買い占めを減らす社会を~統計学の講師より
ここのところスーパーなどでお米が品薄になっていると聞きます。
たしかにどこも品切れ!ネットスーパーも品切れ!
中学校の数学を思い出してみる
中学校の数学の授業で、一次関数というのがありました。
こういう感じの式で表わしたものでした。
yとかaとかx(エックス)やbという文字が出てきましたが、これはなぜ別々な文字で表わすのかというと、それは
別々なことを表わしているから
ということです。
またyは「今知りたいこと」で、yが変化する原因にあたるものをx(エックス)で表わす習慣があります。
次の購入時期のあたりをつける
まず「いま知りたいこと」(式のうち「y」)は、次の購入時期です。
そして次の3つについて明らかにします。
(1)1日あたりの消費量……(式のうち「a」)
(2)次に調達するまでの日数(式のうち「x」)
(3)いま家にある在庫量(式のうち「b」)
これを中学校で使った一次関数の式で表わすと
たとえばお米について例を挙げてみます。
(1)毎日 押しなべて 500g(0.5kg)使う…… a
(2)次に調達するのが10日後だとしたら …… x
(3)いま在庫は5kgある …… b
という3つの情報があるなら
上の式に当てはめると
こんな風になります。
なぜ最後の5kgを引き算するのかというと、ここで求めたいのは「どれだけ買えば良いか?」だからです。
今手元に5kgがあるなら、「どれだけ買えば良いか」から減らしてあげれば良いからです。
これを上の式に当てはめると……
ということで、10日後に買えると想定した場合は、「今日は買う必要がないね」と判断できます。
数学の授業と異なる部分こそが、大人は活かすべき
ところが、ここでわからないのが「x(エックス)」の部分である「いつ調達できるのか?」です。
そこで
急な来客や家族の食事の変化に対応できるように、1~2日分の余分を見ておきたい。
次の調達まで見込んでおくのは10日間ではなくて、15日間を見ておきたい。
などという考え方があります。
それなら、1日0.5kgを消費するのですから、10日分に相当する量を余分に見ておくにしても、5kgの1袋だけ買えば良いことになります。
この式を思い浮かべることができるなら、根こそぎ買い占める前に「ウチなら何日分の消費に相当するんだろう?」と考えることができるのです。
見立てで大切なのは納得感
意思決定は行動の前に行います。
つまり、実際に「その場になってみないとわからない」ことの連続です。
しかしそれは必ずしも正解だとは限りません。
見立てや予測はまず当たらないものです。
わたくしが担当する研修などでも良くいただくご質問に、次のようなものがあります。
予測の誤差は何パーセント以内だと良いのでしょうか?
わたくしは断言します。
そもそも実際の値と予測との差がリスクです。
そのリスクを回避する方法の一つには、企業であれば現預金の額、資金繰りなどの余裕も該当します。
つまり何パーセントの誤差があろうと、資金や人員などの資源に余裕があるなら、それは「誤差があっても大丈夫」といえます。
そりゃ誤差は無い方が良いに決まっています。
しかし誤差なく予測ができる、必ず当たる予測なんていうことは、絶対にあり得ないのです!
わたくしはオートレース場の近くに住んでいますが、本当に必ず当たる予測ができるようならば、この講師の商売はやらず、恐らくオートレース場で生活していることでしょう。
常識や信頼という臨み方
学校の授業で教わったことは、こうした豊かな人生を送ることにも役に立ちます。
教科書で書かれていることを丸ごと覚えていなくても、何かのキッカケで調べたりすることで、気づくこともあるでしょう。
ちなみに「お米 新米 いつから買える」というキーワードを使ってググってみました。
するといくつものWebサイトで、(関東地方では)9月に出回るとありました。
この記事を執筆している8月22日からあと2~3週間も経てば、徐々に流通は落ち着いてくるのかもしれません。
次の調達まであと20日間を見込んだとしても、大量に不当に買い占める必要があるのかどうか?と、もう一度胸に手を当てて考えてみることはできるのではないでしょうか。
このように「常識」や「教科書にある程度のこと」についても、一定の信頼感を持って臨むことは、たとえば次の記事でも言えるでしょう。
物理学がご専門の方による、電磁波の性質に関する説明があります。
この記事の内容を考えると、自分で学生時代に履修をしたり覚えたりしていなくても、教科書レベルの内容を自分から(ググるなどの方法で)探すことで、不安は取り除くことができそうです。
振り回されない人生に
結局のところ、外に正解を求めるばかりでなく、自分で正解にしてゆく人生に尽きるでしょう。
記事をお読みくださり、ありがとうございます! あなたのサポ―トは、今後更により良い記事を提供するための、大きな力になります!