なにものでもない

なにものでもないわたしが
すきだ
仕事をささやかなよろこびとして
だれのためでもない労働
きっとだれかのために
だれもしらない
けれどわたしはしっている
このよろこびを
わたしだけの
そう
あなたにはあなたの
よろこびがあるように
なにものでもないあなたが
すきだ
それはとくべつな呼び名
なにものかであることは
きゅうくつな靴のように
なにものでもない
ちいさなちいさな視点が
草のかげから
空をみるように
ちいさな瞳から
世界を
のぞきみている
わたしだけの
あなたにはあなだけの
かくれがのような
わたげのような
生、それだけ

2023.11.04

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