見出し画像

【イベントレポート後編】『蝉川夏哉さんに聞く「小説のキホン」』に参加しました

前編に引き続き、5月7日に開催された創作大賞イベント『蝉川夏哉さんに聞く「小説のキホン」』の感想(プロット編以降)をお届けします。

▼本記事の前編はコチラ

▼【アーカイブあり】イベント詳細はコチラ


3.プロット

「プロットを書くか」の是非は、物書きの間では頻出する問題です。

意外にも、蝉川さんは当初「プロット書かない派」だったそうな。しかし編集者やイラストレーターと打ち合わせしやすいので、現在はプロットを書いているとのことです。

◆プロットの書き方を学ぶには?

具体的な書き方は「フィルムアート社の本を読もう」で終了。

同社の本はシナリオ技法であり、小説とは微妙に異なります。しかし様々なやり方を提示してくれるので、自分に合った手法に出会うことができるでしょう。それがいつか自分の武器になるとのこと。

ただし、ただ本を読んでも意味がない。小説を書いて、読んで、また書いて、「あの本のことってコレのことか?」などと思い返しながら、反芻することによって本の内容を理解していくのが重要となります。

ちなみに、私もフィルムアート社の本にお世話になったものです。まさしく同じことをしていたので、何度も膝を打ってしまいました。

◆アタマとラストを決めよう

キャラ中心でプロットを作るなら、そのキャラの最初と最後を考えると良いそうです。1巻の間にキャラがどうなったか、変化を考えると書きやすくなるとのこと。

プロット全体を考える時も、最初と最後を考えます。中身は「今思いついたこと」を優先させてOK。

私もよくあるのですが「実際書いたら、プロットを変えたくなった」っていう時がありますよね。そういう時、蝉川さんは思い切って変えちゃうそうです。

プロットを作った時よりも、今(執筆時点)の自分の方が成長している。自分を信じてプロットを破壊していこう! もし書いていて筆が止まるなら、プロットを疑え!

こんな気持ちで書いているそうです。なんだか痺れちゃいました!

◆パッケージから考える

アタマとラストに関連して、とてもためになったお話を1つ。

本は映画と同じパッケージで、明確に終わりがあるクローズドな作品だ。
(一方、ネット小説は長く連載するため、明確な終わりを意識しにくい。話がずっと続くオープンな作品である)

クローズドな作品は、「どんな始まりか」と「どんないい終わりがあるか」が上手く繋がると、中間はどうとでもなる。

パッケージによって適切なものは違うから、自分がクローズドかオープンか、どっちの作品をやるのか見極めよう。

ちなみに、note創作大賞はクローズドな作品として考えるのが良さそうです。解説は「4.執筆」以降の記事を参照してください。

※話が飛ぶので、再度プロットの話に戻ります。

◆死によって、生き様が見えてくる

作家の中には「そのキャラがどう死んでいくか知りたい」ということで、年表を作る方がいるそうです。

「なんでそんなことするの?」と思ったら、「死から逆算することで、そのキャラの20代や生前の姿が見えてくる」のだとか。

歴史小説好きならわかるらしいのですが、私は初耳で、かつピンと来ませんでした。しかし蝉川さんが解説してくれて、目から鱗が落ちました!

時間は一定方向に流れているように見えるが、そうじゃない。歴史上の人物を見ていると、死んだことが跳ね返って生きているようなことがある。まるで伏線のような出来事が、人生の輝かしい時点で起きていることもある。

年表を書くことで「こう死ぬことで完結」という流れを把握できます。一味違ったプロット作りができそうなので、私もやってみようと思いました。

4.執筆

執筆で一番重要なのが「文字を書き惜しみせず全部書く!」ことです。
ここで登場して以来、この言葉はイベント内で頻出しました。それほどに重要なキーワードです。

◆文字を書き惜しみせず全部書く!

どういうことかと言うと、プロになると「稼げない文章は書きたくない」とか「続編に使おう」としてネタを出し惜しみするとか、そういった現象が起きるそうです。

しかし、それはよくない。応募時の文字数が2万字なら、2万字に書きたいものすべてを詰め込んでほしいとのこと。情熱をぶつけてほしいとのことです。

話が前後しますが、質問コーナーの回答も含めて理由等を記載します。

◆どんな作品を求めているか

2日間の創作大賞イベントに参加して、いずれも「これは面白い!と予感させてくれる作品を求めているな」と私は感じました。だから長さやスキルよりも、情熱や面白さが重視されます。

書きたいものを出し惜しみせずに書くとは、まさに情熱を優先させること。審査員に作品の魅力を強くアピールできます。

また、審査にも携わる萩原さんがこうも仰ってました。

質問で「どの作品を受賞させるか迷った時、最後の決め手になるのは?」というものが届きました。それに対し、以下のように回答しています。

明らかに差があれば、迷わない。迷うのは、同レベルの作品が揃った時だ。

そんな時は「この作品、もう来年は来ないな」と思うものを受賞させている。

読んでいると「こういう作品は毎年あるよね」という傾向があるが、それに当てはまらない作品は一期一会。「今年を逃したら、もう二度と出会えないぞ」「ここで受賞させないと消える」という切迫したものは、絶対に掴む。

それほどの強い魅力を作品に持たせるためにも、書きたいものを全力でぶつけたものが望ましいと思いました。

◆受賞後にいくらでも改稿できる

そもそも受賞作がそのまま出版されることは稀です。ほぼ必ず改稿します。その時にいくらでも直せるので、短くても「自分が本当に書きたい」と思うものを書くのがよいそうです。

昨日の秋谷りんこさんに引き続き、蝉川さんの『異世界居酒屋のぶ』も3万字程度で受賞したのだとか! 二日連続で短編で受賞したケースに出会えて驚きです。

『のぶ』執筆時の蝉川さんは、とにかく楽しんで書いたのだとか。当時プロットは作っておらず、書きたいものを優先させて受賞に至ったそうです。

◆物語をしっかり終わらせよう!

ここで気になるのがnote創作大賞では、どんな感じで作品を〆ればいいのか。100%出し切るのか、次があるように匂わせるのがいいのか、はたまた連載の第一章分とか?

質問したら、以下の答えが返ってきました。

書き惜しみせず、しっかり話を終わらせよう。続編なども考えなくてOK。改稿でいくらでも文字数を増やせる。

よく「ネタは1度使ったら終わり」と思っている人がいるが、同じネタを何回も使ってOK。人気漫画家の短編集を見ていると、「これ○○じゃん!」と人気作と同じネタがたくさん出てくる。

だから気にしなくてよい。どんどん短編を書いて、同じネタを長編に持ってこよう!

そうはいっても、続編を作りにくいケースもあるようで。その回答にまた笑っちゃいました。

よく「登場人物が全員死んで終わり」という作品があるが、「過去編」として続編を書けばいい。「世界が滅亡して終わり」という場合は、「世界二周目」が始まることがある。だからどんどん世界を終わらせよう!

5.質問コーナー

前出した内容もあるので、ここまで記載がなかった2点をお伝えします。

◆筆が止まった時はどうする?

前日のイベントに引き続き、出た質問です。みんな悩んでいるんですね。

「包丁を研ぐ作品」を見つけよう。
これは「自分に取り込みたい作品」のことで、音便リズムを取り入れるなど、読むことで執筆に向き合わせてくれる。
そんな作品を一冊手元に置くとよい。

◆キャラの書き分けや設定管理はどうしているか?

蝉川さんの作品には群像劇が多く、たくさんの魅力的なキャラが登場します。設定がこんがらがらないか、どう管理しているかとの質問です。

蝉川さんはGoogleスプレッドシートでキャラの設定を管理しているのだとか。またプロットを組んでいる時に、どんな状態になるかメモを残しているそうです。

ただお話を聞いていて、蝉川さんが群像劇が好きだからできている部分も大きいと思います。「ノウハウを知ってるから自分にもできる!」ではなく、自分が本当に書きたいのかを見極めるのが良さそうです。

今回の学びを受けて

蝉川さんと萩原さんのトークが軽妙で、聞いていて飽きません。そんな中、時折キラリと「めっちゃすげぇ!」と思う情報が紛れているので、今回こんなに長いイベントレポートになってしまいました。これでも大分聞き流したり削ったんですけどね。長々とお読みくださり、本当にありがとうございます。

さて、受講から数日経ったのですが、私はこんなことをしています。

1.アウトラインプロセッサー探し

存在は知っていましたが、どれを使えばいいかわかりません。蝉川さんが「OneNoteやScrivener(スクリブナー)とか~」と言ってたので、それらを重点的に調べています。

Windowsパソコンとandroidスマホ、iPadの3デバイスに対応しているものがあればいいのですが……根気強く探します。

2.メモ帳を持ち歩く

アウトラインプロセッサー探しはしばらく続きそうなので、ひとまず小さなノートを持ち歩くことにしました。

通勤時間に思いつくことが多く、疑問点をさっとメモ。昼休みに簡単に調べて、回答ページに調べた概要を簡単にメモします。

後から振り返りづらいですが、知りたいことを知るという点では爆速です。これは続けていこうと思います。

3.ネタは短編に仕上げる

私は閃きやすいのですが、使えるネタに昇華させるのに時間がかかるタイプです。だから閃いてから執筆に3年かかるのが常だったりします。

思えば、これは長編用の構成を考えるのに時間がかかっているのかなと。アタマとラストは割とすぐ浮かぶんですけどね。

だからかつて月刊漫画雑誌で読んだ「読み切り」をイメージして、今あるネタを短編小説に仕上げようと思いました。

今回の学びで「ストーリーよりキャラ!」と学んだので、ざっくりとプロットを考えたら、キャラと調査に時間をかけようと思います。一作でも多く世に出して、世の反応が見たいところです。

最後に相談

5/6と5/7、両方の創作大賞イベントに参加しました。どちらも学びが多く、とても有益な時間でした。

実は両イベントに参加して「この学び、重複してるな」と思う点がありました。

記事にしようと思うのですが、腱鞘炎が怖いし、自分の作品も作りたい。もし「両イベントに参加した感想」の記事が読みたいと思ったら、ぜひコメントやスキをいただければと思います。時期未定ですが、コツコツ書きたいと思います。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます! いただいたサポートは腱鞘炎の治療費に使わせていただきます!