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【イベントレポート前編】『蝉川夏哉さんに聞く「小説のキホン」』に参加しました

5月7日に開催された創作大賞イベント『蝉川夏哉さんに聞く「小説のキホン」』に会場参加しました。

▼【アーカイブあり】イベント詳細はコチラ

GW直後の平日夜とあり、若干げんなりしながら参加。疲れが溜まっていましたが、参加したらめっちゃ面白い! 学びが多くて、眠気なんか吹き飛んでしまいました。

本記事では、私が特に勉強になったことを抜粋しています。


0.はじめに

本題に入る前の雑談で、蝉川さんがこんなことを話しました。

日本語が書けるのだから、書こうと思えば誰でも小説は書ける。それなのに、なぜ書けないのか?

まず小説とは、読まれて初めて作品として立ち上がるものだ。しかし発信しやすくなったために書き手が増えた一方で、少子化などで読み手は減っている。

読まれるのが難しい中、「どうしたら読まれるか」を考えた時に内容を見直したくなるが、そうじゃない。

「書いて半分、届けて半分」とあるが、届けることを考えると、書くのが妨げられる。だから最初は書きたいことを書いて、それから読まれる方法を考えた方がいい。

この話で、私はグッと心を掴まれました。

個人的には「読まれてナンボ」は身に染みて感じています。だから読まれないのは「面白くないから」だと思い、つい「流行に寄せよう……でも書きたいものが書けない」と何度も悩んでいました。でもその打算が間違っていると思い知ったのです。

「まずは書きたいことを書く」今回のイベントで、蝉川さんが徹底して伝えていたテーマでもあります。

1.アイデアについて

◆書きたいものの見つけ方

「書きたいものをどう見つけるか」との問いに、蝉川さんは欧陽脩の三上(馬上、枕上、厠上)の話をしました。

つまり書きたいものは生活の中に転がっているということです。ただ日々思ったことを覚えて、記録していくことができるかが鍵だといいます。

蝉川さんのオススメは、アウトラインプロセッサーを使うこと。階層にして情報を保管でき、後で見返す時に検索できて便利なのだとか。スマホとPCを連動させれば「外でメモして、家で整理」といった使い方が出来て便利です。

ここまでなら聞いたことがある人も多いかと思います。私が感動したのは「それを使って何をするか?」の話です。

目的として「現実を見る解像度を上げてほしい」とのこと。書いているうちに細かい粒子が集まり、それらを繋げることでアイデアを整理できます。

その具体例として、以下の使い方を提示してくれました。

(1)日頃の「なぜ」を記録する
例えば「なぜ信号の色は、あの並び順なのか」と思ったら調べる。そこで得た学びを、別の所で活かせる。

(2)「もしこれが別の所にあったら」を考える
例えば、会場には大型ディスプレイがあ。「もしこれが中世にあったら?」「当時これがあったら、何が起こるだろう?」などと、色んな形で考えていく。

アウトラインプロセッサーによっては、画像やサイトを保管できます。また出典をメモしておくことで、次に調べる時のキーワードを見つけられたりと、作業が捗ります。

私も早速アウトラインプロセッサーを活用しようと思います!

◆自分の強みを見つけよう

日々の記録の他に、自分が好きな作品についてメモすることも大事だと学びました。

「なぜこの作品を好ましいと思ったのか」「このシーンに惹かれる理由は?」「このキャラが好きな理由は?」など、好きに対する「なぜ」を掘り下げます。

そうすることで、自分の好きなものが見つかります。すると何が自分向きじゃないかわかり、自分が書きたいものが漠然と見えてきます。

ここで大事なのが、wantとcanです。

want:自分が書きたいもの
can:自分が書けるもの
needs(またはmust):流行、自分の成長のために書くもの

・大抵はwantとcanの間にある部分を書きます。
・canとneedsの間にある部分でヒットすると悲惨です。
・needsは自分で考えるのではなく、編集者に委ねる(提示してもらう)こともできます。

大事なのは「canを広げていくこと」。書いたことがないものを書いたり、求められるものを活かしていく姿勢が重要です。

◆作家としての強みが見つかる

萩原さん曰く「want(書きたいもの)は、細かくていい」とのこと。

「こんな会話を入れたい」とか「こんなキャラを出したい」とか、マニアックな小ネタでOK。細かい方が色んなところでネタを使いやすい。また、大きいネタなら1つしか使えなくても、小ネタなら複数使うこともできます

だから細かい粒子をたくさん持っておくことが大事とのことです。

本当に些細だけど「○○ができる」という強くて細かいものがあれば、作家としての強みになります。

「2000人ファンがいて、その人たちが買ってくれれば作家として成り立つ」といいますが、ではそのファンが何を求めているのか。「○○を読みたくて買っている」と、その作家に期待しているものがあるはずです。そんな○○を意図的に出せると強いと学びました。

2.キャラ

昨今はキャラに対する比重が高くなっているとのこと。

「展開が面白くなくても、キャラが面白いとヒット可能。しかし展開が面白くても、キャラがイマイチだと売れにくい」そうです。

私が最も驚いたのが、純文学でもキャラが重視されていること。「いかに当事者性が強いか」が問われるそうです。

キャラ作りで「ためになった!」と思う内容は、以下の2つです。

◆複数人で考える

キャラを作る時は単体ではなく、ペアで考えるとよいそうです。複数人で考えることで、見え方が変わるのだとか。

面白いと思ったのが「未登場キャラを想像させる」という発想。「四天王の1人が出てきたら、あと3人いるな」って思いますよね。

読者は存在していないものを感じる時、創造性が最も発揮されるそうです。

身にしみて理解したのが、以下の例。
「三匹の豚が脱走した。三匹捕まえたが、豚の捜索をやめなかった。なぜなら見つかった豚の背に1、2、4と書かれていたから」

確かに、3の存在感が強烈に立ち上りますよね。未登場の強キャラ、私の作品にも出したいものです。

◆特徴をシャッフルする

アイデアの整理として、蝉川さんがこんな方法を教えてくれました。

情報カードを用意して、1枚に1つのアイデアを書きます。それをシャッフルし、ランダムに複数枚引きます。

直線的だった思考の視点が変わり「こんなことを考えていたんだな」と自分の考えを掘り下げることができます。

上記はアイデア整理ですが、同じ手法がキャラクター作りにも活かせます。

まずは占いの本を用意します。

星占いって、それぞれ人の特徴が書いてますよね。それらを情報カードに1つずつ書き、シャッフル。

複数枚引くことで、思いもしないキャラが出てきます。

「これはどんなキャラだろう?」と考え、顔を付けてあげると、思いがけずキャラが動くことがあります。

人物の特徴カードを作るのは面倒ですが、一度作れば繰り返し使えます。私も早速作ってみようと思います。


★参考★

去年の創作ブートキャンプで、キャラクター作りについて学びました。今回のイベント中にその話が出たので、当時のイベントレポートを掲載します。「あれって何のことだったの?」と思った方は、ぜひお読みください。

▼2023年のキャラクター作りワークショップのイベントレポートはこちら


続きは後編へ…

ごめんなさい! 執筆中に腱鞘炎が悪化したので、前後編に分けます。

個人的には後編の方が「なるほど!」となる学び多かったので、ぜひ続けてお読みいただけると嬉しいです。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます! いただいたサポートは腱鞘炎の治療費に使わせていただきます!