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日本の教育を変える?

     令和2年5月21日に参議院で開会された文教科学委員会の審議中継をインターネットで視聴しました。質疑応答から、気になった2点をピックアップし、最後に私の所見を述べたいと思います。

     第1に、9月入学に関する質疑が行われました。「9月入学の議論が政府および各党で行われている。私たちも9月入学を含めた『学びの確保支援検討プロジェクトチーム』を立ち上げて、精力的に議論をしている。9月入学についてはその影響は教育界だけに留まらず、社会全体に大きな影響があるために、さまざまな意見がある。しかし、今は臨時休校で学校に通えない生徒が多く、一番大事なのは学びの確保と保証だと思う。9月入学のほうが大きく注目されているが、”学びの保証の取り組みは止めてはいけない”というメッセージを通知だけではなく、政策という形で明確に打ち出すべきだと考える。大臣の見解を伺いたい」との質問がありました。
   これに対して萩生田文部科学大臣の返答は次の通りです。「秋期入学新学期制については、学校の臨時休校がさらに長期化した際の対応の選択肢の一つとして、声が上がっていると承知してる。文部科学省としては、まずは早期の感染収束に向けて拡大防止の取り組みを徹底するのが優先である。これまでも行ってきた子どもの学習の保証の取り組みをしっかりと進めていくことが重要と考えている」と答えました。

    第2に、オンライン教育について質疑が行われました。「厚生労働省がオンラインの学びの設備を整えるのは難しいと認識している。まだまだ、放課後児童クラブ(学童保育)などの通信環境がどの程度整備されているかすら把握されていない状況である。実際に今回の休校中にWi-Fi環境がなくて、オンラインの学びができないといった保護者からの声も聞いている。こうした学童を利用する生徒たちが宿題をしたくてもネット環境がないためにできない、ということも今後考えられる。一日も早くこの状況を変えていきたい」との発言がありました。
    これに対して萩生田文部科学大臣の返答は次の通りです。「今回の新型コロナウイルスを経験して日本のいろいろな弱点が見えてきた。自らを先進国だと思っていたのに、ユネスコ(UNESCO)の大臣会合で11カ国の中でオンライン授業ができていない国は日本だけだった。 残りの10カ国はすべて家庭と学校がオンラインで繋がっていると知って、ショックを受けた。世界から大きく遅れている。したがって今は文部科学省としては“ギガスクール構想”で一人1台端末のゴールに向け、頑張っている。これも当初の想定と違って、持ち帰りもできるようにしたいし、家庭でWi-Fi環境がない場合はルータの貸し出しもしようと考えている」といった説明でした。

  以上の点について私の意見を述べたいと思います。

日本がオンライン教育を早急に進めるのは重要でしょう。ユネスコによると、4月14日現在では世界中の188カ国が学校を閉鎖しており、15億人以上の生徒たちが影響を受けています。さらに、世界銀行(World Bank)のデータによると、サハラ以南のアフリカを除く、世界の全ての地域で70%以上の国がコロナウイルス感染拡大の対応策として、リモート教育を生徒たちのために実施してる。(https://www.brookings.edu/research/school-closures-government-responses-and-learning-inequality-around-the-world-during-covid-19/)。しかしながら、日本で閉鎖された公立学校でオンラインクラスを開始してるのは、わずか5%だけです (https://asia.nikkei.com/Business/Education/Japan-s-students-left-behind-as-world-embraces-online-classes)。将来の危機事態に備えるため、オンライン教育制度を進め、タブレットやWi-Fi環境をできる限り早期に整えるべきです。

また9月入学に関しては、必要な改革だと思います。確かに「学びの保証の取り組みは止めてはいけない」という声明に同意しますが、長期的に日本の生徒が世界で競争力を増すためには、9月入学がいろいろと恩恵を与えてくれるかもしれません。世界で最も大きな経済圏は順に、米国、中国、欧州連合で、今後、日本はこれらの国々と競争を続けることになります。そして、そのほとんどが9月入学の教育制度を採用しています(https://en.wikipedia.org/wiki/ First_day_of_school)。その上、2019年に100カ国の230万人が が参加したオンラインテストによると、日本人の英語力は世界でたったの53位です(https://www.nippon.com/en/japan-data/h00594/japan%E2%80%99s-english-proficiency-drops-among-non-english-speaking-countries.html)。驚くことに、日本はベトナム、インド、セルビア、ルーマニア、ケニア、マレーシアほか、多くの途上国よりランクが下なのです! 英語は世界で最も一般的に話されている言語で、日本人の英語力を上げるのはとても重要だと思います。日本は天然資源が少ないため、海外と貿易の継続が不可欠で、そのために英語力は必要なスキルセットです。日本も9月入学を行えば、日本の生徒が海外に留学しやすくなり、海外からも日本に留学しやすくなり、さらに海外の先生も日本で教えやすい環境になることも考えられます。時間はかかるかもしれませんが、日本と各国との間で生徒と先生のモビリティ(人の動き)が高まれば、日本人の英語力も長期的には上がると信じています。

Dan Takahashi 高橋ダン 

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