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本当にあった怖い話

いやぁ…恐ろしい話でしたねぇ。Sさんはあの後どうなったんでしょうかねぇ。
…あ、僕の番ですか。そうですか。
そうですねぇ、この話は、怖い話をして!って言われた時に必ずする話でしてね。霊感のない私にとって、唯一の持ちネタなんですよ。
…となると、この4人でどうやって
あと98個の話をするのかってことになるんですが…。
あっ!私、いざとなったらカラオケみたいに
タンバリン役に徹しますよ!

…えー、冗談はさておき。

これは私が高校2年生だった時の話です。
夜の7時に部活動を終えて、くたびれながらの帰り道でした。
ようやく春になったかな?って時期だったもんで、夜風の涼しさを感じながら自転車をこぎ進めていたんです。
霊感がないと言いましたが、夜道は怖いもんでね。すこしキョロキョロしながら
運転してしていました。

そしたら遠くでピッチピチのねーちゃんが自転車に乗っているではありませんか!
しかも露出度高め!
私を支配するリビドーが、自転車のギアを最大まで引きあげます!
さっきまでの疲労感が嘘のように消え、
ピッチピチねーちゃんとの距離はぐんぐん縮まっていきます。
そしたら、見える見えるよく見える!
ハーフパンツで際立つ生足が、夜の外灯に照らされて芸術的美しさを放っていました。
筆舌に尽くし難い妖艶さと可憐さが
私を使命感にかりたたせました。
「彼女を正面から捉え目に焼きつけるのだ」

そうと決まれば止まらねぇ!
部活動により鍛え上げられた脚力が
己の欲望を満たすために使われる。
これを青春と言わずしてなんというか!!
私はさらにスピードをあげ、乗用車に引けを取らない速度で彼女に近づきます。

寸前で速度を落とします。
目に焼きつけるのが目的です。
忘れちゃァいけねぇ。

いよいよ追い抜く刹那の時。
首を90度左に傾け、目をこらす。
彼女の顔がよく見えます。


40、50代のおばさんと目が合います。
40、50代のおばさんが挨拶をしてきます。
40、50代のおばさんが僕をおいて走ります。


…は?


…これが、この物語の顛末でございます。
怖いですよねぇ。

まさかあんな歳であんな服装とは…
当時高校生だった私は、あまりのショックにチャリのハンドルを震わせながら
頭がパンクしておりました。

…自転車だけに。

……………………………………えへへ。


乾いた風が吹き、彼の蝋燭の火を消した。


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