Cocoo

Cocooばかり歌う私をあなたは好きだと言ったわ
それと同時にいつ君がその世界に吸い込まれてしまうか
心配だとも
愛してくれてありがとう
そう言い残して私は煙のように消える
床に小さな金属音をたてて
指輪が転がっている
そんな魔法みたいなお話あるわけないでしょう
だって君はCocooばかり歌うじゃないか
その歌声は自分でも気づかないくらい美しいんだよ
それを聴きつけた魔物がいつ君を攫ってしまうか
僕は気が気でないんだ
なんて悲しいロマンチストかしら
こっちへいらっしゃいよ
抱いてあげるから
私は確かにここにいると触って愛して確かめて
私は心を病んだりしない
なぜなら心はあなたにすらわからない場所に隠してあるから
宝箱は深海で眠りに就き
私が召されるときにだけその扉が開くようにできている
自分でも知っている
私が歌い始めると
ミラーボールさえその時を止め
空間は歪み始め見えない古城が構築される
そのお城のてっぺんで空に向かって叫んでいるのは
私であって私ではない
禁書の中だけで繰り広げられる
世にも不思議で甘い世界
あなたはそれが好きなのね
あなたはそれが怖いのね
嘘を吐いたわ
私にはあなたの元から音もなく消え去る未来が見えている
まるで魔法のように
でもその時までは歌い続けましょう
Cocooばかり歌いましょう
あなたをこれでもないくらい魅了した後
煙の向こうにゴトンと音を立てて
マイクがひとつ転がっている

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