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【映画感想】『侍タイムスリッパー』は現状今年ベスト

⚠本作の大まかな部分のみ触れます。全体的なネタバレはありません。

ご覧いただき、ありがとうございます。
國山 弾(くにやま だん)です。

皆さん、この作品知ってますか?

低予算の自主制作映画で、池袋シネマ・ロサという映画館1館から上映が始まり、瞬く間に人気に火がつき、今では全国の映画館で上映されています。
このムーブメントは、『カメラを止めるな!』にも近いものがあり、監督もかなり意識していたようです。

私も遅ればせながら先日鑑賞しました。
タイトル通りですが、私の中では現状今年ベストの作品になっていす。

話としては非常にシンプル。
江戸末期の侍が、雷に打たれたことで、突如として現代の時代劇撮影現場にタイムスリップしてしまうというもの。
いわゆるタイムスリップ時代劇というもので、何だか聞いたことのあるような話です。
ですが、この作品は他の類似作とは一線を画しています。

まずはなんといっても、主演の山口馬木也さんの演技。
本当に当時の侍がいるとしか思えない役作りと、表情の豊かさ。
コミカルかつ素朴に現代社会で奮闘する姿は非常に愛らしく、観客が応援したくなるような、そんなキャラクターです。

他の役者さんもハマってます。
特にコメディ調で進む場面は、少しの間や演技の感じでウケなかったりするものです。
ですが、本作の役者さんたちは非常に緩急のバランスがよく、見事に観客の爆笑を誘います。

当然ですが、殺陣とロケも見事です。
東映の京都撮影所が協力してくれたということで、低予算ながら充分な画力があります。

なんといってもシナリオが優れています。
こういった話では出オチになりがちな部分がありますし、コメディに寄りすぎて途中で観客が冷め始めてしまうこともあります。
今作はコメディとシリアスのバランスが絶妙で、おバカコメディに全振りせず、ただの「良い話」では終わりません。
今我々が生きているのは、あらゆる時代を生きてきた先人たちのバトンがあったからこそであり、だからこそ主人公の高坂が現代に感動する姿を見て、我々は笑いながら泣いてしまうのです。
それと同時に、ここまでに至る日本の負の側面にも振れることで問題提起をし、それも含めて忘れずに継承していくことを伝えているのかと思います。

今この映画を観ないことは、非常にもったいないです。
劇場がワッと笑いに包まれ、同時に涙する映画はそんなにありません。
ぜひ劇場で観てみてください!
では、また。


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