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専門学校2年間のゲーム作品と振り返り

はじめまして。

現在ゲームプランナーを目指している、某4年制専門学校の学生です。

分析力を鍛えるために、今まで作ってきた(これから作っていく)作品の制作過程や反省点等をまとめてみようと思い、noteをはじめました。

まずは自己紹介記事として、これまでの2年間で制作した主なゲーム作品の概要と反省を順番に書き出してみようと思います。


作品


Mr.プロボラム

制作期間:
1年生の夏休み(約2ヶ月)


規模:
個人制作


使用ツール:
Unity
Edge(ドット絵制作ツール)
ChipTone(SE制作ツール)


実績:
学内2Dゲームコンテスト 独創力賞🏆


内容:
学校入って最初にunityで作ったパズルアクションゲーム。

プレイヤーは、操作ボタンに割り当てるアクションをカスタマイズしてステージに挑む。
試行錯誤して、そのステージのゴールまで辿り着ける正解のカスタマイズを見つけよう。

全3ステージ。


所感:
Unity自体が初めてだったので技術的な苦戦を強いられたが、ステージ数やギミックを削ってなんとか形にできた。

プレイヤーまわりのドットイラストに挑戦したのも良い経験となった。


反省点:
2ステージ目から、答えを見ないと誰もクリアできないような域に達していたことに先生からのアドバイスを聞くまで気づけなかった。

正解がただ一つのパズルではなく、プレイヤーの創意工夫次第でゴールまで辿り着ける構造にした方が面白いということに早めに気づいて方向転換するべきだった。

そもそも調整期間を全く考慮していないスケジュールを組んでいたのが原因の一つであり、調整期間込みで見積もることの重要性を痛感した。



かぶるな!配達トラブルバスターズ

アナログカードゲーム

制作期間:
1年生の夏休み前から秋にかけて(約4か月)


規模:
9人のチーム制作
自分はサブリーダー


使用ツール:
アナログゲームだったので、試遊するために紙やハサミを使ってカード制作をした。
コンテストに提出する際はしっかりデザインされたものを印刷して郵送した。


実績:
ゲームアイデアコンテスト2022 第3位🏆


内容:
プレイヤーはそれぞれ配達員となって、他の誰よりも早く配達を済ませることを目指す大喜利カードゲーム。

はじめに何かしらの配達トラブルが提示される。
その後ボードに提示された配達物の中から好きな2枚を選び、「2つの配達物を利用してトラブルを解決する方法」を自由に考える。こじつけでOK。

選んだ配達物を一斉に見せて、他の人と被らなかったら成功。
成功した配達員だけがその回のトラブルを乗り越え、配達完了のハンコをゲットできる。

この流れを繰り返して、ハンコを先に4つ集めた人の勝ち。

他の配達員と被らないためには、配達物を選ぶフェーズで誘導のためのプレゼンをする必要があり、ここに駆け引きがうまれる。


所感:
サブリーダーとして、各メンバーのやることリストを毎週告知したり議事録をまとめたりとバタバタ動いていた。

アナログゲームの制作だったが、もともと小さい頃はカタンやスコットランドヤードといったボードゲームでよく遊んでいたので、とても興味深かった。


反省点:
チーム全体としてのスケジュール管理が不十分だった。
スケジュール表はもっと先まで見据えて作成し、会議の日程や残りタスク含めメンバーに早い段階で共有するべきだった。

また、メンバーに指示を出すときに口頭やチャットで事細かく伝えるよりも、ネットの画像やパワポ等で図解した方が100倍正しく伝わることがわかった。
どんなに些細な指示でも、可能な限りのリファレンスを添える意識を常に持つべきだという教訓を得た。



Mascle Adventure

制作期間:
1年生の冬休み(約1ヶ月)


規模:
個人制作


使用ツール:
Unity


実績:
姉妹校合同3Dゲームコンテスト 銀賞🏆


内容:
どんなものでも軽々と持ち上げられる筋肉ムキ男を操作してステージのゴールを目指すアクションアドベンチャーゲーム。

ゴミ箱、ベンチ、電柱、家やマンションといった建造物でさえも持ち上げて運ぶことができる。
好きな場所で設置して足場にしたり、敵に向かって投げることで攻撃手段にすることができる。

チュートリアルステージ4つ、10分程度のメインステージ1つ。


所感:
前回は技術的に苦戦したこともあり、冬休み前にUnityの3Dゲーム制作についてかなり勉強した。
結果としていろんなことに挑戦できたのは本当に良かったし、作っていてとても楽しかった。


反省点:
見返してみると、アクションが全体的にモッサリしていていちいち面倒なところと、アクションの自由度が低めなところが特に気になった。

物の持ち上げと設置動作でいちいちしゃがまずに、片手でボトルを掴む要領で一瞬の動作にすれば不必要なストレスがなくなるだろう。
投げの動作に関しても、構えずに一瞬でぶん投げた方が視覚的にも面白いはずだ。

アクションの自由度に関しては、壁の上を一瞬だけ走れるようにして三角跳びを可能にしたり、片手ずつ物を扱えるようにしたり、投げる方向を長押ししながら指定できるようにすることでよりスピーディでテクニカルなプレイ体験にできるだろう。



WORLD4

制作期間:
1年生の冬休み明け(約1ヶ月半)


規模:
個人制作


使用ツール:
Visual Studioのコンソールアプリ(C言語のみ)


実績:
学内コンソールアプリゲームコンテスト プログラミング賞🏆


内容:
リアルタイムで影響を及ぼし合う4つのゲームを1つの画面でプレイする、マルチタスクアクションゲーム。

画面が境界線「+」で4つに区切られ、

  • シューティングゲームの世界

  • ラン&ジャンプゲームの世界

  • 直進パズルゲームの世界

  • コマンドRPG対戦ゲームの世界

と、それぞれ違った世界が展開される。

さらに、それら4つの世界は連結している。

実際のゲーム画面
  1. 左下のシューティング世界で弾を的に当てると、ラン&ジャンプ世界のキャラクターがジャンプする

  2. 右下のラン&ジャンプ世界で矢印の形をしたアイテムに触れると、直進パズル世界のキャラクターがその矢印の方向に直進する

  3. 左上の直進パズル世界でゴールマスに辿り着くと、そのゴールマスの種類に応じて、コマンドRPG対戦世界のコマンドカーソルが動く

  4. 右上のコマンドRPG対戦世界で"じゅもん" を使用すると、シューティングの世界でよいことが起こる

といった感じで、それぞれが別の世界に干渉することでゲームが進行するシステムとなっている。

コンテストのテーマが「+」だったのだが、最初に連想したのが数学のグラフの軸で、第1象限、第2象限…と考えているうちに、1画面の中に複数の異なる世界(ゲーム)を展開したら新しいのではないかと。


所感:
お察しの通り、初心者にとっては最初からキャパオーバーすぎるトンデモゲームが出来上がってしまった…

ただ、やりこんで仕組みを理解するとちゃんと面白いゲームにはなっていたみたいで、展示イベントでは何人かのファンを獲得できた。
イベント当日は盛り上げるために種目別のランキングボードを設置していたのだが、全種目で1位をとるまでずっと熱中してくれた人もいて、制作者として本当に嬉しかった。

他にも他学科の生徒に「1年生展示の中で一番面白い」と言ってくれた人がいて、そこから縦の繋がりができたりもした。
ちゃんと作りきって良かったと心から思った。


反省点:
そもそものゲーム性自体に問題があるとは思うが、コンセプトまでは変えずとも、リアルタイムにしなければ多少はマシになっていたかもしれない。
例えば、最初は左下の世界の時間だけが動いていて、操作して特定のフラグを回収するとその世界の時間は止まり、別の世界の時間が動き出す。この流れを繰り返して、4つの世界で力を合わせて大きな目標を達成するといったルールが考えられる。

また、早い段階で制作者以外の人にもテストプレイさせることがどれだけ重要かも思い知った。



トイレどうする家康

制作期間:
1年生の春休み~2年生の夏休み(約3ヶ月)


規模:
7人のチーム制作
自分はディレクター兼リードプログラマー


使用ツール:
Unity
Github Desktop
Adobe illustrator
AdobeXD(プリプロ制作)
GitMind(WBS樹形図制作用)


実績:
ゲームクリエイター甲子園 2023 総合大賞ノミネート🏆
ゲームクリエイター熱血道場 ゲスト審査員賞🏆
東京ゲームショウ2023 ゲームクリエイターズギルドブースにて出展🎮


内容:
10秒以内に徳川家康をトイレに導いておもらしを回避する、瞬間クリックアクションゲーム。

おもらしを回避することで家臣からの人望を高めて、天下統一を目指そう!

ペライチ企画書に関してはイラスト含めすべて自分が制作しました。


所感:
初のチームディレクターとして奮闘した。

BITSUMMIT GAME JAMという、ゲームジャムなのに制作期間が長い特殊なイベントに参加して制作した作品。

メンバーの関係で、自分はディレクターをやりながらメインプログラマーという形になり本当に大変な3ヶ月間だったが、その分技術力やコミュニケーション能力が磨かれ、最終的にはなんとか完成させることができたので良い思い出である。

このチーム制作で特に印象に残っているのは、企画書制作の段階で自分がプリプロを制作したこと。
早い段階でチーム内のゲームの方向性を正確に擦り合わせたいと思い、いろいろ調べた結果辿り着いたAdobeのXDというUXデザインツールを利用して制作し、会議で共有した。
そのおかげで、この時点でメンバー全員の向いている方角を正確に合わせることができた。
実際に制作をスタートしてからは意見交換がスムーズに進み、成果物の修正依頼をする回数も少なく済んだ。


また、このゲームを通して様々な展示イベントに参加する機会を得られ、とても貴重な経験を積むことができた。

TGS 2023にて出展!


反省点:
そもそものゲーム性の話になるが、クリックしたポイントに家康が動いて「自動でアクションを起こす」システムがよくなかったかもしれない。

どのアクションもクリックした場所やアイテムに応じた固有のものなので、クリックするとどうなるかが毎回予測しづらい。
そのせいで、失敗しても次はどうすればいいのか想像することができず、理不尽なゲームだという感想を抱いてしまう。
「物を持つ」とか「投げる」みたいに、家康ができるアクションを決めることが大事なのだろう。

ただし、それでも10秒という時間でできることは本当に限られてしまうので、今よりも1つ1つのステージスケールを大きくし、その分残り時間を若干伸ばせるアイテムなんかをあちこちに設置するのも有効かもしれない。



CODE:PAIN

制作期間:
2年生の夏休み中の3日間


規模:
5人のチーム制作
自分はリーダー


使用ツール:
Unity
Github Desktop


実績:
クラスメイトとの友情👬


内容:
最深部の小さい穴に入ることを目指す落下アクションゲーム。

穴は、プレイヤーキャラが一定の大きさ以下にならないと通れないため、あえて障害物に当てて小さくしながら落ちていく。
ただし小さくなりすぎると消滅してしまうので、回復アイテムも利用して大きさを調整しながら落ちる必要がある。

最深部に到達した時点で入れないと詰みとなってリトライ、入れたらステージクリア。

全3ステージ。


所感:
クラスメイトを誘って参加した3日間ゲームジャムで制作した。
テーマは「いためる」で、自分たちは「傷める」と解釈し、このゲームが誕生した。

人ってやろうと思えば3日でゲーム作れるんだと、普通に感動した。


反省点:
最深部の穴の大きさが実際にそこに到達するまでわからないせいで、事前説明がないと「障害物にできるだけ当たらないように落ちるゲーム」と勘違いさせてしまう(一応右上のUIでわかるようにはなっているのだが、直感的にそれだと理解できる見た目をしていない)。

また、試遊会で気づいたのは、試遊してくれた人は1回しかプレイしない(リトライしない)傾向にあったことだ。
恐らく1ステージ目からコースが長すぎて、一度失敗したら再挑戦する気が失せてしまうからだろう。

3日しかないとはいえ、むしろこういうときこそ早めに制作を切り上げ、チームでテストプレイの時間を設けることが肝心なのだろう。



How To Play?

制作期間:
2年生の夏休み(約2ヶ月)


規模:
個人制作


使用ツール:
任天堂連携Nintendo Switch開発機材
OpenGL
DirectX
Adobe photoshop
Adobe illustrator
GarageBand(BGM制作用)


実績:
姉妹校合同2Dゲームコンテスト 技術力賞🏆


内容:
各種ミニゲームのあそびかた(操作方法)を当てる手探りアクションゲーム。

switchの多彩なインタラクションを活かした、switchならではのゲーム。

プレイヤーは、選ばれたミニゲームを毎回変わるランダムな操作方法で挑む。

<ミニゲームは全4種>

  1. 全方位2Dシューティングゲーム

  2. 2Dスクロールアクションゲーム

  3. FPSゲーム

  4. 擬似3Dランゲーム

<ランダムに選ばれる操作一覧>

  • 各種ボタン

  • アナログスティック

  • 画面タッチ

  • 加速度X、Z

  • ジャイロYX軸

ミニゲームを合計3回失敗したらその時点で終了し、遊んだミニゲーム数のリザルトとランキングが表示される。

数をこなしていくと、だんだん操作項目数が増えていく。
自己ベスト(ランキング上位)に挑戦しよう。

Joyコンをおすそわけして2人で手分けして操作するのも面白かったりする。


所感:
自分としては今までの集大成という気概で制作し、ゲームデザイン・プログラム・グラフィック・サウンドのすべてに全力で挑むことをある種のテーマとした。

ゲームデザインに関しては、例えばタイトル画面を実質的なチュートリアルステージにして、メインのゲームシーンへと遷移する過程で自然とこのゲームの遊び方を理解できるように設計したり…

実際のタイトル画面
「あそびかた」には当たり判定があり、右の旗に触れるとゲームシーン(本番)が始まる


グラフィックとサウンドに関しては、すべてをフリー素材に依存するのではなくできるだけ自分で制作するよう心掛けた。

joyコンをイメージした自作キャラクターのスプライトシート
各種ブロックや移動床
同じ長さの複数の自作BGMの中から毎回ランダムに流すようにした


これに加えてゲーム自体を4つ作っていたのだから、今考えると2ヶ月間でこれを完成させたこと自体を誇りに思ってもいいのかもしれない。

バグやテクスチャ読み込みの重さもしっかり解消済みで、終始快適にプレイできる。

あれ、4つのゲーム?どこかで見たような…


反省点:
プレイヤーがチャレンジできるテクニック要素が存在しないせいで、いかにわかりやすい操作を引き当てるかの運ゲーになってしまっている。

また、1つ1つのミニゲームのステージ構成や敵の出現パターンのバリエーションが乏しく、歯応えがない。
これも家康のゲーム同様、残り時間を増やせるアイテムを散らばらせてステージスケールを大きくし、なおかつローグライクにするか仕掛けの数を増やして体験に変化を作る工夫が必要だろう。

さらに、ゲームが切り替わるタイミングで、今回のゲームの操作方法のネタバラシ(どの操作に割り当てられていたかを画面上に表示)をしないと、操作が解明できず失敗したときに「なぜ失敗したのかわからない」理不尽さを感じてしまうことに気がついた。



総括

反省点は多いですが、これまでの制作を通して、どんな状況でも責任感を持って一定の水準を満たすクオリティの作品を最後まで作り上げる根性は身についた実感があります。

また、魅力的で新しいゲーム体験を提案し続けようとする姿勢自体は自分の良い面だと認識しているので、これは今後も継続するつもりです。

本能に訴えかけるコンセプトと直感的な斬新さは、第一印象でインパクトを残します。
数多のゲームが溢れかえる中でまず興味を持ってもらうために、とても重要な要素だと考えています。これはどこの国でも通用するはずです。


ただその反面、実際に遊んだ感触が全体通してイマイチで、ニーズに応えるような面白さを体現できていないと感じました。

肝心のゲーム性の部分を十分に論理立てて作れていないことが原因です。
コンセプトの魅力を最大限に伝えるためにはどんなルール・手触り・テンポ感・演出が最適なのか…
具体的なデータをもとに突き詰める必要があると痛感しています。

この2年間は主にゲーム制作の基盤となる技術力を養ってきたので、この先はプランナーを目指す者として、マーケティングの視点から「面白さ」とは何かを、実際にゲームを販売すること等を通じてより深く研究していきます。


ここでは挙げなかった比較的小規模の作品や現在制作中の作品もあるので、それらも含めて今後も振り返りと反省をまとめていくつもりです。

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