ChatGPTと共感マップのたたきを作ってみた話
ChatGPTを使って共感マップのたたきを作るプロンプトの紹介記事です。
共感マップとは?
共感マップはサービスやアイデアで設定したペルソナに対して、そのペルソナの行動や思考を洗い出して整理するフレームワークです。
項目としては
・See(何を見ているか)
・Hear(何を聞いているか)
・Say(何を話しているか)
・Do(何をしているか)
といった感覚や行動に関わる要素と、
・Pain(何に苦痛を抱くか)
・Gain(何を求めているか)
などの思考の要素で構成されています。
個人的にはDave Gray氏が開発されたフレームワークが整理する上での視点も記載してくれていてわかりやすく、いつも活用させてもらってます。
(日本語訳してくれているサイトも見かけたので気になる方は検索してみてください。)
なぜ共感マップを作成するのか
サービス企画をする際や、広告のターゲットを考える際などにこの共感マップを作ったりするのですが、この共感マップを作る目的としては以下の2つなのかなと考えています。
サービスを提供する場合、多くは価値を届けるペルソナがいます。
よりペルソナのニーズに刺さる価値を提供するにはペルソナがどんな価値観を持ち、考え、行動に移しているのか、あるいはどんな影響を周りから受けているのかを深掘る必要があります。
共感マップはそのペルソナを深掘り、理解するための整理として便利です。
そして、顧客視点をビジネスの中心に据えている場合、意思決定の判断軸にはペルソナにどんな価値が届き、それに対してどう反応するのかは考慮する必要があります。
その際にペルソナ像がメンバーによってバラバラだと結局何が良いのかがバラつき判断がしづらかったり、デザインなどを依頼する際に要件が定まらなかったりしがちです(実際要件ガバガバの依頼を頂いたときは結構困った経験をしました)。
こういった認識のバラつきを少なくすることにも共感マップは使えるのでオススメです。
ChatGPTと共感マップを一緒に作る
本来はユーザーインタビューをちゃんと行ってから共感マップを作成するのがセオリーです。
ただ、個人的にユーザーインタビューでどんな問いかけをするのかを考える際にベースとなるものがあった方が考えやすく、毎回作業する際には仮想のペルソナや共感マップを作ってからインタビュー内容を設計していました。
そして、仮のペルソナや共感マップを作るのも結構手間がかかるのでここの部分をChatGPTで効率化でいないかを試してみます。
仮想ペルソナを作る(人の手で作る)
まず、仮想のペルソナを作ります。
ここの部分をChatGPTで作ってみてもいいのですが、やはりインタビューに取り組むフェーズになるとある程度ペルソナ像が既にあり、ChatGPTからズレた回答をもらってプロンプトを修正する手間を考えるとペルソナは人が設定した方がいいかなと考えます。
今回は本ブログの仮想ペルソナを立ててみました。
プロンプト for 共感マップ
さて、仮想ペルソナを元に共感マップを作成してみましょう。
プロンプトの雛形は以下です。
#役割
あなたはUXデザイナーです。
今回、企画職やマーケ職のペルソナが簡単に業務に応用できるサービスのペルソナから共感マップを作成することを支援します。
#インプット
--ペルソナ情報
-属性情報
[ここに情報を入力する]
-ペルソナの抱える企画の調査や分析、アイデアだしに関する悩み
[ここに情報を入力する]
-現時点での悩みに対しての解決策
[ここに情報を入力する]
--共感マップの各要素
-See
・仕事で市場にあるどんなものに目を留めていますか
-Say
・どんな発言をよくしていますか
-Hear
・どんな情報を他の人から聞いていますか
・どんなことに意識的に耳を傾けていますか
-Do
・どんな行動をしていますか
・意識的にどんな行動をしますか
-Situation
・どんな状況に置かれているか
・どんなことを求められているか
-Pain
・何を恐れていますか
・どんなことに不安を感じていますか
-Gain
・何を求めていますか
・どんな状態を達成したいと考えていますか
・なぜその欲求を満たしたいと考えていますか
#命令
{#インプット}の{--ペルソナ情報}のペルソナの共感マップを作成してください。共感マップで抑える必要がある要素は{--共感マップの各要素}以下に記述されているものです。
ペルソナに沿って各要素に答えて、{#アウトプット}の出力形式で出力してください。各要素それぞれで最低3つ意見は出してください。
#アウトプット
{--共感マップの各要素}の-がある項目名|各要素の回答のカラム順で表形式で出力してください。
インプットの{--共感マップの各要素}に冒頭紹介した共感マップの要素をパラメータとして追加しているのが特徴です。
そして{--ペルソナ情報}に先程作成した仮想ペルソナの情報を入力します。
実際に入力してみたプロンプト例がこちらです。
#役割
あなたはUXデザイナーです。
今回、企画職やマーケ職のペルソナが簡単に業務に応用できるサービスのペルソナから共感マップを作成することを支援します。
#インプット
--ペルソナ情報
-属性情報
年齢:29歳
性別:男性
業界:IT業界
職種:事業企画職
ワークスタイル:
平日5日勤務、休日1日副業
週3出勤、2日リモートワーク
年収:600万円台
性格タイプ(MBTI):ESTJ
趣味:ゴルフ、漫画、旅行
-ペルソナの抱える企画の調査や分析、アイデアだしに関する悩み
・企画職として長年働いており、企画を作る際に必要な調査や分析の流れは把握できている。
・ただ、毎回アイデアを自分の頭で1から考えるのにも疲れを感じていたり、複数のプロジェクトにアサインされていることからもっと効率的に行いたいと感じ始めている。
・周りに企画の壁打ち相手が少なく、たまに視点が抜けていないか不安になる。
・ChatGPTなどに試しに投げてみたがどの様に質問すると思うようなアウトプットが出るのかを考えるのが時間がかかって効率的でないと感じた。
-現時点での悩みに対しての解決策
・プロジェクトが終了したら調査や分析などを振り返り、体系化してメモをのこして次に使える様にしている
・企画やマーケのニュースや書籍をインプットして、使えるものは試し、効率化や深い洞察を得れたものは使い方を体系化してメモに残す
・メンバーの時間をおさえてアイデアに対してのFBをもらう
--共感マップの各要素
-See
・仕事で市場にあるどんなものに目を留めていますか
-Say
・どんな発言をよくしていますか
-Do
・どんな行動をしていますか
・意識的にどんな行動をしますか
-Hear
・どんな情報を他の人から聞いていますか
・どんなことに意識的に耳を傾けていますか
-Situation
・どんな状況に置かれているか
・どんなことを求められているか
-Pain
・何を恐れていますか
・どんなことに不安を感じていますか
-Gain
・何を求めていますか
・どんな状態を達成したいと考えていますか
・なぜその欲求を満たしたいと考えていますか
#命令
{#インプット}の{--ペルソナ情報}のペルソナの共感マップを作成してください。共感マップで抑える必要がある要素は{--共感マップの各要素}以下に記述されているものです。
ペルソナに沿って各要素に答えて、{#アウトプット}の出力形式で出力してください。各要素それぞれで最低3つ意見は出してください。
#アウトプット
{--共感マップの各要素}の-がある項目名|各要素の回答のカラム順で表形式で出力してください。
それではこのプロンプトをChatGPTに入力して、結果を見てみましょう。
See,Say,Hear,DoやGain,Painそれぞれでしっかり出力されてますね。
実際に共感マップを作ってみるとこんな感じです。詰めていく部分はあれどスタートのたたきとしては案外良いのではないでしょうか。
ブラッシュアップ
さて共感マップのたたきが作れたら、これをベースに質問内容を考えて、ユーザーインタビューを実施します。
実際に磨き上げて、共感マップを更新した結果がこちらです。
まとめ
今回はChatGPTと一緒に共感マップを作成してみました。
プロンプトだけでは質の高いものは出せませんがたたきを作成してもらい、そのたたきをベースにして人が磨きこむといった形であれば実務にも応用できそうです。
使ってみたい方は是非活用ください!
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