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[古団地リノベ#04] 建築家に依頼しても理想の家は建たない!

築60年超の団地の一室のスケルトンリフォーム記録です。現在50平米の古団地の一室に家族4人と1匹で住んでいます。子どもが成長するに従いだんだん手狭に、そんな中、隣室が開くという事で、購入しましてフルリノベをしています。建築家や工務店を介さず直接職人さんにお願いする方法で、ゆっくりやっていますが、どうなることやら。完成は2024年11月の予定!

このノートについて

今住んでいる部屋と、今リフォームしている隣室と二回のスケルトンリフォームをやっていますが、前回は建築家に依頼したのに、今回は依頼しませんでした。その経緯を書きます。とにかく長文です。


理想の家って?

『理想の家』を建てるには何が一番必要だろう。予算が重要なのは言うまでもないのですが、デザイン面を考えたら、家は一人で建てられるものではないので、誰に依頼したら自分の理想を形にしてくれるかという事だと思います。

今やっているリフォームは、住んでいる部屋の隣室なのですが、住んでいる部屋自体も、ウン年前にスケルトンリフォームしました。『松濤で平屋より郊外の団地の一室に住みたい』等という団地マニアなら別ですが、築古団地という時点で、予算やら耐震やらで色々と妥協している訳です。で、そこを妥協した分、『内装を好き勝手したい』というのが、団地リノベーションの動機になる訳で、その時も、どうすれば思い描いた家を作れるのかを悩みました。

悩んだ結果、設計を『建築家』に依頼する事にしました。

ところが、結果的には『建築家では理想の家は建たない』という手痛い教訓が残る事に・・・。

これだけ書くと、建築家をディスっているように聞こえるかもしれませんが、そうではなく、どちらかというと自戒の話です。

建築家へ経緯した経緯

リフォームについて

その時は某地方都市に住んでいました。私の実家はそこから数百キロ離れた別の都市にありました。実家は団地なので、家族で帰っても宿泊するにも手狭でしたので、近くの部屋が空いたタイミングで購入して、実家に帰った時の宿泊用の部屋にしていました。

そんな中、転職で実家のある都市に戻る事になりました。そのタイミングで、マンションとか一戸建てとかを探すという事もできたのですが、直前に海外に一年間行く事になっていたので、悠長に家探しする余裕がありませんでした。なら、すでに持っている団地の一室を魔改造して住もうと考えたのが、そのリノベーションの経緯です。それからウン年、さらに手狭になったので、隣の部屋を購入してリノベーションしているのが、このノートで書いているリノベーションです。

建築家と作るリフォーム

今回は『建築家』を介さずに、自分でデザインしていますが、この当時は、殆ど知識も無く、ネットで調べると、リフォーム店や工務店に依頼するより、建築家に依頼した方が自由な家づくりができると書いてありましたので、それを信じて、建築家を探す事にしました。今でも、そう書いてあるサイトが殆どだと思います。ただ、それでは貴方の理想の部屋にはならないかもよ?というのがこのノートの趣旨です。

今、適当にググって探した記事ですが、建築家に頼むメリットとして『唯一無二の仕上がり』『高いデザイン力』『優れた機能』の三つが挙げられています。

この中で『高いデザイン力』は、建築家のスキルによると思いますが、工務店やリフォーム専門店に比べたら期待できるかもしれません。

『優れた機能性』は基本的に建築家に期待するものではないと思います。大学に勤めていると、有名建築家の設計したキャンパス等に行く事がありますが、たいてい使いづらいです。とはいえ、築古リフォームで重要な事、例えば、殆ど断熱が考えられていないので、そこを強化する等の機能性は、考えてくれますので、これもメリットかもしれません。

ただ、おそらく建築家に施主が期待する一番の点は、自分の思い描いた家を作ってくれるという点、すなわち完全自分仕様の『唯一無二の仕上がり』の部分ではないでしょうか。

ところが、これは(少なくとも私のケースでは)建築家では実現できませんでした。

大事なポイントを見落としていたのです。私は建築家=設計士と考えていたのですが、実際は建築家=アーティストなんですね。

例えば、モネに「ごめん、この花瓶の所、ちょっとゴッホっほくして、影の部分はレンブラントっぽく描いてよ」なんて言えないように、建築家も建築家が作りたいテイストの家があって、それを逸脱する事はしないという強いバイアスがあるんですね。もちろん、アーティストですから当然だと思います。でも『100%自分の好みにマッチする他人』は居るはずもないので、建築家に頼んでも、自分の思う通りの家にはならない訳です。

建築家選び

さて、前回のリノベーションの話に戻ります。その当時は、建築家に頼みさえすれば、思い描いた家になると思っていましたので、ネットで古いマンションのリノベーションを手掛ける建築家を調べました。

これが沢山いるんですよね。各建築家のホームページには沢山の事例写真が載っていまして、どれも素敵に見えました。ただ、今考えてみると、この時は『自分のテイストに合うか』はそれほど考えていませんでした。もちろん、これまでの事例が気に入るかどうかは見ていましたけど、細部に関しては、建築家の方が合わせてくれるもんだと思っていました。

でまぁ、沢山の素敵な建築家をリストアップしまして、でも、皆さん、凄い綺麗な部屋を作ってくれそうで、誰を選んだら良いのか、もうよくわからない状況に。

結局、この時はどうやって建築家を選んだかというと、しょーもないのですが、自分の大学の出身者に目を付けました。建築学科がまぁ有名でしたので、いいかなぁというのと、ちょっとした愛校心でしょうか。

建築家と打ち合わせ

かくして建築家に古団地のスケルトンリフォームの設計を依頼しました。初回の打ち合わせの時に、この時点では私はすっかり建築家=設計士と信じ切っていましたので、こちらの思いをどう伝えるかを考えて、パワポで25ページの資料を作って、「こういう家が作りたいんだ!」と。。。やりすぎですね。

初回打ち合わせ資料
主寝室はプランCまであった

60年前の古い竣工図をもちだして、そこにこちらのやりたい間取りを書いたり、また主寝室のデザインだけでもPlan Cまで作ったりとしていました。イメージ写真も含めてこんなのが25ページ続きます、施主が建築家に初回打ち合わせで示した資料ですからね。今考えるとやりすぎでしたね。

ただ、出来上がったのを見てみると、この上記のPlanBにPlanCのアイデアが入っているものができたので、結果的には良いリノベーションだった事は確かです。

注文の多い客だなとは思われたと思いますが、結果、引き受けてくださいまして、建築家との家づくりがスタートします。

理想の家なんて絶対にできない

再度言いますが、建築家をディスる話ではなくて、私が反省している話ですので、お間違いのなきよう!

で、少し時がたち、建築家か初回のラフプランが提示されました。当初のプレゼンの非現実的な所を取り除きつつも、コンセプトを守っていただいた良い設計をしてもらいました。

その時は図面というよりは、3Dソフトで部屋のイメージを提示してくださいました。幸い、私も3Dソフトは少々使いこなせたので、同じソフトを使って、自分のテイストとは合わないところを、十か所ぐらい指摘して、それを部屋をウォークスルーするようなアニメーション仕立てにして返信しました。

3Dプランで『わぁ素敵』とならなずに、数倍のコメントつけて返してしまったわけです。まぁ、とにかくうるさい客だったと反省しております。

こう書くと細かくクレームをつけていたように思われるかもしれませんが、その時は海外で暮らしていましたので、建築家とはメールで何度かやりとりをした程度で、最初の3Dのラフプランと初回の設計図に対して、色々と注文をつけただけなんですけどね。

ただ、ピクチャーレール一つとっても、壁付けでデザインされていたのを、この型番のレールを天井埋め込みにして欲しいとか、その細かさで指定していたのですから、嫌にもなるでしょう。ただ、言い訳すると、私は建築家=設計士だと思っていたのです。部屋に関するすべてのイメージは施主の頭の中に合って、ただ、施主は図面を引くスキルが無いので、それを代行してくれるのが建築家だと思っていました。つまり、建築家から出てきたプランで、私のテイストに合わない所は、私が説明不足で、建築家に理解してもらえなかったと考えたんです。もっと説明しなきゃと。

でも、建築家は自分のテイストがあって、それを顧客のニーズに当てはめていく仕事だったという事を学びました。

これは、こないだ大工さんや電気屋さんと話していても、そんな話題になりました。職人さんたち曰く、設計が同じ建築家なら、どの現場でも似たような意匠だよとの事。ゴッホはどんな絵でもゴッホだという事ですね。

かくして、煩い施主のワタクシは建築家の方から契約解除を申し入れられました。

細かい事いうなら自分で設計しろ!

って事ですね。という訳で、今回のリフォームでは建築家を通さず、工務店も通さずに自分で設計しています。

設計をDIY

リフォームで一部をDIYするのは魅力的ですが、何が自分にできるのかという点が問題です。

ガスのDIYは当然無理、電気は電気工事士の資格をとらなきゃだめですので、なかなか敷居が高いです。よく、塗装をDIYしているリフォーム記を見ますが、塗装こそ専門職のような気がします。前回のリフォームでは壁はほぼ塗装なんですが、その質感を見る限り、絶対に素人ではできない。大工の作業は、崩れても良い小屋ぐらいならDIYを挑戦したいのですが、当然本格的なスケルトンリフォームはプロにお任せしたい。

となると、一番DIYしやすいのは設計ではないでしょうか。

ただ、間取り図ではなくて、設計図ですから、壁の厚さどうするのとか、床の組み方どうするのとか、素人では分からない事が沢山出てきています。また、設計図が出来上がった所で、誰に渡して作ってもらうのという点も問題になります。その点は、私の場合は幸運な事に『つて』があったのですが、それはまた別の記事に。

とにかく『建築家に頼めば理想の家が建つ』という事は、必ずしも万人に当てはまる事ではないよ!という事を書いてあるリフォーム関連の情報が、ネットで見つからなかったので、ここに書いておく次第です。

建築家が居なくたって理想の家は建つ


ちなみに、建築家に愛想をつかされた部屋ですが、その後依頼した大工さんが非常に凄腕でして、中途半端な図面と、施主の煩いリクエストを元に、パパっと、理想どおりに作ってくださいました。建築家なんていらないじゃん!なんていうと怒られるかもしれませんが、やっぱ家をつくるのは職人さんなんですよね。建築家に頼めば、自分が思いもよらない意匠を考えてくれるかもしれませんが、良くも悪くも『自分の思う通り』が良い場合は、設計をDIYするって手もあるという事で。(まぁまだ解体が終わっただけで、今回のリノベが成功するかどうかは分かりませんが・・・・)

主寝室が中二階で納戸が下にある変態デザインも当初のプラン通り!

では、良いところも悪いところも100%自分自身設計のリフォームをするにはどうしたら良いのか。その辺は続きの記事をご覧ください。


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