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スウェーデン・ストックホルム旅行記

 こんにちは、旅行好き男、ことダルメシです。
今回は北欧はスウェーデン・ストックホルムの旅行記を書きます。
無論フィクションです。北欧旅行計画されてる方は是非ご参考まで。

 4月1日、スウェーデンには春が来ない。ストックホルムの空港に降り立った私はあまりの寒さに脱いでいた上着をまた羽織り、チャック(YKKAP)を一番上の首元まで上げた。吐く息が白い、ただ、空気が美しい。
 空港名はばたばたしていて見逃してしまったが、IKEAみたいな名前だった。空港内の机や椅子、トイレ・鏡など細部に至るまでIKEA製でちゃっかり値段まで張ってある。おそらくIKEAがスポンサーとしてこの空港を建てたのだろうか、非常に興味深いビジネスである。IKEA空港からタクシーで15分、私はIKEAに着いた。本場のIKEAを見てみたかったのである。中にはそれはもうおびただしい数の家具。世界にこんなに家があるかね、と思うくらいの家具。椅子。コップ。写真立て。写真立てそんな使わんのに買っちゃう。

 4月2日、その日はIKEAのベッドで一夜を過ごした。夜は暖房が切れる為、非常に寒かったがIKEA内の毛布や写真立てをうまくつかい寒さをしのいだ。お腹が減り食堂に行くとミートボールとザリガニがあったのでザリガニを捕食し流し込む。ぬらりと光る赤い甲羅はまるで心臓の様で、血の様で。

 4月3日、この日はIKEAで過ごす。朝食にザリガニを選択すると、ふとなぜ人間はザリガニになれず、ザリガニは人間になれなかったのかと思う。
ザリガニは大きなハサミで餌を取り、口元に持っていってちょぼちょぼ喰らう。そんな人間がいてもいいのではないだろうか。ザリガニ人間。

 4月10日、この一週間の記憶が無い。どうやらIKEAにいたことは確からしいが、具体的な行動が思い出せない。ただ、窓からみたストックホルムの朝焼けがどうも綺麗で、どうもむなしかった。窓を開けたら空気を感じる。そんな些細なことが愛しくて。自分が宇宙船に乗っている気分になる。そうしていつか、窓を開けたら息が出来なくて死ぬんだよと教わった気がして。IKEA空港からの出発間際、荷物検査の列に並んでいると一人の女性が駆け寄ってきた。話を聞けばIKEAのマネージャーとの事。
「絶対帰って戻ってきて。私と、そしてザリガニからのお願い。」
私は、「ざり。」と答えて歩みを進めた。振り返ったらもう、戻れない気がした。







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