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【パイロットインタビュー第3弾】本好きさえちゃんの広がりゆく世界。理系VS文系夫婦の歩み寄り方も必見!

こんにちは!DAWN公式note担当のあーりん&くどぅです!
パイロットインタビュー第3弾の今回は、OriHimeパイロットの大先輩であるさえちゃんにいろいろとお話を聞いて参りました!

 さえちゃんは、2018年11月に行われた第1回目の期間限定DAWN実験店にて公認OriHimeパイロットになり、現在も日本橋のDAWNを中心に、様々な場所でOriHimeの身体を使って活躍しています。本が好きなさえちゃんはDAWN以外にも、朗読会リーディングシネマに出演したり、図書館で絵本の読み聞かせをしたりと活躍は多岐にわたります!
そんなさえちゃんにも、パイロットを始めた頃には様々な苦悩があったようで……。
素敵なお話をたくさん聞けたのでご紹介します!


さえちゃんの病気や日常生活について

──早速ですが、さえちゃんの病気は『身体表現性障害』ということですが、症状や発症した経緯を教えてください。

 症状が出始めたのは大学卒業後、会社員として働いていた頃です。初めは環境の変化による胃腸の不調かなと思ったのですが、吐き気が止まらず、次第にめまいや頭痛が起こり、どんどん症状は強くなってきました。そのため満員電車に乗ることができず、早朝の電車に乗り、何度も途中下車を繰り返しながら以前よりも倍以上の時間をかけて通勤していましたが、それも難しくなり、休職・退職しました。
様々な病院にも通いましたが、どこに行っても原因不明で治療はできないと言われ続け、6年ほど前にようやくついた診断名が『身体表現性障害』です。ですが私のケースは現状では根本的な治療法がなく、難治性であると言われています。対処療法を行いながら症状を抱えた状態で生活しています。原因不明の症状とどう向き合って行けばよいのか困っていたのですが、病名がついたことで少し安心したのを覚えています。気持ちの落としどころがついたからだと思います。

──普段生活するうえで困っていることはどのようなことですか?

 私の場合は常に吐き気やめまいがあり、私自身が無意識でも、光や音など等の環境的なもの、気持ち的なもののストレスがかかると、それらすべてが身体に影響し、身体症状として現れてしまいます。そのため、この状態で一人で外に出たり、公共交通機関を利用したりすることがとても難しいです。友人たちと美味しいものを食べに行くことが大好きだったので、外食できないことがとても寂しいです。
また、体力的にも思考力的にも、使えるパワーがとても限られているので、やりたい事とやらなければならない事との生活のバランスをとるのが大変だなと感じています。

PCでOriHimeを操作するさえちゃん

パイロットに応募したきっかけ

──さえちゃんは第1回目のカフェのときからパイロットとして参加していますが、パイロットに応募したきっかけは何でしたか?

 ある日、ガンダム好きな夫が「ロボットのテストパイロット募集だって!」とネットで求人を見つけてくれたことがきっかけです。「すごい!ロボットに乗れるよ!」と夫が興奮気味に話していたのが印象に残っています(笑)今思えば、ずっと「仕事がしたい」と言っていた私を想って探してくれたのかもしれません。

──ガンダム好きの心を掴んだ求人だったんですね(笑)実際パイロットになってみてどうでしたか?

 実は、普段からの吐き気の影響もあり、OriHime-Dの操作で画面に酔ってしまいました。さらにずっと家にいる生活のせいで人と話すことに慣れず、話している時はとても楽しいのですが、終わった後に吐き気が出たり体調を崩してしまいました。OriHimeゆえの『そこにいる感覚』が私にはあまりにも刺激が強すぎたんです。
1日で1時間働ければ良い方で、シフト通りに出勤できなくて「みんなに迷惑かけちゃうので、パイロット辞めます」と伝えました。そうしたらその日のうちに当時のカフェメンバーがグループメッセージで『どうしたらさえちゃんがシフトに入れるか』を相談に乗ってくれて……。そこから、急に体調不良の人が出ても誰かがすぐに代わってくれるBUシフト※がうまく機能するようになってきました。誰かが控えててくれる安心感と、OriHimeの操作にも慣れてきたおかげで2回目のカフェ開催時にはシフト通りに出勤できるようになってきました。

──不安定な体調に合わせた働き方は、パイロット同士の話し合いから誕生したんですね!

※ BU(バックアップ)シフト。急な体調不良等でシフトに入れなくなったパイロットのために、いつでもOriHimeにログインできるように同時間帯に待機する業務。

嬉しかったこと、家族のこと

──一度は辞めようと思ったパイロット、続けてみて嬉しかったことや思い出に残っていることはありますか?

 パイロットになってから初めての年明け、パイロットメンバーのグループメッセージで「あけましておめでとう。今年もよろしく!」と挨拶を交わしたのですが、今年もよろしくと言い合える仲間がいるんだと実感してとても嬉しかったです。思い出すと今でもにっこりしてしまいます。
他にも、私は本が大好きで、OriHimeで働く中で本に関わる活動にも参加させていただきました。プライベートでも読書会をやったり、先日は高知で自分が選書した本をご紹介してみんなとお話しする『さえのブックカフェ』の1日店主をOriHimeでやれたことがとても嬉しかったです。

OriHimeで絵本の読み聞かせ

──パイロットになってからのご家族の反応は何かありましたか?

 パイロットになる前は夫から「今日は何してたの?」と聞かれても「ずっと具合が悪くて何もできるわけないじゃん!」と、勝手に卑屈になってしまうこともありました。でもここ最近は「今日もたくさん外国のお客様が来たよ!」と答えたり、寝言で「ハロー!うふふ」と夢の中でもOriHimeに入っている様子を見て「なんだかんだで、いつも楽しそうだよな〜」と夫も嬉しそうに言ってくれるようになりました。病気になる前の性格に戻ってきたね、と言われることも増えました。

『拡張アバター接客実証実験』でアルパカになったさえちゃん

──素敵な旦那さんですね。もっと旦那さんとのエピソードを聞かせてください!

 もともと夫は、人の気持ちもわからないし、食事も栄養素が摂れればいいと自分で言っちゃうような人だったので、理系の夫と文系の私という性格も興味も正反対な夫婦だったんです。私の病気の症状が主観的なものでしか表せない状況で、どういうことができないとかを伝えるのが難しく、一緒に生活する上でどうやって夫と向き合って行くべきか試行錯誤しました。どうしたら自分の病気の感覚、身体の状態を言語化できるか考え、吐き気のレベルを10段階で伝えてみることにしました。すると『今日は7くらいかな……』『7だと結構辛いね。食事の支度は俺がやるよ」と寄り添ってくれて、生活が現実的に上手く回るようになってきました。
結婚11年目になりますが、今でもお互い手探りで徐々に歩み寄っています。
ちょっと疲れてるな、という時「何か美味しいものでも食べよう!」と気遣ってくれるようにもなりました。
最近、パイロットとして働いたお給料で一緒にアフタヌーンティーに行きました。自分の自由なお金を、2人で豊かな時間を過ごすことに使えてすごく嬉しいです。

今後の夢や展望

──さえちゃんの今後の夢や展望はありますか?

 これと言って大きな夢や目標は持っていないんです。ただ、OriHimeで働くということが普通になって、普通の主婦がただOriHimeでパートで働いているだけなんだよ。と、なってくれたら嬉しいです。
強いて言えば、どんな形であれ大好きな本に関われたら嬉しいです。私が家から出られない時に、本や文化芸術が私を助けてくれた時期がたくさんありました。本屋さんや図書館だったりブックカフェだったり、OriHimeやリモートでも人と本を繋げていけたり、本を媒体に人と人とが繋がっていけるような活動ができたらとても楽しそうだなぁと思います。以前、病院などで心身が弱っている方に読み聞かせをしてほしいと言われたことがあり、そう言ったことにも興味があります。でも、本にカバーをひたすらかける仕事でもきっと幸せだろうなぁとも思います。

──さえちゃんの本が大好きな気持ちがたくさん伝わりました!常設店になる前の一番はじめのDAWNのことや、旦那さんとのエピソードなどなど、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!

さえちゃんに読み聞かせをしてくれる女の子

あとがき

 柔らかく、のんびりとした雰囲気を纏うさえちゃんにも、パイロットになった当初は様々な苦悩がありました。しかしその苦悩を糧にして、OriHimeパイロットならではの働き方をみんなで開拓し、今に繋げてきてくれました。
人と人との繋がりを大切に、様々なお仕事を一つ一つ丁寧に対応してくれるさえちゃん。今度はまたOriHimeでどんな活躍を見せてくれるのかとても楽しみです!さえちゃん、ありがとうございました!!

さえちゃんのデスク周りにあるという宝物たち


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『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』
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