ダニエル・ムニエル

真面目な文を書きません! 気楽に書いていきます。 楽しんで貰えたらなって思います。

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最近の記事

【短編小説】ゆめうつつ

目が覚める。 朱色の砂漠が広がっている。 丘のように積み上がった砂は、途切れ途切れのストライプのような影を描いていた。 照りつける日光も相まって、目がくらむような光景である。 目が覚める。 紫や青が色鮮やかに映える湖が広がっている。 黄色やピンクの光を放つ虫が静かに飛んでいた。 向こうの陸が見えるほど、向こうの木から垂れ下がるツタが見えるほど小さな湖だ。 目が覚める。 見慣れた景色が広がっている。 駅の周りに集中してそびえ立つビル。 街を早歩きで進む人々が見える。

    • Too Happy To Live

      煌々と照らすお日様 汗ばむ陽気が 私に夏の訪れを知らせてくれる 崩れた天気 雨宿りの時間でさえ 私にとっては愛おしい 拝啓 お父さん、お母さん、 私が島を脱出してから2年経ちました。 お元気ですか。 私は様々な地を旅しています。 そして先日牡蠣に当たりました。 牡蠣というのは、エリプスシェラドルントぽい形で、味はペール貝に近い貝類です。 そして結構な確率で腹を下します。 腹を下すというのは、お腹が痛くなることです。 その結構な確率を引くことを「当たる」と表現するようです。

      • ハッピーエンドに憧れて

        オレンジ色に染まった教室で、私=陽向は外の景色を眺めていた。本当は、陽向が座っている席から正面を見ても客席しかない。 でも陽向の目には、暮れゆく空が見えている。 そして陽向の隣には、女子=愛菜が座っていた。 パッチリとした大きな目がチャーミング。 それでいて目元のホクロ、銀縁のメガネが大人びた雰囲気を醸し出している。 まったく…いい女だぜ。 愛菜は陽向の幼なじみである。 劇を通して、陽向が愛菜に気があることは明確に描写されているものの、愛菜が陽向を好きかどうかは直接描写さ

        • 本当にあった怖い話

          いやぁ…恐ろしい話でしたねぇ。Sさんはあの後どうなったんでしょうかねぇ。 …あ、僕の番ですか。そうですか。 そうですねぇ、この話は、怖い話をして!って言われた時に必ずする話でしてね。霊感のない私にとって、唯一の持ちネタなんですよ。 …となると、この4人でどうやって あと98個の話をするのかってことになるんですが…。 あっ!私、いざとなったらカラオケみたいに タンバリン役に徹しますよ! …えー、冗談はさておき。 これは私が高校2年生だった時の話です。 夜の7時に部活動を終え

        【短編小説】ゆめうつつ

          ミッドナイト・マイウェイ

          誰もいなくなった夜の街で、1人の少年が自転車に乗っていた。彼は青年にも見え、中年にも見える。要は老け顔ってことだ。  親戚の集まりで7歳離れてる兄の、兄になったことがある。まったくもって酷い話だ。 そんな彼でも夜の街に風情を感じるほどには情操教育がなされている。 普段は肩身の狭い路側帯も、今なら伸び伸びと走ることが出来る。 自然と速度が上がる。 夜風が頬を撫でる。 夜風が前髪をひっぱたいて、後退し始めた生え際前線があらわになる。   醜態を晒しながら彼がふと呟いた。 「そ

          ミッドナイト・マイウェイ

          幸せとは

          「Hey 尻!どうしたら幸せになれるの?」 「少年…また陰鬱なYouTubeチャンネルに影響されたのか?」 1部の選ばれしスマホ機種に内蔵された最新型AI『尻』が軽口を叩く。 「そんなことないよ!僕は猫の動画か暴露系YouTuberのチャンネルしか登録してないよ。」 すかさず反論する少年だが、怪しいラインナップである。 「いいかい少年。今の世の中で幸せになるにはバカになるしかないのさ。」 「バカになる?高橋くんみたいに?」 「高橋くんみたいな感じじゃない。人間は より良い生活