「私、辞めます」と部下に言われたら
マネジャーの仕事のうち、気持ちの上で負担のかかる難しい仕事のひとつとして、人材が退職しないように話し合いをすることがあります。
役職や報酬ばかりを望む社員ではなく(ここ重要)、組織に献身的で忠実な社員から退職の相談を受けた時、私たちは、こういった時どのように対応すべきでしょうか。部下の意思を尊重して、退職に合意しますか?それとも、退職を引き留めますか?
退職相談は、突然に!
残念ながら退職相談は、大抵忙しい時にきます。
「ちょっとお時間ありますか?退職を考えているのですが・・・」
部下から、このような申し出があった時、最初の反応が、その後を左右します。この時、「その問題は後で話し合おう」などと言って一旦かわすと、部下は、自分は重要では無いのだなと感じで迷いなく辞めていくでしょう。
できるならば、その時やっていることを即刻中止して、お互い椅子に座り「なぜ」辞めるのか理由を尋ねるべきです。
そして自由に話をしてもらいましょう。一切議論してはいけません。なぜなら部下は、一晩どころか何晩もどう言おうかリハーサルしてきたに違いないからです。辞めたい理由をすべてを聞きます。本当に部下を悩ましているものを探りだしましょう。この時点で決心を変えさせようとせず、しっかり話を聞いてあげましょう。
退職を認めるか、退職を引き留めるのか?
多くの人は、話を聞いて仕方ないと考えて退職を認めているのではないでしょうか。
少し疑問があります。
組織は、部下がいなくても動くと思っていませんか?
部下の選択やチャレンジを尊重しているとは、思っていませんか?
社員を採用することも、教育することも多大な労力とコストをかけています。献身的な社員の退職は、組織にとってもマネジャーにとっても、何事にも代えがたいダメージです。残念ですが、優秀な部下が退職してしまうのは、マネジメントの失敗なのです。
もしマネジャーとして至らない部分があったのであれば、それを認めることも大切です。組織のために、人材を確保することはマネジャーの仕事です。カッコ悪いことではありません。自身のマネジメントを振り返りながら、全力で引き留めましょう。
辞めるだろう社員の為になぜそこまでするのかと言う発想は捨てます!
部下には、次の面談までに自分に準備をさせて欲しいことを理解してもらい、最後まで社内調整をやり通すことを誓いましょう。
退職率5%の壁
すこし話がそれますが、退職率について説明します。
自己都合退職率は、採用の有効性を考える上で非常に重要です。
一般的に年代別の退職率は、若いほど高いので、平均で5%でも、20代の社員の退職率は10%程度あることもあります。全年齢で3%未満であれば、新卒採用が有効な手段となりますが、5%を超えると効率的ではないと言われています。
仮に100名の新卒社員を採用する場合、退職率が年3%平均とすると40歳時点で約60名、60歳定年を迎える社員は約30名となります。これが5%となると40歳時点で40名、定年を迎える社員は15名となります。40歳時点で、60名も退職しているのです。このことからも経営の効率性を考慮した場合は、退職率マネジメントは重要なのです。多くのマネジャーは、この辺りの人事KPIに疎いこともあります。
部下との対話
部下にとっても会社とってもためになる解決策をもって対話に臨みましょう。他部門へ異動させることも含めて、他のマネジャーに託すことや、自身がして欲しいように部下に施すこと検討しましょう。そういった黄金律が、他社に行くより響くかもしれません。
もちろん部下からは、「もっと早く対応してほしかった」「自分が言い出したから対応した」「もし、わたしが残ったらゆすり屋だと思うでしょう」などの意見を言われるかも知れません。
マネジャーは、部下が、新しい提案を気持ち良く受けられるようにしてあげて良いのです。誤りに気づき、こういうことが起きないように、やらなければいけなかったことを、今やっていると伝えれば良いと思います。
最後に
部下の退職問題は、容易ではありません。一生懸命引き留めたとしても退職されてしまうことは多いでしょう。
この問題は、ひとりの優秀な社員を残留させるよりもっと重要だと思います。社員は、ほかの社員のことも自分のように考えています。社員の士気と会社へのロイヤルティは、マネジャーの行動にかかっていると言っても過言ではないからです。
本当の力は、自分の弱さを認める勇気から生まれる
最後までお読みくださりありがとうございました!
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