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複雑な社会の縮図を描いた「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

昔から海外に関して疎かった。幼稚園の頃、英語を習っていた友達から「apple」って何か知っている?と聞かれて答えられなかったのが悔しくて、両親にわたしも英語を習いたいと言った。しかし、昔ながらの伝統を重んじて、外国は怖いものだと保守的だった両親はそうさせてくれなかった。その頃からずっと英語や海外に対して苦手意識がある。

一方で、なぜか仲良くなる友人や、好きになる人、妹までも英語が好きで、周りに留学をしている人が多かった。

主人もまさにそうで、付き合うようになった後で、バックパッカーをしていたことや、難民支援に興味があることを知った。

そうして、いまだに苦手意識を持ちながらも、身近な人の興味を通して、わたしは世界に触れている。

今回読んだ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」に触れたのも主人が聞いていたげんちゃん(高橋源一郎)のラジオで紹介されていたことがきっかけだった。

文章は、とても読みやすくて2日で一気に読み終わったのだけれど、内容は結構重くて、国際問題に詳しくないわたしにとっては初めて聞くことやピンとこない内容もあった。

ただ、貧困問題や里親の話しはヒシヒシと感じる所があった。

わたしは病気をして働けないあいだ長く節制生活をしてきた。周りの人と接すると自分の貧しさをつらく思うことがあった。この本を読むともっと大変な生活をしている人が、日本より先進的だと思っていたイギリスでも顕著に見られることに驚いた。

また、筆者の周りではたびたび子どもが実の母親の元を離れて里親に出されていて、それを思うとやりきれない気持ちになった。

お金がなかったり、暴力を受けたり、ネグレクトだったりして親元を離れて、幸せな人生を歩む子どもがいることも理解できるけれど、子どもを持つ親として、自分が不甲斐ないために子どもと引き裂かれてしまうのは本当に辛いだろうなと思った。

最近「ブリティッシュ・ベイクオフ」という番組にハマっているが、その中で日本人とイギリス人の雰囲気の違いを感じることがある。(佇まいだったり、コメントの仕方が日本人より前向きで、自信があり堂々としている)

わたしなんかは本当に浅い知識しかなくて、英国=かっこいいとか、おしゃれとかそんな印象でしかなかったけれど、この本を読んで、イギリスを内側から見ることができたように思う。その中には、より自分に近い部分と、理解できない部分とがあった。

中学生の息子と母親のやり取りの中に、社会のヘビーな問題がたくさん詰まった社会科のような本だった。

ライトなようで沢山の情報が詰め込まれた専門書のようでもあった。


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