定義された作業を実施するうえで必要な工数、設備などが判明し、それにかかる費用を算出できるので「資源(ヒト・モノ・カネ)」を求めることができるようになるのです。

WBSの概要を理解したところで、グループワークに入ります。
カレーライスを作るためのWBS作りです。

メンバーには男性も多く、あるチームは誰もカレーライスを作ったことがありませんでしたが大丈夫でしょうか?レシピではなくあくまでもどんな作業があるかに着目してWBSを作成します。食材の購入から始まり、ご飯とカレールーのつくり方をWBSに落とし込んでいきます。添え物は福神漬けかラッキョウかで揉めたりしながら、グループごとのWBSが作成されていきます。

細かい違いはありましたが、どのチームも無事WBSを作成することができました。
漠然とカレーライスを思い浮かべてWBSを作りましたが、チキンかビーフか?それともキーマかグリーンか?とカレーにもさまざまな種類があります。それ以外にも何人分作ればいいの?予算はいくら?などの条件が提示されていませんでした。これは実際のプロジェクトでも起こりえます。依頼者の要求をしっかりと確認し、スコープを共通認識化することが大切なのです。

プロジェクトマネジメントに関わる心構え


最後に各人の性格や傾向により陥りがちな罠とそれに対するヒントを伝えながら、今回の研修も大詰めを迎えます。チーム内で本日の研修内容を振り返り、理想のプロジェクトについて一人ずつ発表を行いました。
それぞれが感じた理想のプロジェクトに対しての発表なので、自然と応援する気持ちで周りのメンバーも聞いてあげることができました。

本日の研修に参加したメンバーにアンケートをとったところ、「“プロジェクトとは何か”から始まり、プロジェクトの3つの要素、目標や進捗管理など、基礎から学べたので、今の自分のレベルに合っていた。」という声や、「プロジェクトとは?という基礎からWBSの書き方まで大変わかりやすく丁寧に教えていただき役立ちました。

久々のリアル研修でしたが、「座学と仲間たちとのグループトークの時間バランスもよく、終日刺激的であっという間に終了しました。」という声など、満足度の高い意見が寄せられました。今後の仕事に役立てていけそうな研修となりました。

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