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からだ

生きているうちは
からだ があるから
その人の大切な
あい が
からだ に閉じ込められていて
こころ に歩み寄らなければ
見えなかったりする
死んだら
その あい は
解き放たれて
いちばんたいせつな人に
かならず届く
いちばんたいせつな 想い は
どんなに遠くにいる人にでも
場所を越えて
時を超えて
かならず届く

ここに からだ があって
想い を閉じ込めているわたしがあって
なんて不便な からだ
場所も時間も越えられなくて
ここで閉じ込められているわたしだけがあって
けれどあなたに会えない寂しさで
あなたに伝わらないもどかしさで
あなたにぶつかっていく 想い がある
そうやってわたしたちは
生きているうちに
閉じ込められた からだ で
さすり合うように
喋ったり
笑ったり
喧嘩したり
一緒に並んで
歩いていく
そうしていると
いつのまにか
それぞれに閉じ込めていた 想い が溶けて
からだ という境界が溶けて
いっしゅん
自由になった気がする
そうして続いていく道のりは
どこに繋がるのかわからないけれど
わたしたち
生きているうちは
歩くことができる
一緒に歩くひとを
愛する ことができる

2022.12.21

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