🌃Spotify音楽比較データアプリを公開しました(β版)

2024年1月29日 17:23

Release early. Release often.　（早期リリース、頻繁なリリースを。）

Eric Steven Raymond

というアメリカのソフトウェア開発者であるEric Raymond氏が広めたソフトウェア開発哲学があります。完全には開発されていないバージョンでも早期かつ頻繁にリリースする事で、ユーザーからのフィードバックを早くから取り入れ機能性を高めたりバグを修復し、バージョンアップデートしてリリースする開発ループを確立することによってより良いソフトウェアプロダクトを早く提供できるという考えです。

私もこのRelease Early Release Oftenを念頭に置きながらSpotifyデータアプリを構築してきました。まあ色々試行錯誤したり新しいプログラミング手法などを習得したり、時間はかかりましたがSpotify音楽比較データアプリを公開する事ができたのでNoteでも紹介していきたいと思います。
ちなみに、前回開発途中にもNoteで紹介しましたが、あれからコード、ロジックやインターフェースもだいぶ変わりました。

これまでのSpotifyデータ分析やアプリ作成過程などをマガジンにして纏めてありますので気になる方はこちらもどうぞ。

🎆このアプリを作ろうと思ったきっかけ

Spotifyデータアプリを作成するきっかけとなったのは、日本をはじめとする非英語圏で活躍する才能あるミュージシャン達を発見したことでした。例えば、以前のNote記事でも触れたBe:FirstやXGなんかはとても印象的でハイクオリティな楽曲を生み出していますが、やはり米国を主流とした音楽チャートに登場するとなると容易ではないことは分かります。音楽マーケティング戦略の要素がかなり大きいにせよ、彼らの作品の性質が現在のグローバルトレンドとどれだけ一致しているのか興味を持ち、これらのアーティストのトラックと最新音楽チャートトップ５０との類似点などを分析し、それを可視化することにしました。

この分析は、Spotify２０２３年度のトップ楽曲と比較して類似点や相違点を可視化し、同様の資質を持つ楽曲が世界の音楽シーンに大きな影響を与える可能性があるかどうかについての洞察を提供する事を目的としています。

環境

Python言語
コードアシスタントAIはCodeWhisperとChatGPTを使用
ソフトウェアエンジニアがコントリビューターとして参加

🔰使い方

https://spotify-track.streamlit.app/

まずはURLにアクセスしてアプリケーションのメインページに行きます。

アーティスト名とトラック名の入力

このリリースバージョンには新しくサイドバー機能を加えました。ここにアーティスト名と曲名を入力してCompareをクリックすると右側にデータ分析結果とビジュアライゼーションが表示されるようになっています。

入力の際にはオートコンプリート機能も加えました。なので名前をタイプしている途中にドロップダウン内に探しているアーティスト名とトラック名が現れるようになっています。サイドバーのコードはこんな感じです。

# Sidebar section starts
with st.sidebar:
    st.title("Enter Your Track Info")
    #st.subheader("Select Artist")
    selected_artist = st_searchbox(label="Select Artist", key="artist_input", search_function=spotify_analyzer.artist_search_func)
    selected_track = st_searchbox(label="Select Track", key="track_input", search_function=lambda query: spotify_analyzer.artist_track_search_func(selected_artist, query))
    compare_button = st.sidebar.button("Compare")
    st.divider()
    st.subheader("About")
    st.write("🎶Explore the attributes of the top 50 most streamed songs of 2023 (Spotify Official Data) and compare them with your favorite song.")
    st.write("🧪This app is currently in the beta version and is actively under development.")

そしてサーチロジックもだいぶ改良しました。トラック名をサーチする際にはユーザーがすでに入力したアーティスト名をベースにサーチするようになったので探しているトラックが見つけやすくなりました。

###### Search Functions for Autocomplete Features ######
    def artist_search_func(self,query) -> List[str]:
        result = self.sp.search(q=query, type='artist', limit=5)
        artists = [artist['name'] for artist in result['artists']['items']]
        return artists
        
    def track_search_func(self,query) -> List[str]:
        result = self.sp.search(q=query, type='track', limit=10)
        tracks = [track['name'] for track in result['tracks']['items']]
        return tracks
    
    def artist_track_search_func(self, artist, query) -> List[str]:
        result = self.sp.search(q=f"artist:{artist} track:{query}", type='track', limit=10)
        tracks = [track['name'] for track in result['tracks']['items']]
        return tracks

📊分析＆ビジュアライゼーション結果

例えばアーティスト名にNumber_i、そしてトラック名にGOATを入力してCompareボタンをクリックします。すると右側のメーン画面にプレビュープレイヤーが表示され、その下に分析結果チャートが現れます。

２０２３年グローバルトップ５０

比較する元のデータはSpotify発表の２０２３年グローバルトップ５０トラックのプレイリストです。
このプレイリストの楽曲分析はこちらのNote記事でご覧ください。

属性比較レーダーチャート

紫色がグローバルトップ５０の属性平均値、
オレンジ色がGoatの属性値を比較したレーダーチャートです。
属性データについて詳しく説明してある過去のNote記事がありますので、こちらもどうぞ。
全体的に見てもエネルギッシュでポジティブな曲な事がこのレーダーから分かります。ダンスアビリティはグローバルトップ５０とほぼ同じ値です。アコースティックネスがほぼ０なのはダンス楽曲に良くある傾向です。スピーチネスが平均値よりも高いのが特徴的です。ラップが多く含まれる楽曲はスピーチネス値が高くなる傾向にあると言われているので、２０２３年度のグローバルトップ５０にはあまりラップを含む曲が含まれなかったと言えるのと、このターゲット曲にはラップパートが含まれている点がこの数値に現れていると解釈できそうです。

テンポ（BPM）ヒストグラムチャート

グローバルトップ５０のテンポデータのヒストグラムチャートをベースに、ターゲットトラック（Goat）のBPM値を示すオレンジ色の縦線を入れました。赤の点線はグローバルトップ５０の平均値です。ターゲットトラックは平均値よりもかなり早いテンポの曲な事がわかります。

キー（調）バーチャート

グローバルトップ５０の楽曲キーデータの棒グラフをベースに、ターゲットトラック（Goat）のキーをハイライトしました。

音楽の長さ（尺）ヒストグラムチャート

グローバルトップ５０のトラックの尺データのヒストグラムチャートをベースに、ターゲットトラック（Goat）の値を示すオレンジ色の縦線を入れました。赤の点線はグローバルトップ５０の平均値です。ターゲットトラックの尺は平均値よりも約４０秒も短い事がわかります。

音の大きさ（音量）ヒストグラムチャート

グローバルトップ５０の音量データのヒストグラムチャートをベースに、ターゲットトラック（Goat）の音量値を示すオレンジ色の縦線を入れました。赤の点線はグローバルトップ５０の平均値です。ターゲットトラックの音量は平均値よりも約３デシベル程音量が大きい事がわかります。

⚠️重要事項

このアプリはStreamlitというクラウドフレームワークからデプロイされていて、ソースコードはすべてGithubに格納しています。現時点ではソースコードは非公開設定としています。
今日紹介したバージョンはベータ版なので、まだまだ改善するべき箇所がたくさんあり実際に毎日少しずつ改良を加えていっています。バグなどが見つかった場合は下のコメント欄からお願いします。
こういう機能を付けて欲しい、などの要望もコメント欄からお願いします。

🚧コード修正・改善プラン

現バージョンではSpotify２０２３年度のトップ５０のデータを比較対象としていますが、次回アップデート版ではToday's Top Hitsという毎日アップデートされるチャートデータを自動的に取り込んで比較するシステムに変えていきます。そうすることで、常に最新のSpotifyトップチャートデータと比較できるようになります。

🖊️何か気づいたことやご意見などがあればコメント欄からお願いします。チャンネルフォローもよろしくお願いします。

🚀 疑問に思った事はデータ化して自分なりの答えを探していこうと思います。そしてその答えがどこかにいる誰かの為になる事を願っています。

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