余命なんてしらねえよ

平気なのドライアイでも
涙もろいから
すぐ泣くから
何ならうつ病でいっつも泣いてるから
１００回は観てるお気に入りの曲のPVで
未だに泣く
だって感動は薄れることはないでしょう
毎日月を見上げてたって飽きることはないでしょう
昔から感受性の豊かな子ねと言われて育ってきた
そんな言葉で片付けられたくないんですけど
私の心は私だけのもの
誰にも評価なんてさせやしない
誇り高き泣き虫は
今日もええ曲やなあと涙してる
でも私が一番大っ嫌いなのは
泣かせようとして捏造された作品
余命がいくらだとか子どもが難病だとか
こっちだって死にかけのうつ病なんだようるせえな
自分の命を繋ぐのがやっとの人間に
他人の不幸を嘆いてる暇などない
お涙頂戴のエピソードには心底反吐が出る
もっと美しいもので涙したいのだ
少ない小遣いで買った一輪のバラを
大切に大切にしていても
いつかは枯れてしまう儚さ
今まで一緒に暮らしてくれてありがとうねと捨てる時
頬をつたうのは穢れなき聖水でしょう
お姉ちゃんとくそくだらないギャグ映画を観に行った時
隣のシアターで余命なんちゃらの花嫁をやってた
出口から出てくる人出てくる人みんな号泣してて
これはもはや宗教ではないかと恐ろしくなった
姉も泣かせる系のもんは大嫌いだから
二人で散々カスワードを交えながらこてんぱんに批判した
すっきりした後観たギャグ映画は最高で
今でも思い出すと笑えて来る
絶対こっちの映画のほうがいいよなあと
二人でカフェで煙草をふかしながら
またお涙の映画の悪口を言い合って笑い転げた
作り物と本物とを見分ける目を持ちなさい
偽物を掴まされて流す涙なんて工業廃水だ
真に美しいものにだけ涙していたい
そうやって体の中の水をきれいに浄化していけば
いつか重大な決断を迫られた時にも
迷うことはないと信じている