ここがタメになった「日本人の勝算 デービッドアトキンソン」2/②
日本に30年住んでいる著者が日本の経済不振の不思議さを研究する本です。
不振の理由探しとして努力が足りないなどの精神的な意見が出がちなのですが著者は一切それらを否定し、否定する理由まで論理的に述べるのが面白いです。
流行のビジネス本を読みながら勉強会と称してみんなで集まり盛り上がるより、会社で生産性向上について冷静に向き合えという厳しい著者の主張が心に残りました。ネットで著者が毛嫌いされているのはこれかもしれません。
☆感想
日本軍は兵士は有能で指揮官は無能といわれてましたが日本企業もその傾向が強そうです。何もしないのが無難で良いことと信じる経営層をなんとしてでも動かさないと国家も国民も不幸になるという著者の主張には納得できます。リスクをとってでも新しいなにかに挑戦させるというのは、時代の雰囲気が変わって考え方もそうとう変わらないと無理と思います。
最近物価が上がり給与も少し上がり、実質として最低賃金が上がった形ができてきました。最低賃金法をいじらずとも日本社会の復興が進んで労働者の待遇も変わってくるかもしれないと少し明るくみています。問題は日本は労働者が高齢化しすぎて40代50代がすごく多い。労働の変化についてこれるかが気になります。しかし人材評価で日本人はほぼトップ扱いでした。他の国も点数上がっているのにすごいことです。潜在能力をなんとか金に換えたいと自分自身も思いました。
~~以降は内容説明~~
日本では経済の大半を占めるサービス産業が生産性が低く 足を引っ張っています。
90年代以降 日本の生産性は OECD 、先進国に比べても低いです。
40代は最も生産性が高い世代です。その世代の人口が増えると生産性が上がりやすくなることが世界共通の法則になっています。日本はその人数も減っているため、一人当たり GDP を増やす必要があります。そのためには 生産性を上げなければいけない。 経営者が自ら進んで 賃上げをしないといけません。そういう方向に持っていくために最低賃金の引き上げが鍵となります。 最低賃金は1人当たり GDP の50%が妥当であるというのが世界的な共通認識です。日本はその相場よりだいぶ下です。
2016年のワールドエコノミック フォーラムのランキングによると日本の人材評価は世界第4位で大手先進国としては最高ランクです。次に高いのはドイツの11位です。他のトップ10は全て人口の少ない小さい国です。少ない人口だと 異常値が出やすいため 人口の大きい国で トップ10に入っている日本が非常に優秀といえます。それでここまで 生産性が低いのは 経営層に問題があるので改革する必要があります それには政策で最低賃金を上げ 生産性を上げる方向に進めていくのが良いです。
経営層に積極的に規模拡大と生産性向上の意欲を出させるのはとても難しいことです。人件費を削れば会社が維持できてしまうからです。余力ができた時に輸出の促進や 商品開発に注げばまだいいのですが、無気力で何もしない 選択しようとなりがちです。
こうして恵まれた社長たちは勉強会と称して人に会って 世間話をして過ごす、 有名人の本を買う、これでは勉強したつもりになるだけで生産性は上がりません。
日本の人材は優秀であるとされているのに生産性は低い、これは言い換えると潜在能力があるのに飯が食えていないということです。
技術革新をすれば生産性は向上すると信じられています。イギリスは 研究開発の成果は出ているのに 企業部門での実績が出せていない。実際に普及させることは非常に困難なのです。
新しい技術の力よりも、新しい考えを持った起業家が登場すると生産性に効果があります。市場に変化と成長を起こすような新しい発想の起業家や意欲的な起業家のことです。新しい技術を普及させるのは並大抵のことではなく、そこを重視する トップ層がまず必要なのです。
現在日本では生き残りをかけて 中小企業同士が 過当競争を始め 利益を削ることで 研究開発へ設備投資がどんどん遠ざかっています。これでは努力しても生産性は上がりません。この過当競争を変えていかないといけない、それには最低賃金を上げることが方向転換として重要です。
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