時計の音が気になる

時計の音が気になる
睡眠薬を切らしてしまった夜
このまま朝を迎えるのか
悪いことばかりが頭をよぎる
一生病気のままなんじゃないか
もう治ることなんてないんじゃないか
生涯もがき苦しみ続けて
墓の下でようやく手にする安息なんて
絶対にいやだ
いやだいやだと呟きながら
毛布を頭までかぶる
せめて夢の中だけでも
普通の人になりたいな
笑ったり怒ったり泣いたりしながら
その全部が幸せに集約されている
そんな夢すら訪れてくれない
時計の音がうるさい
取り外して叩き割ってやりたい
できないのを知りながら
だって私は時間に負けてるのだから
毎日時計を見て
決められた時間に薬を飲まなければ
私は壊れてしまうのだから
いやもう壊れてるんだ
命を持っているというだけで
あとは全て破綻している
だから命を捨てたい
崩壊した器になど入れておきたくない
時計の音に怯えてる
それは肉体が滅んでゆく音
病んだ精神を腐りかけの体に詰め込んで
どこにも行けない
どこにも行けない
私はどこへ行けばいい
それでも代謝は栄養を運ぶ
これは一体なんなんだ
生ける死体だ

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