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『エドワード・ヤンの恋愛時代』の邦題

エドワード・ヤンの名作が4Kで。嬉しい。


初見は94年の映画祭で、原題のまま『独立時代』。
大人になることが曖昧で困難な時代を皮肉った良い題だと思った。

英題が『A Confucian Confusion』。
「儒教の混乱」という西洋化するアジア人のメンタリティの揺れを意味してて、さらに韻も踏んでてお洒落だなと。

で、一般公開の邦題を見た当時、
「れ、れ、恋愛時代?!」ってがっくりきた(笑)
しかも「エドワード・ヤンの」と付く。ダサい(笑)

とは言え、

アメリカ映画の80年代あたりの、社会に出ていく若者たちの恋や苦悩を描いた青春群像劇を下敷きにしてるのを意識させる上では『恋愛時代』も良い題だと思う。

演出もアメリカ映画をただ真似るとかアンチとして解体するとかではなく、アメリカ映画をリスペクトしつつも東洋的な感性や時間の流れ方で捉えることで現代的な映画として普遍性を高めていた。サラッと野心的なことしてて凄い。

今作について、世界的な映画作家とはいえ、新しい観客は構えずにサラッと観てほしい。

わざわざアメリカの青春群像劇や日本のトレンディドラマみたいな軽妙なドタバタ感も入れたエドワード・ヤン自身は、邦題に「エドワード・ヤンの」が付くことにモヤってたんじゃないかなぁと勝手に想像する。確か『ヤンヤン 夏の思い出』の時にエドワード・ヤン自身も「監督の名前なんて知らないで観てもらうのが理想的だ」とかそういう意味のことを言ってたんで。
きっと見る人の人生において、忘れ難いシーンが見つかると思う。



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